カーライフ
更新日:2021.12.06 / 掲載日:2021.11.05
【大人の自動車遊び】ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京を体験する【九島辰也】
文●九島辰也 写真●ポルシェ
ポルシェと言うブランドはやはりひと味違うと思います。クルマもそうですが、ユーザーやファンをワクワクさせることを大事にしているというか……。
その一つがポルシェカレラカップ。911のカップカーによるワンメイクレースですが、ドイツ本国では90年代から、日本でも2001年から今日まで続いています。しかもプロも参戦するオーバーオールクラスの他にトップアマチュアを競うジェントルマンクラスがあるのがミソ。それなりにお金はかかりますが、サーキットを走ることの好きなアマチュアドライバーも楽しめるんです。これまで何度か鈴鹿や富士に取材に行きましたが、いい雰囲気です。みなさん純粋に楽しんでいるというか。まぁ、かなりシビアでハイレベルな戦いですけどね。個人的にこれは世界最高峰の“草レース”だと思います。もちろん、いい意味で。なんたって20世紀初頭のレース創成期はプロのレーサーはいませんでしたから。クルマを速く走らせることが好きな人たちが集まって、レースの歴史はスタートしました。
世界の名物サーキットを再現した特設コースをはじめ、ポルシェを満喫できる特別な施設
そして、今回ポルシェはまた我々をワクワクさせる施設を作りました。ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京です。
これは初心者から上級者までポルシェの走りを体感できる施設です。一周2.1キロのハンドリングトラックやローンチコントロールを体験できるダイナミックエリアなどがあります。ローンチコントロールなんて使う機会ありませんからね。アクセルを床まで踏み込んでブレーキを離す瞬間は何度経験してもたまりません。
今回これが日本にできたのは我々日本人ポルシェファンにとってとても誇らしいことだと思います。これまで他の国にはありましたが日本にはなかったからです。ドイツ本国が我が国を大切なマーケットだと認めたことになりますね。すばらしい!
他の国のエクスペリエンスセンターは過去一度だけ行ったことがあります。ロサンゼルスのそれはLAXの近くにありました。訪れた目的は992型911のワールドプレミアで、LAオートショーの前夜に行われました。その時、日本にもこんな施設があればなぁと思ったのを記憶しています。ポルシェ一色の広大なエリアですから羨ましくてたまりません。ただ、その時もしかしたら日本にもできるかも……なんて噂は聞いていましたけどね。
世界で9番目となる日本の施設はこれまでのエクスペリエンスセンターとは少し趣が違います。と言うのも、過去8箇所は全てサーキットを併設したフラットな地形に作られましたが、今回は山間の地形を利用したアップダウンのあるコース設計になっているからです。しかも、設計したのはドイツ人建築家のヘルマン・ティルケ氏。90年代後半からこれまで数々のF1サーキットを設計してきた人物です。
なので、外周路にあたるハンドリングトラックには、一部ニュルブルクリンクやラグナ・セカの有名コーナーを再現したりしています。そう聞くだけでもなんだかワクワクしますよね。今回プレス向けに用意された時間の中でそこを10周くらい回りましたが、飽きることはありませんでした。周回を重ねるごとに、コース設計の深さを感じます。スタート直後の上りの連続するS字カーブは最高。全てRが異なるので、気は抜けないのがグッドです。
この他にも水を撒いた低ミュー路のドリフトサークルやまだ調整中でしたかキックプレートエリアもあります。多方面でクルマのパフォーマンスを味わうといったところでしょう。そうそう、SUV用のオフロードコースも忘れてはなりません。ライプツィヒの工場の横にあるコースを見たことがありますが、それよりすごいかも。傾斜角38度はヤバイです。
このプロジェクトは自然環境保護や地域連携にもチカラを入れていて、地元木更津市と組んだ取り組みを積極的に行なっていくそうです。そうそう、名前は“東京”ですが、場所は千葉県。夢の国やドイツ村と同じ手法です。 なんて感じでまるでPRのように施設を説明しましたが、まずはこういう施設ができたことを多くのクルマ好きに知ってもらいたいと心から願います。自動車大国ニッポンにとってプラスになること間違いありません。ポルシェ好きはもちろん、そこまででない人もぜひ足を運んでください。安全で楽しく最新のポルシェと接せられます。ご家族、もしくは恋人同伴で、どうぞ! 施設内にはレストランやカフェ、オフィシャルアイテムショップ、シミュレーションルームもあります。一日中いても飽きませんぜぃ。