災害対策・防災グッズ
更新日:2022.03.16 / 掲載日:2022.03.16
UDトラックス 経営資源を有効活用した被災地支援プログラム開始
UDトラックスは3月15日、自社製品であるトラックと従業員のマンパワーを活用する災害支援プログラムを立ち上げたと発表した。同プログラムではいつ発生するか分からない自然災害に備え、地域や地方自治体、NPOなどと共に被災地に寄り添ったサポートを目指す。
2019年はUDトラックス本社でも荒川氾濫を経験
地球温暖化に伴う気候変動により、自然災害の頻発化、激甚化が懸念される中、同社が本社工場を構える埼玉県上尾市においても2019年、台風19号接近に伴う荒川の氾濫を経験。一時は避難者が1000名に近づくなど、大きな被害を経験した。
同社では広い敷地と多くの人的資源を災害援助・復興支援における一助とすべく、地方自治体関係や地域で支援活動を行う団体関係者らと協議をスタート。協議を通して、災害時には共同生活を余儀なくされる避難所でのプライバシー確保に課題を見出し、「スフィアハンドブック」などを参考に、プライバシーや衛生面に配慮した安心・安全な環境の提供、および、ライフラインの充実を活動方針とすることを決定。その後、同社製品のトラック荷台を活用する案を下地に様々な設計案を検討、架装メーカーなどの協力も得て、2タイプの災害支援車の完成に至った。
多様なニーズに対応する装備
バンタイプの小型トラックをベースとした災害支援車は、避難所や被災現場での運用を想定。室内にはエアコン、冷蔵庫、水タンク式シンク、充電キャビネット、AED装置などを完備し、プライバシーを確保した2つの個室でオムツ替えや授乳といったベビーケアや、障がい者や高齢者の身体ケアなどの個別用途に対応可能。また、ソーラー発電システム、ディーゼル発電機、リチウムイオン蓄電器を搭載し、モバイルバッテリーの充電や貸し出しサービスなどを通じ、ライフラインとしての通信を確保するための手段を提供する計画としている。
もう一方の平ボディタイプの小型トラックをベースとした支援車は、主に被災現場において土のうや被災家財の運搬用途での運用を予定。重量物の積載や倒壊家屋の下敷きになった家具などの搬出を想定し、テールゲートリフターやウィンチを搭載する。
両者とも公道走行可能な規格で、緊急時における柔軟な災害支援活動に対応可能。実際の運用に際しては、上尾市、社会福祉協議会、その他関係団体と緊密に連絡・連携した上で、派遣の有無や派遣先の調整を行うものとしている。また、当面は上尾市内での活動を想定しつつも、随時、活動成果を検証し、他地域への展開も将来的な課題として引き続き検討していくという。