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更新日:2020.01.08 / 掲載日:2019.10.25
FFとFRの違いとは?特徴やメリット・デメリットを比較!

グーネット編集チーム
車の駆動方式は、一般的なタイプで主に3つあります。それは、いずれもエンジンを前方に配置した場合のFF、FR、4WDです。
FF、FR、4WDの駆動方式ごとに一長一短はありますが、用途に合わせて選ぶことができれば、カーライフが一層楽しくなることでしょう。
FFの特徴・メリット・デメリット
FFは前輪が駆動します。
一般的なエンジンは前方に配置されており、そこから直に動力を伝えられる設計になっているため、後輪へ動力を伝えるシャフトが必要なく、室内を広くとれる利点があります。
また、車体のうち最も重いパーツであるエンジンの下にある前輪が駆動するので、タイヤのグリップ力が他の駆動方式と比べて高いのが特徴です。
ただし、カーブでは重い前部に遠心力がかかり、外へ飛び出そうとするアンダーステアが出ます。また、前輪と後輪のタイヤの摩耗具合が極端に違ってくるので、定期的に入れ替えるローテーションが必要になります。
FFは多少のクセはありますが、全般的な運転感覚としては他の駆動方式と比べてもクセが少なく、万人受けするといってもいいでしょう。
FRの特徴・メリット・デメリット
レースでおなじみの後輪を滑らせて、豪快にコーナーを駆け抜けるドリフト走行を容易にするのがFRです。FRは、後輪が駆動するので、ハンドリングに優れています。
代表的なのがドイツ車のBMWです。BMWの車種の特徴としては、重量配分も前後で理想的な50:50に近づけるような設計をされている車種が多い点として挙げられます。
FRが苦手とするのは雪道で、駆動する後輪のグリップ力を高めるはずの後部が軽いため、滑りやすい路面でグリップ力を確保できません。カーブでは駆動輪の後部が流れる、「尻振り」状態になるオーバーステアが出ます。
FR駆動は不慣れな方には、やや扱いにくいともいえます。
FFとFRを比較した際のFFのメリット

グーネット編集チーム
現在では、世界の車の駆動方式の主流はFFとなっています。これはFRと比べて部品点数が少ないことで製造コストを抑えやすいことや、室内スペースが広くできることが主な理由です。
FFとFRを比較した際のFFのメリットについて詳しく解説していきます。
FFは直進安定性に優れている
FFは、重量物であるエンジンが搭載されたフロントタイヤ側で車を引っ張る駆動方式であるため、比較的容易に直進安定性を高めることができるのが特徴です。前輪で駆動することで、高速走行時の横風にも強くなります。
かつては、急加速時などでFF特有の挙動が出やすかったものの、現在、メーカーから販売されている車種ではほぼ気にならないレベルになっています。
ただし、最近のFRにおいても、FFと同等以上の直進安定性が確保されており、その差は以前ほど明確ではなくなってきています。
FFは室内空間を広くすることができる
FF最大のメリットといえるのが、室内スペースを広くとれることです。FRとは違い、後輪に動力を伝えるプロペラシャフトを設ける必要がないので、室内のフロアをフラットで低く保つことが可能です。
また、エンジン、トランスミッション、デファレンシャルなどは車両の前方にコンパクトに集約できるので、後部座席の足元スペースや広い荷室を設けることが可能です。
FFは雪道などの悪路が走りやすい
FFは、重量物であるエンジンが駆動輪(前輪)の上に位置しているので、路面にトラクションがかかりやすのが特徴といえます。FRの後輪が空転するような雪道や悪路のゼロ発進においても、FFであれば発進できる可能性もあります。
ただし、これはあくまで一般的な未舗装路や浅い雪道での比較であり、FFは4WDと比べれば走破性は劣ります。
FRとFFを比較した際のFRのメリット
FRは、スポーツカーの代名詞といわれており、効率を重視したFFと比べ、運動性能の面で大きなメリットがあるのが特徴です。では、FFと比較した際のFRのメリットを解説していきます。
FRは高い馬力にも対応できる
車は加速時にリアに荷重が動くため、後輪駆動のFRの方が大きい馬力を効率よく伝えることができます。
かつてのFFは、急加速時に前輪が空転しやすかったため、大きなパワーを必要とする高級車のほとんどがFRを採用していました。
ただし、最近ではFFの操舵に関する技術も進歩しており、FFでもハイパワーなスポーツカーが出てきています。
FRはハンドリング性能・コーナリング性能に優れている
FRは前輪を操舵、後輪を駆動というように、前後輪で役割を分けているため、前輪ですべての仕事をさせるFFと比べて、ハンドリング性能を高めやすくなっています。FFでコーナリング時にアクセルを踏むと、アンダーステアという曲がりにくい状態が発生しやすい一方で、FRであれば高出力のエンジンを積んでいても、アクセルとステアリングの両方で操作できるので、コントロールの幅が広がります。
また、パワーのあるエンジンを搭載した際のハンドリングも自然なフィーリングが実現しやすく、高級車の多くがFRレイアウトを採用しています。加えて、重量物がフロントに集中するFFよりも、前後重量配分を理想的といわれる50:50に近づけやすいので、絶対的なコーナリング性能を高めることができます。
FRは小回りが利く
FFでは、駆動力を伝えるために、前輪に駆動系の部品がある関係で、ハンドルの切れ角に限界があります。一方のFRでは、フロント部分の構造物が少なくなるので、ハンドルの切れ角を大きくすることが可能となり、小回りが利きやすくなっています。
FF・FR以外の駆動方式の特徴・メリット・デメリット
4WD
FF、FRと違って4WDは、理想的な駆動方式ともいえます。雪道などの滑りやすい路面での発進に加え、高速安定性にも優れています。
4WDはFFと同じようにアンダーステアが出やすく、ハンドリングにも難がありました。今では電子制御で前後輪をそれぞれ0~100%でトルク配分するタイプも多くなりました。
一方で、欠点としては燃費が少し悪くなり、割高になることです。
MR
前後輪の間(通常はキャビン後方)にエンジンを搭載し、後輪を駆動する形式をMR(ミッドシップエンジン・リアドライブ)と呼びます。重量物であるエンジンが車体の中央に近い位置にあるため、絶対的なコーナリング性能が高く、ブレーキ時にノーズダイブが抑えられて、高い運動性能が実現できます。
デメリットとしては、室内スペースが犠牲になることや、FRなどと比べ、いったん挙動が乱れたときのコントルールが難しくなることが挙げられます。フェラーリやランボルギーニを含め、世界の名だたるスーパーカーの多くはこのMRレイアウトを採用しています。
RR
エンジンが後ろにあり、後輪を駆動するのがRR(リアエンジン・リアドライブ)レイアウトです。採用しているのは、ポルシェ911をはじめ、ごく限られた車種のみですが、後輪を駆動するレイアウトとしては、エンジンやトランスミッションを後輪の近くに集約できるので、スペース効率に優れている点が挙げられます。また、リアが重いので、トラクションのかかりもよくなります。
デメリットとしては、リアに重量物が集中するので、挙動が乱れたときのコントロールが難しいことであり、ポルシェ911などをサーキットで速く走らせるには、独特のスキルが必要とされます。
用途に合わせて駆動方式を選べば合理的
運転好きでスポーツ走行を楽しみたいなら、FRを選択肢に入れてみてもいいでしょう。FFは多くの用途に向いており、ほぼすべてのシーンで不満の少ない走りをします。
FFとFRのどちらの車を買うか迷うときは自分が使う用途に合わせて選ぶことが重要です。
雪道や高速道路に限らず、一般道においてもFFとFRで車の挙動は変わってくるため、あらかじめ自分でハンドルを握り、試乗してから選ぶようにしましょう。