ドライブ
更新日:2020.01.08 / 掲載日:2019.10.18
居眠り運転の原因と防止するための対策とは

グーネット編集チーム
居眠り運転は事故を引き起こす原因となるため、大変危険な行為といえます。しかし、実際は高速道路での長時間の運転などで、眠気を感じたことがある人は多いのではないでしょうか。
居眠り運転の主な原因は、長時間運転による疲労や睡眠不足であることが多いですが、では、居眠り運転を防止するための対策にはどのようなものがあるでしょうか。
居眠り運転をしてしまう原因・要因とは
居眠り運転をしてしまう要因は、日頃の睡眠不足も1つの原因です。しかし、居眠り運転の要因は睡眠不足だけでなく、人間の体に備わっている「生体リズム」が影響しています。そこで、睡眠不足の影響と生体リズムについて解説します。
睡眠不足
睡眠不足とは、睡眠時間が少ない、または睡眠の質が悪いことを指します。睡眠不足の状態になると、注意力や視覚機能の低下、反応速度が遅くなるなど、運転に悪影響を及ぼすと考えられています。
睡眠不足、または長時間起き続けることで、眠気と作業能力は以下のように変化します。
・6時間睡眠を2週間続けた場合、1晩徹夜したのと同じ能力低下に等しい
・4時間睡眠の場合、2晩の徹夜したのと同じ能力低下に相当
・17時間起き続けていた場合の作業能力低下は、350mlのビール1缶を飲んだ場合と同等の作業能力
・24時間起き続けていた場合の作業能力低下は、ビール大瓶2本分を飲んだ場合と同等の作業能力
ご覧の通り、睡眠不足は酒気帯び運転に匹敵するほど、作業能力が低下します。睡眠時間を確保するだけでなく、寝ても眠気がとれない、寝つきが悪い、夜中に目が覚めるなど、睡眠の質が悪い可能性がある方は特に注意しましょう。
生体リズム
生体リズムとは、睡眠不足や生活リズムとは異なる、人間の体に備わっているリズムのことです。食後や運動の後に眠気を感じるのは、以下の3つの生体リズムが関係しているとされています。
・概日リズム(サーカディアンリズム)
24時間周期の眠気リズムで、目覚めの度合と体温が対応して高低するのが特徴です。午前2時~4時に眠気を引き起こすことが分かっています。
・概半日リズム(サーカセミディアンリズム)
12時間周期の眠気リズムで、深夜だけではなく午後にも出現する眠気です。眠気が起きる時間帯から、食後だから眠くなると思われがちですが、様々な実験の結果、食事とは関係なく表れる眠気であることが判明しています。午前2時~4時、午後2時~4時に眠気を引き起こす生体リズムとされています。
・超日リズム(ウルトラディアンリズム)
2時間周期の眠気リズムで、居眠り運転との関係が深い生体リズムです。エンジン音やタイヤ走行音などの単調な刺激、隔離された運転席などの要因により特に顕著に誘発される眠気でもあります。午前3時~6時、午後14時~18時の時間帯において眠気が強くなることが分かっています
このように、睡眠不足とは関係なく、人間の体は眠気を引き起こす要因を持っています。
昼間の運転が多いドライバーは概半日リズム、深夜運転が多いトラックドライバーは概日リズムが影響するので特に注意が必要です。
運転中に注意したい居眠り運転の兆候とは
居眠り運転は、疲れや眠気、脳の覚醒水準の低下が大きな要因と考えられています。これらが要因となって集中力や判断力が低下し、運転操作ミス、信号や標識の見落としなど、重大な事故を招くリスクが高くなるといえます。
代表的な居眠り運転の兆候は次の通りです。
眼精疲労のような症状が出る
長時間の運転によって蓄積した疲労や睡眠不足により、眼精疲労の症状が出ることがあります。
運転の際には、目から多くの情報を収集する必要があり、長時間の運転によって眼精疲労が起きてしまいます。眼精疲労の症状としては、目が乾く、ものが見えにくくなる、視界のチラつき、かすみ目といった症状があげられます。
そういった症状が出てきた場合は居眠り運転の兆候として注意が必要です。
気づかずスピードを出しすぎてしまうことが増える
居眠り運転の兆候を捉える方法として、睡眠不足によって起こりやすくなる現象を確認することも有効です。
その中でも睡眠不足の影響により、周囲の車への注意力が欠けるだけでなく運転中の速度感覚がおかしくなり、気づいた時にはスピードを出しすぎてしまっている場合などはより注意が必要です。
気づかずにスピードを出しすぎてしまうことによって、車間距離が短くなる、慌てて急ブレーキを踏まざるを得なくなるなど、単なる居眠り運転の兆候というだけではなく、それ自体が事故に繋がる危険性もあります。
あくびやまばたきをする回数が増える
あくびが出る、まばたきをする回数が増えるなどの反応は、体や脳が休むことを求めているサインと考えられます。
このような兆候が見られた場合、運転を止め、安全な場所で休憩や仮眠をとることが大切です。
運転する方は居眠り運転に繋がるこれらの兆候を知っておき、早めに対応することで事故を未然に防ぐことに繋がります。
居眠り運転を防止する方法・対策
重大な事故に繋がる居眠り運転を防止するためには、以下の方法と対策を実践することをおすすめします。
ガムなどを噛む
ガムなどの長時間咀嚼できるものを噛むことによって、脳の血管が拡張し、覚醒水準の低下を防ぐことができ、居眠り運転の防止に繋がるといえます。
仮眠をとる
眠気に襲われたら仮眠をとるのも、居眠り運転を防止するための対策といえます。サービスエリアなどの安全な場所に車を止め、仮眠をとります。
長時間の深い眠りは目が覚めるまでに時間が掛かるので、仮眠は30分以内に抑えるようにしましょう。また、起きてすぐに運転するのではなく、体を動かすなどしてから運転をすることが大切です。
体を動かす・ストレッチなどをする
血行が悪いと脳に疲労が溜まりやすく、それが原因になってだるさや眠気を引き起こします。体を動かしたりストレッチをしたりすると、血液の循環が良くなり、脳細胞が活性化されて脳を目覚めさせる効果が期待できます。車を降りて歩くのはもちろん、シートに座ったままできる運動やストレッチを実践するのがおすすめです。
簡単に取り入れられる運動やストレッチと、居眠り運転防止効果は次の通りです。
・歩く、歌を歌う…リズミカルな運動が目覚め効果のあるセロトニン神経を活性化させる
・足首を回す、足首を伸ばす、座ったまま腰を左右にひねる…凝り固まった筋肉がほぐれ、血行が良くなる
・目をぎゅっとつぶる、開く、を数回くり返す…目の周りの血行促進や涙腺を刺激することになり、眼精疲労や目の乾燥を軽減できる
また、運転中は猫背の姿勢になりやすく、背中や肩、腰への負担が疲労の原因になります。凝り固まった筋肉をほぐすために、車から降りた時は、前屈や屈伸などを積極的に行うのもおすすめです。
疲れている時や睡眠不足の時は運転を控える
居眠り運転を防止するためには、一番良いのは疲れている時や睡眠不足の時の運転を控えることです。また、眠気を誘発する薬などの服用も運転前には控えることが大切です。
運転時の眠気を防止するためには、「疲れてきた」と感じたら早めに休憩をとることです。
休憩をとる時は車を止めるだけでなく、車から降りて外の空気を吸うことや軽くストレッチすることが大切といえます。
居眠り運転防止に役立つグッズ

グーネット編集チーム
基本的な居眠り運転対策に加え、以下の対策グッズを取り入れると相乗効果が期待できます。居眠り運転の事故を未然に防ぐための、居眠り運転防止に役立つグッズをいくつかご紹介します。
居眠り運転監視システム
居眠り運転監視システムは、車の運転中にドライバーの居眠りや疲労の具合を感知し、音や振動で警告してくれます。
居眠り運転を感知する仕組みとしては、顔認識機能による表情や瞳孔の変化を感知する仕組みや、耳などに装着して心臓から大動脈に発する振動などを感知する仕組みなどが主流となっています。また、最近ではAI(人工知能)が、表情をはじめ、赤外線センサーで体からの放熱量や空調を分析することで眠気を察知する、先進技術を導入したシステムの開発も進んでいます。
市販されている居眠り運転監視システムでは、メガネ型や耳掛け型が取り入れやすいのでおすすめです。
メガネ型では、スマホアプリと連動して、まばたきや視点移動から眠気や疲労を感知して音声で知らせてくれたり、覚醒度などのデータを記録してくれるといった機種も登場しています。
また、耳に直接装着するタイプは、居眠りをした時に頭が下に動くと警告音や振動で知らせてくれます。車に設置する手間がなく、価格もリーズナブルなものも多いので初めて購入する方にも最適です。
眠気止め薬(カフェイン錠剤)
眠気止めの薬を服用して、強制的に目を覚ます方法も効果的です。
眠気止め薬は、カフェインを主成分としており、興奮作用で頭を覚醒させる効果が期待できます。
しかし、眠気止め薬には、食欲不振や吐き気、めまいや頭痛などの副作用が起こる場合があります。また、コーヒーなどと併用するとイライラや不安、不眠といった症状が起こる可能性があります。多少の眠気ですぐに薬を常用するのではなく、どうしても眠い時の緊急措置として使用しましょう。
仕事を終えたら睡眠をしっかりとって疲労回復を行い、体調管理を怠らないことが大切です。
冷却シート・眠気覚ましシート
眠気を早く解消するには、頭や顔、首などを冷やすことも効果的な方法です。
冷却シートは発熱時に使われるものを使用し、おでこや首、わきの下や脚の付け根部分など、太い血管のある部位に貼りましょう。効率よく体を冷やすことができ、眠気を覚ますことができます。
眠気覚ましシートとは、清涼感のあるメントールを使用したウェットシートのことです。一部商品ではカフェインを配合し、より眠気覚ましの効果を高めているものも販売されています。このシートで顔を拭くことで、メントールの刺激と強い冷感により、眠気を覚ます効果が期待できます。
仮眠や運動など居眠り運転を防止する対策に加え、これらのグッズを活用するのもおすすめです。居眠り運転でヒヤリハットを経験したことがある方は、手軽なものからはじめてみるといいでしょう。
居眠り運転を防止することは、事故を防ぐことに繋がるといえます。
運転時に眠気を感じたら、軽いから大丈夫と思わずにまずは休憩をとるようにし、万全な状態での運転を心掛けることが大切です。