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更新日:2020.01.08 / 掲載日:2019.10.30
車のボディ剛性を補強・強化するメリット・デメリット

グーネット編集チーム
車のボディ剛性とは、その車の持っているボディの強度のことです。
それぞれの車によってボディ剛性が異なりますので、元々ボディ剛性の高い車を選んだり、購入した車のボディ剛性を補強して強くしたりすることも可能になります。
ボディ剛性を補強することのメリットや、デメリットについて詳しく見てみましょう。
車におけるボディ剛性とは
まずは、車の代表的なボディ構造とその特徴をご紹介していきます。
2種類の構造について
車が発明された初期から続く伝統的なボディ構造といえば、ラダーフレームボディです。元々は、馬車の構造を起源としており、その名の通り梯子状の強じんなフレームの上に、キャビンとなるボディを載せたパターンです。
エンジンやサスペンションなどは基本的にフレーム側に取り付けられるので、オフロードなどでも頑丈なフレームが衝撃を受け止めてくれます。現在では、本格的なオフローダーのみがラダーフレームを採用し続けています。
もう一つのボディ構造をモノコックボディと呼びます。現在の乗用車はほぼ全てこのモノコックボディを採用しており、プレスで成形した鋼板を溶接し、箱型にして車のボディを構成していきます。
箱全体で衝撃を吸収する構造なので、一般的にラダーフレームよりもボディ剛性は低く、オフロードなどでボディがねじれる、強い衝撃が加わると車が歪みやすい、という特徴があります。
モノコック構造の弱点を改善する剛性補強
このように、モノコックボディは衝撃吸収に強く、日常的な走行では問題ありませんが、衝突などで少しの変形をきたした場合でも簡単に歪んでしまい、さらには少しの歪みでも車全体に影響が出て最悪の場合走行が不可能となってしまうこともあります。
また、ボディ剛性が弱いと、衝撃に対して車全体が揺れて安定感がでません。逆に、モノコックボディの剛性をアップさせることは、ハンドリング性能や走行性能という弱点を改善することにつながるのです。
車のボディ剛性を強化、補強するメリットとは
ボディ剛性を強化するメリットはいくつかありますが、一つは足回りの動きが快適になることです。
スピードを出した時やカーブに差し掛かった時など、運転が正確であれば車が受ける揺れや振動が少なくなるのです。そのためどのような状況でも車を安定してドライブすることが可能になります。
他にもシフトミスを防げるというメリットがあります。
ボディ剛性が弱い車になると、スピードが出た時やコーナーに差し掛かった時などに、車のエンジンが揺られてしまい、シフトが抜けてしまう、ミッションが入らなくなるといった、トラブルが起こりやすくなります。
万が一、運転中にしかもスピードが出ている時やコーナーに差し掛かった時に、そういったトラブルが起こってしまうと、大きな事故につながる可能性が高く大変危険です。このようなトラブルを防ぐことにも、ボディ剛性の強化は有効です。
また、年月の経過とともに車のボディも劣化してきてボディ剛性が低くなってしまうものですが、ボディ剛性を高めることによって、新車の時のようにボディ剛性を高めることが可能になります。
車のボディ剛性強化・補強するデメリットとは
ボディ剛性を高めた方が、万が一事故にあってしまった時でも、そのダメージを最小限に食い止めることができるのではと考えてしまいますが、ボディ剛性補強にはメリットばかりではありません。
ボディ剛性を補強・強化するデメリットは、ドライバーの腕によっては事故を起こす確率が高くなってしまうことです。ボディ剛性が高い車は、余計な動きに対して過敏に反応してしまうため、運転中にミスをしてしまうと大きなダメージを受けることにもなりかねません。
また、ボディ剛性を高めすぎてしまうと、車体自体が重くなってしまい運転に支障が出ることも考えられます。
車のボディ剛性補強のやり方

グーネット編集チーム
それでは、パーツごとにボディ剛性補強の方法を解説していきます。
サスペンション
サスペンションというのは、ボディ剛性と密接な関係があります。ボディ剛性が弱いと、モノコックボディがねじれ、サスペンションが本来の動きを発揮できる位置が変わってしまうのです。
その結果、不快な振動が車内に伝わる、思った通りのコーナリングができない、といったことになります。
逆にボディ剛性が高ければ、サスペンションの能力を大いに活かすことができます。サスペンションがしなやかに動くため、不快な振動も減り、タイヤの接地性も改善されます。
このように、ボディ剛性を補強した段階で、サスペンションのセッティングも見直してみることがおすすめです。
ロールゲージ・ロールバー
ロールゲージとは、車内に鉄製のフレームを張り巡らせることで、クラッシュ時の乗員保護とボディ剛性の両方の効果が得られる改造方法です。
ラリーなどの競技車両に採用されることが多く、オープンカーなどでサーキット走行する際にも義務付けられることが多いパーツです。
取り付け方法としては、溶接の他に、ボディに穴をあけてボルト留めするといった方法もあります。なお、改造によって後部座席に人が座れなくなる場合は、構造変更申請が必要です。
ボディ全体の剛性アップの効果は大きいですが、数十キロ単位で重量が増えることや、室内の居住性が低下するといったデメリットもあります。
タワーバー
サスペンションを固定している部分をストラットタワーと呼びますが、ここは前輪に直結しているので路面からの衝撃を最も受けやすい部分です。
この部分が変形すると、ハンドリングへの影響が出るため、タワーバーと呼ばれる金属製のパーツを取り付け、左右のストラットタワーの変形を抑えることがボディ剛性補強でもポピュラーな方法です。
なお、一部のスポーツグレードには、純正状態で採用されている場合もあります。
まとめ
今回は、車のボディ剛性を補強・強化するメリット・デメリットと題し、車のボディ構造や剛性を強化するメリットとデメリット、ボディ剛性補強のやり方について解説してきました。
ボディ剛性アップによって、ハンドリング性能や運動性能を向上させるメリットもありますが、メーカーが膨大な時間をかけて作り上げた車のバランスを崩してしまう可能性も考えられます。
車のボディ剛性補強を行う前に、自分が何を目指しているかの明確にし、メリットとデメリットを理解した上で進めていくようにしましょう。