ドライブ
更新日:2019.05.27 / 掲載日:2019.05.27
徹夜明けの運転時に気を付けなければいけないこと
グーネット編集チーム
徹夜で仕事をして、眠い目をこすりながら自分で運転して家に帰宅した経験はないでしょうか。徹夜明けの運転は、私たちが想像する以上に、注意力が低下して運転に適さない状態となっています。では、徹夜明けで事故を起こさないためにも、徹夜明けに運転をする時の体の状態や運転時の注意点、眠気への対処法について詳しくご説明していきます。
徹夜明けの運転時に起こる体の症状
徹夜明けという睡眠不足状態は、実は飲酒運転とよく似た状態だと言われています。アルコール血中濃度が高まるのと同じように、睡眠不足と認知・精神運動作業能力は密接な相関関係にあるのです。24時間寝ずに起きていた場合は、アルコール血中濃度0.10%と同程度の注意力しかないという結果が報告されています(ビール大瓶2本飲酒後と同等)。
ちなみに、取締まりの対象となる「酒気帯び運転」とは、呼気1リットル中0.15mg以上のアルコールを検知した場合というように規定されています。これは、ビール中びん1本、日本酒1合、焼酎0.6合のアルコール摂取とほぼ同じで、血中アルコール濃度に換算すると0.02%~0.04%となります。つまり、「酒気帯び運転」で取締まりを受ける以上の低い注意力になるのです。
具体的な体の症状としては、手の動きが活発になる、抑制が取れる(理性が失われる)、脈が速くなるといったことが挙げられます。運転に置き換えてみると、判断力が鈍る、スピード感覚がおかしくなる、動体視力や集中力が低下していきます。また、道路の信号や歩行者の認知が遅くなり、飛び出しや周囲のクルマの動きに対して、とっさの対応ができなくなるのです。さらに状態が悪化した場合には、平衡感覚も失われていき、白線の内側を走るという基本的な操作までできなくなり、交通事故を起こす可能性も3~6倍にまで高まると言われています。
徹夜明けの運転の注意点
睡眠不足によって、肉体的にも精神的にも困憊して、事故やミスを起こすことが研究で明らかになっています。健康な成人を対象にした研究において、正常に目が覚めた状態で作業が可能なのは起床後12~13時間が限界と言われています。
徹夜明けの運転で注意したいのは、睡眠不足の蓄積から回復には時間がかかるということです。健康成人を対象にした研究においては、6~7日間睡眠が不足すると、そこから3日間、十分な睡眠を取ったとしても、日中の作業能率はすぐには回復しないのです。したがって、徹夜明けで1日十分に睡眠を取ったからといって、すぐに長時間の運転をするのは避けるべきです。徹夜が続いたら、不要不急の運転は避け、体の回復を待つことが重要です。
徹夜明けの運転時の対処法(仮眠)
徹夜明けの運転には、まずは仮眠を取ることが最も有効的です。眠くなりやすい午後2時から4時前後の時間帯で20分程度の仮眠によって、仮眠後の覚醒レベルが引き上げられ、運転への集中度が上がる可能性が高くなります。もし、この時間帯に仮眠を取るのが難しい場合でも、近い時間帯や休憩時間を利用して、仮眠の時間を作り出すことが必要です。
1つ気を付けなければならないのは、必要以上に長く仮眠を取りすぎると、「睡眠慣性」と呼ばれる目覚めの悪さや強いダルさが生じやすいということです。
何時間も寝てしまった後では、認知機能が大きく低下しており、いきなり運転するのは非常に危険です。もし仮に何時間も仮眠を取ってしまった場合には、車外に出て体を動かし、しばらく待ってから運転をする必要があります。
20分程度の仮眠を上手に取るポイントとしては、仮眠の直前にカフェインが入った飲み物(温かいコーヒーや紅茶)を飲むことです。カフェインを摂取してしまうと逆に寝られなくなると心配するかもしれませんが、カフェインの覚醒効果は飲んでから20~30分経ってから現れます。つまり、ちょうど仮眠から起きる時間に体が目覚めやすくなるということです。
徹夜明けの運転時の対処法(眠気覚ましのグッズ)
グーネット編集チーム
徹夜明けの運転時に、仮眠を取ることができない場合、眠気と戦うためのアイテムを利用することがおすすめです。まずは、カフェインが入った飲み物(温かいコーヒーや紅茶)は手軽に入手しやすいアイテムです。普段あまりコーヒーを飲まない人にとっては、さらに効果が上がる期待もあります。
また、冷たい氷枕やジェルパッドなどを利用して、手や首の後ろを冷やし、深部体温(脳や臓器の体温)を高く保つことも考えられます。首の後ろには体温中枢があり、冷たいという刺激によって交感神経を刺激し、眠気を吹き飛ばしてくれるのです。
他には、ドリンクタイプの眠気覚まし用の飲料が販売されています。成分としては、トウガラシやショウガ、サンショウ、コショウなどのスパイスに加え、カフェインが入っており、味付けは爽快感のある柑橘系や炭酸の刺激が加わっている物もあります。これらのドリンクを利用することもおすすめですが、刺激物であることには変わりないため、毎日のように摂取しないことが重要です。カフェインに関しても、過剰摂取によって死亡事故も起きており、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠や、下痢や吐き気、嘔吐などの副作用も報告されています。
他には、キャンディタイプの眠気防止グッズや、スプレータイプの物があります。ドリンクタイプと違って、携帯がしやすく、継続的に少しずつ摂取しやすいのが人気の理由となっています。面白グッズとしては、爽快感のある刺激が染み込ませてあるマスクも売られています。これだと、手軽に装着で来て、取り外しもすぐできるので、眠気に応じた使用も可能です。いずれにしても、気を付けておきたいのは、事前に一度試してみることです。刺激に対する耐性は個人差があり、徹夜明けで眠気覚ましのグッズを使ったら、さらに気分が悪くなったなんてことにならないためにも、自分に合ったアイテムを見つけておくことが必要です。
徹夜明けでの運転は極力控えるようにする
飲酒運転と違って目立ったニュースにはなりにくいですが、居眠り運転による痛ましい交通事故も後を絶ちません。居眠り運転事故の特徴として、前日の睡眠時間が4時間以下になると、4時間以上取った場合と比較して、極端に居眠り運転事故の発生率が上昇している調査報告があります。
当直勤務の医師や日勤と夜勤両方入るインフラ系の仕事など、職種によっては、徹夜をしなければならない状況は存在します。すでに説明したように、徹夜状態というのは、飲酒運転をしている状態と同じく、クルマの姿勢を制御することができなくなり、車線を逸脱して中央線を越えたり、歩道に入ってしまう可能性もあります。さらには、速度のコントロールができなくなり、急な障害物などへの反応も遅れて、高いスピードのまま、物や人に衝突事故を起こすという危険性をはらんでいるのです。
そのため原則としては、徹夜明けでの運転は控えるようにすべきです。徹夜することが想定されている場合には、初めから公共交通機関やタクシーなどでの移動をするように心がけましょう。もし急な予定の変更で徹夜となった場合には、公共交通機関で帰宅したり、都合が付けば家族に迎えに来てもらうこともお願いすべきです。少しの費用を節約しようとして、自分で無理に運転したばっかりに、重大な交通事故を起こしたなんてことにもなりかねません。
これまで、徹夜明けの運転時に起こる体の症状や、徹夜明けの運転時の対処法について詳しく説明してきました。徹夜明けは単なる睡眠不足ではなく、飲酒運転と同じくらいの危険な状態という認識を持つことが重要です。やむを得ない場合は、仮眠や眠気覚ましのアイテムに頼ることを検討すべきですが、徹夜をしたら運転しないと決めることが事故を起こさないための最も確実な方法です。