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更新日:2019.08.05 / 掲載日:2019.08.05

睡眠不足時の運転の危険性と対処法

睡眠不足時の運転の危険性と対処法

グーネット編集チーム

睡眠不足時の運転は、居眠り運転を招き、大きな惨事を引き起こす危険性があります。
近年、居眠り運転が原因とみられる事故が増えていることから、その危険性は世間的に広く知られていることでしょう。しかし、睡眠不足だとわかっているのに自らの運転で外出してしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、睡眠不足時に運転する怖さと、居眠り運転が起きやすい時間帯・場所、いざというときに役に立つ対処法に関してまとめてみました。あわせて、法改正による対応も確認しておきましょう。

睡眠不足時の運転の危険性

刑罰のある危険運転致傷罪はそれまで飲酒運転による死亡事故に対してのみ適用されていましたが、2018年5月に居眠り運転でも適応され逮捕者が出るケースが出てきました。

このケースでは逮捕者に睡眠障害の持病がありましたが、持病のない方でも、睡眠不足が原因の危険運転は酒気帯び運転同様のリスクを伴うのです。
2つの調査報告を見てみましょう。

「ネイチャー」の研究結果では睡眠不足時の運転=飲酒運転と同じ危険性

オーストラリアの研究者たちが1997年にイギリスの権威ある科学専門誌「ネイチャー」に発表した報告は大変参考になるでしょう。
この報告では、飲酒をしていなくても、おきてから17時間経過すると、覚醒中にたまった疲労や眠気が一気に顕在化し、酔っ払いと同等の運転技術にまで下がってしまうということがわかっています。

すなわち、7時に起床していれば、深夜12時を回る頃には酩酊状態と変わらない運転パフォーマンスというわけです。
寝ていないと運転のパフォーマンスが飲酒運転並みに低下してしまうことは科学的に根拠があり、「自分は大丈夫」といった安易な判断は絶対にしてはいけないことがわかります。

日本での調査結果では5時間未満の睡眠が危険

また、公益財団法人交通事故総合分析センターが1996年~2006年までの10年間のデータを調査・分析した結果によると、前日の睡眠時間が4時間以下の場合、居眠り運転事故の発生率が急激に上昇することがわかっています。

さらに、2006年に厚生労働省がトラックドライバーを対象に行った調査研究では、睡眠時間5時間未満のドライバーは、睡眠時間5時間以上のドライバーと比較して、ヒヤリ・ハット体験が2.3倍も多いこともわかっています。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)による居眠りの危険性とは?

居眠り運転は、単なる睡眠不足だけでなく睡眠障害によって起こる場合も多くあります。

睡眠時無呼吸症候群、通称SAS(Sleep Apnea Syndromeの略)は、睡眠中に呼吸が止まる病気です。
この病気の怖いところは、寝ている間の無呼吸に自覚はなく、治療を受けていない多くの潜在患者がいると推定されていることです。寝ている間の無呼吸は起きているときの活動に影響を及ぼし、無自覚のまま日常生活にリスクが発生している可能性があります。

また、この病気が原因で生じる日中の眠気・居眠りは、判断力・集中力の低下を招きます。
SAS患者で「運転中の眠気」を経験した割合は、非SAS患者の4倍(調査対象のSAS患者の40.9%)もあり、「居眠り運転」の経験割合はなんと5倍(調査対象のSAS患者の28.2%)にもなったという調査結果も報告されています。
セルフチェックはネットで簡単にできますので、不安がある方は実行し、受診・治療を開始しましょう。

居眠り運転による事故が多い時間帯や場所

居眠り運転による事故が多い時間帯や場所

グーネット編集チーム

居眠り運転による事故は、発生する時間帯や場所に共通点があるのでしょうか。

居眠り運転多発時間帯

人間の睡眠には12時間と24時間の周期があり、一般的に深夜の2時前後と日中の14時前後は眠気が発生する時間帯と言われています。
結果、居眠り運転の事故は、眠気発生後の明け方3~4時と15~16時に多く発生しています。

実際、公益財団法人国際交通安全学会の「居眠り運転発生の生理的メカニズム」でも、この時間帯におこる居眠り事故の発生率の高さが報告されています。

居眠り運転多発場所

同じような景色が続く高速道路や国道の走行中は、単調感から居眠り運転が起きやすいと言われています。

居眠り運転による事故の発生場所は、道路から交差点や踏切などを除いた部分のカーブ地点が多く、走行中に逸脱してしまうことによって壁などに激突や、対向車と衝突したりするケースが多くなっています。

眠気を覚ます方法は?

眠気を覚ます方法はいくつかあるので、ここでは代表的な3つの方法を紹介します。
もし運転時に眠気を感じたら、無理に運転を続けず、以下の方法を実行してみましょう。

仮眠を取る

眠気を感じたら、休憩・仮眠を取りましょう。仮眠時間は長すぎるとかえって返って眠気が取れず逆効果になるので、15分~30分が目安となります。また、シートを倒して横になった方が高い効果を得られるようです。

そして、起きてすぐは目が覚めていないので、まだ運転してはいけません。
仮眠を取ったら車から出て体を動かして体内の血液を循環させ、深呼吸して空気を肺に送り、体全体を目覚めさせましょう。

カフェイン摂取

運転前や眠気を感じたとき、または長時間の運転であれば休憩時にコーヒーなどでカフェインを摂取しましょう。ただし、カフェインには中毒性があるので、過剰摂取は避けることが大切です。効果には個人差がありますが、コーヒーなら1、2杯程度を飲むだけで眠気を覚ますことができるでしょう。

なお、カフェインは効果が出るまでに15分以上かかるので、仮眠を取る前に飲むとより効果的です。

ガムを噛む&糖分を摂取

アゴの運動は、脳を目覚めさせる効果があるので、眠気を感じたらガムを噛んだりしてアゴを動かすと良いでしょう。また、血糖値が下がると脳は疲労を感じるので、休憩中は糖分の含まれた飲み物がおすすめです。

糖分吸収をサポートするビタミンB1を多く含む食品、ナッツなどを一緒に食べると効果的でしょう。ナッツなら、コンビニやドラッグストアで簡単に入手できます。

眠気を覚ます方法として3つ紹介しましたが、最も効果的なのはカフェインを摂取したあとに仮眠を取る方法です。運転時に眠気を感じた場合、時間があるのであればなるべく仮眠を取るようにし、あまり時間がないときにはカフェインや糖分の摂取、ガムを噛むといった方法で対処すると良いでしょう。

睡眠不足による事故防止のための改正法

2018年6月には、睡眠不足に起因する事故の防止対策を強化するため、バス・タクシー・トラック事業者を対象に法律が改正されました。
具体的改正内容は以下の通りです。

・事業者が運転者を乗務させてはならない事由等として、睡眠不足を追加
・運転者の遵守事項として、睡眠不足により安全な運転をすることができない等のおそれがあるときは、その旨を事業者に申し出ることを追加
・事業者が乗務員の乗務前等に行う点呼時に、報告を求め、確認を行う事項として、睡眠不足により安全な運転をすることができないおそれの有無を追加
・点呼記録簿への記録事項として、睡眠不足の状況を追加

まとめ

睡眠不足での運転はリスクを伴うので、できるだけ避け、万が一眠気に襲われたときは適切な対処をして安全に運転をしましょう。

また、眠気の原因が自分では気付きにくい睡眠時無呼吸症候群の場合もあります。不安な方はセルフチェックを行い、治療を開始することをおすすめします。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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