自動車保険
更新日:2023.07.14 / 掲載日:2019.10.29
車両保険の種類と補償の対象範囲とは

グーネット編集チーム
自動車の保険には、強制的に加入する自賠責保険や任意保険があります。
これらの保険は自動車にまつわるすべての事故やトラブルに対応している訳でなく、補償内容は対人賠償や対物賠償と限定的です。
例えば、自損事故や盗難、飛び石があたりヒビが入ったなど、自分の車そのものの損害を被った場合の補償はありません。
そういった車そのものの損害をカバーするのが「車両保険」です。
ここでは、車両保険にはどのような種類があり、どのような損害を対象範囲としているかなどをご紹介していきます。
車両保険の種類と補償の対象範囲
車両保険は大きく分けて、「一般車両保険」と「エコノミー+A(車対車+A)」の2種類があります。
それぞれの保険によって補償される事故や損害は、以下の通りです。
1.一般車両保険(オールリスク)
一般車両保険は下記の通り最も補償の適用範囲が広い保険で、他人の車との衝突はもちろん、電柱に衝突するなどの自分で起こした自損事故など、様々な事故や損害が対象となります。
・自損事故
・他車との衝突・追突・接触(相手が分かっている場合)
・当て逃げ(相手が分からない場合)
・盗難
・落書きや傷などのいたずら
・自然災害(台風・洪水・高潮)
・火災・爆発
・物の飛来
対象範囲が広い分、保険料も最も高くなります。
2.エコノミー+A(車対車+A)
エコノミー+A保険は一般車両保険と違い、自損事故や当て逃げ(相手が確認できる場合は適用される)による破損や損害は対象外となります。
・他車との衝突・追突・接触(相手が分かっている場合)
・盗難
・落書きや傷などのいたずら
・自然災害(台風・洪水・高潮)
・火災・爆発
・物の飛来
補償の適用範囲が狭い分、一般車両保険より保険料が安くなります。
また、「エコノミー」という、相手が分かっている他車との接触事故のみに適用される補償もあります。その場合、補償範囲がさらに限定される分、保険料も安くなります。
車両保険の補償対象にされないケースとは
予測できない自然災害は適用されない
車両保険では、台風などある程度の予測ができる自然災害は補償対象となりますが、地震や噴火、津波などの予測も避けることも不可能な自然災害は補償対象とはなりません。
もし地震についても補償を希望する場合は、「地震等による車両全損一時金特約」を別で付帯する必要があります。ただし、地震等に対する補償が付帯できるのも一部の保険会社に限られているので注意が必要です。
車の故障による損害には適用されない
車両保険は「一般車両保険」およびエコノミータイプの「車対車+A」のどちらのプランにおいても、故障による損害への補償には適用されません。
車両保険の補償対象となるのは衝突や接触、盗難および自然災害などの偶発的な事故により被った損害のみです。
しかしながら、遠隔地で故障した場合など、ロードサービスや宿泊費用、帰宅費用を負担してくれる保険もあるので、有効に活用すべきでしょう。
その他の車両保険が適用されないケース
その他、事故がドライバーの飲酒や無免許運転、麻薬の服用などの違法行為が要因となる場合、戦争や暴動によって車が破損した場合なども保険の適用範囲外となります。
車両保険を使うと等級はどうなる?保険は使わない方がいいこともあるの?
事故などが発生した場合、せっかく保険に加入しているから、どんどん活用して、できる限り補償を受けたいと考える方も多いのではないでしょうか。
しかし、トラブルが発生するたびに保険を適用してしまうと、そのたびに等級が下がり、契約更新後に支払う保険料も高くなってしまいます。
また、事故の種類によって等級の変動幅が大きく異なり、それによって保険料も大きく変わってきます。
そのため、すべてのトラブルに保険を適用するのではなく、ケースバイケースで上手に使うことが大切です。
事故の種類によって3級ダウン・1級ダウンの等級ダウンになる
保険対象車両による走行中の事故の場合、基本的には翌年から3等級下がることになります。
走行中の事故とは、他車との衝突や接触事故、電柱や壁面への衝突、あるいは脱輪や横転などの自損事故を含みます。これらの事故による保険の適用があれば、翌年から3等級下がり、支払う保険料がアップします。
これに対し、走行以外のトラブル、台風や洪水などの予測される自然災害や火災、爆発あるいは盗難による損害への保険の適用は1等級のダウンとなります。
軽い事故の場合は車両保険を使わない方がお得な場合もある
万一の備えとして必要な車両保険ですが、すべてのトラブルに対して補償を利用していたら、たちまちに等級が下がり、保険料も上がってしまいます。
そのため、小さな傷やヘコミなど、自費で賄える範囲であれば柔軟に対応した方が賢明です。
大きな事故の場合は止むを得ませんが、小さな損傷に関してはディーラーや修理工場に相談し、保険料増額分と比較してから、保険を適用するかどうか判断するのが望ましいでしょう。
「一般型」と「エコノミー型」どちらの種類にした方がいいのか?
グーネット編集チーム
車両保険には「一般型」と「エコノミー型」の2タイプがあります。それぞれにメリット・デメリットがあり、良し悪しの比較はできません。
しかしながら、加入する方の条件によって向き不向きはあります。ご自分にとって望ましい補償内容であるかどうか、あるいは保険費用が生活の負担とならないかなどは、選択する際の重要なポイントです。
一般型自動車保険がおすすめな人
「一般型」は「エコノミー型」と比較すると年間の保険料が数万円高くなります。しかしながら、その分幅広く補償してくれるので免許を取得したばかりで運転に自信のない方や、新車や高級車を保有し、車をとても大事にされている方などにはおすすめです。
「一般型」の場合、自損事故や自転車との接触、相手不明の当て逃げによる損害に対してもしっかりと補償してくれます。
エコノミー型自動車保険がおすすめな人
「エコノミー型」の最大のメリットは保険料が安いことです。「一般型」と比べ、保険料が1年間で数万円の差が出るとなると、その差額である程度の修理を賄うこともできます。少しでも保険料を抑えたい方には、こちら「エコノミー型」への加入をおすすめします。
また、運転歴の長い方、運転に自信がある方など、自損事故への備えが不要と思われる場合には「エコノミー型」が適していると言えるでしょう。
車両保険を利用する際の注意点
車両保険を利用する際、いくつか注意しなければならないことがあります。以下の4点は特に注意点として押さえておきたいポイントです。
保険会社や選ぶ保険の種類によって補償内容や保険金額も変わってくるので、これらを事前に把握し、よく比較検討したうえで加入することが大切です。
補償金額が車の「時価」によって決まるため保険金額が下がっていく
車両保険で気をつけておきたいのが、補償金額が車の「時価」によって決まるということです。
時価は一律的に決まり、プレミアがつくような人気のある車であっても、経年により保険金額は下がります。そのため、現在の保険金額がいくらになっているか確認しておく必要があります。
車両保険に加入できない車もある
一部、事故発生率の高い車種や登録年数によっては車両保険の加入ができない場合もあります。
保険会社によって条件が異なる場合があるので、予め保険会社へ引受の可否を含め確認することをおすすめします。
免責金額の設定内容によっては修理などの際に自己負担が必要になる
また、車両保険には「免責金額の設定」というものがあります。予め支払われる補償金額に対し、「〇〇円は自己負担する」という設定ができます。
この〇〇円が免責金額で、例えば予め5万円の免責金額を設定していた場合、15万円かかる修理をした際は10万円を保険金から、5万円を自己負担することになります。
この免責金額を設定しておくと保険料が安くなるというメリットがあります。また、事故の種類によっては免責分を自己負担しなくて良いケースもあります。免責金額や自己負担内容については、車両保険契約時に確認しておきましょう。
保険会社によって補償内容や保険料が違う
当たり前なことですが、保険会社や選ぶ保険によって補償内容や金額が異なります。
事故範囲について保険金が支払われるケースと支払われないケースがあるので、車両保険を契約する際は、保険会社に保険内容をよく確認してから行うようにしましょう。
まとめ
車両保険には、補償範囲が広く保険料が高い「一般型」と、「一般型」に比べて補償範囲が狭く保険料の安い「エコノミー型」があります。
車両保険を選ぶ際には、自分が必要とする補償内容などをよく吟味し、保険会社による比較などをして選ぶようにしましょう。
また、車両保険に加入していたとしても、積極的に車両保険を活用すべきケースや、修理の内容などによっては車両保険を使わない方が良いケースなども存在します。
そのため、車両保険に加入後も、等級や保険料に留意しながら上手に使いこなしていくことが大切です。
