自動車にかかる税金
更新日:2019.04.08 / 掲載日:2018.12.05
2019年自動車取得税が廃止?新税「環境性能割」とは?エコカー減税の適用は?

2019年10月、いよいよ消費税が8%から10%に上がる可能性があります。それに伴い、自動車取得税も廃止され、代わりに新しい税制度が始まります。代わりに導入される新税「環境性能割」とはどのような制度なのでしょうか。「消費税アップと環境性能割が、車の買い時に与える影響」も、わかりやすくまとめました。これから車を買おうという人や車の買い替えを検討している人には、特に役立つ情報です。
自動車取得税廃止は2019年10月?代わりに導入されるかもしれない自動車新税「環境性能割」とは?
自動車取得税とは?税率は何%?
「自動車取得税」とは、自動車の購入時にかかる地方税のことです。50万円以上の車の購入であれば、新車・中古車を問わずかかります。税率は自家用車が3%、事業用車と軽自動車が2%です。消費税と自動車取得税の二重課税がこれまでは大きな批判でした。そこで2019年10月の消費税10%アップと同時に自動車取得税を廃止し、その代わりとして導入を検討している制度が「環境性能割」です。
「環境性能割」を自動車取得税の代わりに導入?
環境性能割とは、「平成27年度と平成32年度の燃費基準に達している車を購入する際は、事前に定めた率を割引する制度」です。「環境性能割」という言葉を見ると新しい割引制度のように感じられますが、実は課税制度の側面が大きいと言えます。何故なら「燃費基準に達していない車は税金がかかる」からです。つまり、これから購入する車の燃費次第で、減税になる場合もあれば実質的な増税につながる場合もあるわけです。
消費税10%が上がった場合の自動車取得税と環境性能割の違いを知ろう
自動車取得税と環境性能割は、どちらも平成32年度と平成27年度「両方の」燃費基準を軸にして課税率を定めています。平成27年度より平成32年度の燃費基準の方が、燃費基準は厳しくなっています。
自動車取得税(2019年10月まで)
平成32年度燃費基準+20%達成車…非課税
平成32年度燃費基準+10%達成車…0.6%課税
平成32年度燃費基準達成車…1.2%課税
平成32年度燃費基準非達成車…3%課税
平成27年度燃費基準+10%達成車…1.8%
平成27年度燃費基準+5%達成車…2.4%
・環境性能割(2019年10月以降導入の可能性)
平成32年度燃費基準+10%達成…非課税
平成32年度燃費基準+10%未満達成車…1%課税
平成32年度燃費基準非達成…2%課税
平成27年度燃費基準+10%達成車…2%
平成27年度燃費基準+5%達成車…3%
まず平成32年度の普通乗用車の燃費基準を見たところ、いずれも実質的な税率は下がることになります。
次に「平成27年度燃費基準」の、「自動車取得税」と「環境性能割」を比較すると、こちらは自動車取得税より環境性能割の方が「実質的に増税」との結果でした。
何故このように違いが出てくるのか、それは「平成27年度より平成32年度の方が燃費基準の達成条件が厳しくなっているから」です。
参考:経済産業省『平成28年度税制改正について(車体課税)』
注意!環境性能割にはエコカー減税が適用されないかもしれない
前の項目で自動車取得税と環境性能割の課税率を比較した結果、達成条件がより厳しい平成32年度の燃費基準を達成できるエコな車なら全て減税されるとわかりました。しかしそれはあくまでも数値上の話。実質的側面から見ると、実は減税されているとは言いきれません。何故なら「環境性能割にはエコカー減税が適用されない可能性がある」です。
エコカー減税とは、政府の定めた環境基準に適合する車の購入時に適用される減税制度です。エコカー減税が適用されると「自動車重量税」「自動車取得税」の納付時に、優遇措置が受けられます。ただしエコカー減税は以下のとおり期間限定です。
・自動車重量税…平成31年4月末までに登録した車
・自動車取得税…平成31年3月末までに登録した車
果たして、環境性能割とエコカー減税、どちらを選ぶ方が良いのでしょうか。その答えを出すには、消費税の問題やそれに絡んだ政府の動き、実際に購入を予定している車など、様々な問題を比較検討する必要があります。
つまり、どちらが良いかは状況次第で変わってくるということです。
ズバリ!車の買い時は?
これから車を買い替えるなら、買い時はしっかりと事実を確認したうえで見極めることが必要です。特に、エコカーの中でも平成32年度燃費基準に適合しない車を購入するなら、なおさらです。理由は平成32年度の燃費基準に当てはまらない車は実質的な増税になる可能性があるからです。もちろん、自動車取得税廃止前と廃止後では消費税が2%上がる可能性も加味しています。
エコカーの場合も、エコカー減税終了前の方が良いでしょう。やはり「消費税のアップが大きく影響すること」「エコカー減税なら、自動車取得税と自動車重量税のどちらも免税になること」が理由です。
ただし、2018年11月に配信された最新のニュースによると、政府では環境性能割の一時免除やエコカーの購入支援制度なども現在検討中とのことです。これは消費税増税前の駆け込み需要を抑える狙いがあります。今後の流れ次第ですが、電気自動車のように元々燃費性能の良い車の場合は増税後の購入も検討の余地がありそうです。
車の買い時はなかなか悩ましい問題です。消費税が2%上がるだけでも、車体価格をはじめ、手数料や納車費用など含めて万単位で上がります。
このような中で少しでもお得に車を買い替える方法は「環境性能のより良い車を購入すること」です。エコカーの購入なら増税後も免税の優遇措置が受けられる可能性が高い上に、普段の維持費も安価で済みます。環境問題に対する時代の流れを鑑みても、よりエコな車の購入は検討価値が高いと言えるでしょう。