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更新日:2024.06.27 / 掲載日:2024.06.27

アルファードがライバル!? レクサス・LM「魅惑の6人乗り仕様」

世界最高峰のラグジュアリーミニバン、レクサスLMに、サードシートを備えた6名乗りの「バージョンL」が追加された。ここではその特徴と導入された理由を中心に解説してみたい。

●文:横田 晃 ●写真:Lexus International

プレミアムを極めた寛ぎの上質空間!

独自の価値観で育まれた
高級ミニバンという文化

 多人数乗車が可能な乗用車=ミニバンという商品企画は、1980年代に登場したクライスラー・ボイジャー(ダッジ・キャラバン)とルノー・エスパスが先駆けとされている。当時の日本では、RVと呼ばれた1BOXバンベースの乗用車規格ワゴン車が人気を呼び始めていたが、それは海外のミニバンとは、似て非なるものだった。
 欧米のミニバンが目指すところは、小さな高速バスに近い実用車だ。内外装には高級感は求められないし、車内で姿勢を崩してくつろぐという発想もない。
 対して当時の日本の1BOXミニバンは、広い室内空間を活かして回転対座をはじめとする豊富なシートアレンジを競い、ガラスルーフやテーブルなどの、くつろぎ系の装備が客の目を引いていた。
 それはクルマをツールと考えるか、もうひとつの部屋と考えるかという”文化“の違いだったろう。
 ともあれ最終的には、欧米のミニバンはファミリーカーとしては一般化しなかった。一方で、日本からは1990年のトヨタ・エスティマや1997年の日産・エルグランドなどの、乗用車としての素性を高めながら、快適で豪華な室内を実現させた独自のミニバンが誕生して、市場の主流へと育っていく。
 その頂点として2002年に初代が登場したトヨタ・アルファードは、憧れの上級ファミリーカーとなり、2代目以降は、運転手付きで運用されるVIPカーとしても、政治家や企業経営者などに選ばれるようになった。
 日本の文化が生んだ商品企画ともいえる高級ミニバンは、同じ東洋の文化圏に属する中国でも注目されて、2010年には左ハンドルの2代目アルファードが誕生。アジア圏へと勢力を広げていった。
 レクサス初のミニバンとなったLMは、そうした経緯を背景に先代アルファードベースの初代が生まれて、2020年からは中国やインドネシア、インドなどで富裕層のVIPカー需要に応えたのだ。
 現行の2代目レクサスLMは2023年春に上海で発表され、秋に2列シートの4座モデルが日本にも導入されている。今回追加発売された3列シートの6座仕様は、海外では発表当初から設定されていたモデル。VIP専用仕様といえた4座車に対して、より広いユーザー層に受け入れられることを目指した仕様だ。
 とはいえ価格は1500万円ナリ。4座車の2000万円と比べればお安いとはいえ、現行アルファードの最上級車の850万円と比べても、650万円も高い。その差を納得させる自信が、レクサスにはあるというわけだ。

レクサスのアイデンティティであるスピンドルグリルは、ボディと同色一体化したデザイン。品格と押し出し感を巧みに両立し、空力や冷却性能、操安性にも寄与しているという。
4座のEXECUTIVEでは前席との間がパーテーションで仕切られていたが、バージョンLでは通常のミニバンの風景。しかしその解放感や居心地は、まさにファーストクラスだ。
バックドア開口部のスイッチで、2列目の電動スライドとリクライニングもコントロール可能。3列目を格納してラゲッジスペースを拡大する際も、とてもスマートに行える。
意のままのドライビングが楽しめるコックピットは、すべてが上質。ステアリングは、黒本杢に自然素材のベンガラをすりこみ、導管を浮かび上がらせる凝った仕立てだ。

サブスクでクルマが乗れる「KINTO」の利用も可能

法人契約でも家族の運転まで対応
ビジネスとプライベートで活用可
 社用車の運行費用を必要経費として計上できる法人や自営業者には、1500万円の車両価格は、じつは普通の予算の範疇。そこでトヨタが展開しているカーリースサービス、KINTOでも、レクサスLMはさっそく導入されている。解約などに制限がある初期費用フリープランの場合で、月額36万3000円など。社員だけでなく、家族まで保険の対象となり、点検整備や車検費用、税金まですべて込みで経費にできるから、考え方によってはじつはお得でもあるのだ。

6人乗りのLMのライバルは、ズバリ、アルファードなのか?

今回追加された6人乗り仕様は、明らかに一般ユーザーの取り込みを狙ったグレード。ならば、当然、アルファード&ヴェルファイアとの違いは大いに気になるはずだ。ここではLM500hバージョンLと、アルファードハイブリッドのエグゼクティブラウンジを細部まで比較。最高峰ミニバンはどちらなのか? しっかりと白黒つけてみよう。

作りも走りもレクサスの
名に恥じぬ世界観で統一

 4座のEXECUTIVE(エグゼクティブ)は、1列目と2列目の間がマグネシウムダイキャスト製のパーテーションで仕切られ、スモークガラスを閉じて後席を完全な個室にすることもできた。パーテーションには48インチの大型ワイドディスプレイが備わり、移動中のVIPがくつろいで映画などを楽しんだり、リモート会議に出席するといったニーズを満たした。
 それと比べると、2+2+2の常識的な3列シートを備えた新グレードのversion Lは、普通の大型ミニバンということになるのだが、その中身はアルファードとはやはり大きく異なる。
 1列目と3列目のシート表皮は、既存のレクサス各車にも使われているセミアニリン本革シート。対して2列目は4座車と同じ、レクサスの中でも最高級となるL-ANILINEと呼ばれるしなやかな本革張りとなる。
 このシートにはシートベンチレーションが備わるほか、アームレストやオットマンにもヒーターが仕込まれており、シートクッションとシートバックには大腿部から背中までを指圧するエアブラダー(空気袋)を内蔵している。
 空調や21スピーカーのマークレビンソンのオーディオ、照明などを自在に操ることができる、脱着可能なタッチ式コントローラーも備わる、まさに特等席だ。
 通常のミニバンでは我慢の席になりがちな3列目シートからも、オーバーヘッドコンソールで空調などを好みにアレンジ可能だ。
 走りに関しても、LMはレクサスならではの世界観をしっかりと作り上げている。重心の高いミニバンでは、操る楽しさは妥協を余儀なくされがちだが、レクサスLMはボディ剛性の強化やリニアソレノイド式アクチュエーターと周波数感応バルブを併用したAVS(減衰力可変サス)の採用で、姿勢変化の少ない乗り心地と秀逸なハンドリングを両立させている。
 レクサスのコックピット思想であるTazunaConceptでデザインされた前席で、上質な走りを満喫することもできるのだ。
 レクサスLMはハイブリッドシステムも、エンジンとモーターを使い分ける一般的なシリーズパラレル式を搭載するアルファードとは異なり、2.4ℓターボを強力なモーターがアシストするシステム。リヤモーターもアルファードのそれより倍近いパワーを発揮して、大きなボディを走らせる。
 レクサスLMは、ミニバンといえどもレクサスならではの作りの良さとともに、芳醇な

アルファードのコックピットも、十分にスポーティと呼べるデザイン。高速安定性やハンドリングの正確性も、間違いなくトップ級だ。
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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

内外出版/月刊自家用車

オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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