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更新日:2024.07.01 / 掲載日:2024.06.30

新型フリード爆誕!〜情報まとめ&新旧比較/ライバル比較〜

コンパクトミニバンの定番モデルが待望のフルモデルチェンジ

取り回しに優れたボディに最大7名乗車が可能なパッケージを組み込むことで、ファミリー層を中心に圧倒的な人気を集めるホンダ・フリードがフルモデルチェンジ。新型は予想以上にキャラが立っており、先代を超えるヒットモデルになるのは確実。ここでは事前取材から判明したことを余すことなくお伝えする。 ※元記事掲載:2024年5月26日

●文:川島茂夫 ●写真:奥隅圭之

FREED AIR(フリード エアー) 「上品で洗練された王道スタイルをさらに追求

FREED CROSSTAR(フリード クロスター) 「アウトドアデザインをプラスした人気シリーズも最新スタイルに」

HONDA 新型フリード先取りチェック!

より便利に使いやすく! まさに正常進化のお手本

広々キャビンの魅力は健在
より使い勝手の良さを追求

 約4.3mの全長は、ミニバンとしては最もコンパクトなクラス。コンパクトカーの扱いやすさや経済性、3列シートの多用途性を高水準で両立させているのが特徴だ。もちろん、このコンセプトは新型にもそのまま継承されている。
 パッケージングや骨格レイアウトは従来型(現行)を踏襲しており、ボディサイズやキャビンスペースに大きな変更はなく、小柄なボディに広々スペースの魅力はまったく変わっていない。
 プラットフォームも先代から継承。フィットやヴェゼルと同系統のプラットフォームだが、ミニバン用途に合わせて、フラットなフロアパネルや扁平型燃料タンクのキャビン中央部への配置など独自の工夫をプラスすることで、1BOX型に近い設計が与えられている。
 特にフィット系と明らかな違いを感じるのはキャビン機能だ。フィットの後席格納はダイブダウンと座面チップアップの2ウェイ格納を採用しているが、フリードの3列目シートは、1BOX型でお馴染みの左右分割の側方跳上式を採用している。ただ、新型ではサードシートの折り畳み時のサイズを小型化し、格納時の座面張り出しの幅を小さくすることで、荷室スペースの拡大が図られている。見た目的にもすっきり感が高まっている。

e:HEVの採用で走りの
実力は1ランク上に
 さらに注目したいのが、走行ハードウェア関連の進化ぶり。ガソリン車もハイブリッド車も、パワートレーンの出力は現状では明らかにされていないが、ハイブリッドシステムが一新された。
 従来型は変速機にDCTを用いたパラレル式のi-DCDを採用していたが、新型はシリーズ式をベースに高速巡航時のみパラレル式で稼働するe:HEVに変更された。
 i-DCDは同排気量のガソリン車に比べると優れた動力性能を持っており、ハイブリッドとしては余力感やコントロール性の向上に重きを置いていたシステムだ。一方、e:HEVは余力感やコントロール性の追求に加え、加速性能も1クラス上の性能となり、高速走行時の余裕を高めている。
 新型フリードのプラットフォームや駆動系の展開を考えても、すでにe:HEVに切り替わっているフィットやヴェゼルと同等レベルの性能が与えられるのは間違いない。走行性能は従来型から大きく進化するのは確実。6~7名の多人数乗車も想定されるフリードは、フィットやヴェゼル以上にi-DCDからe:HEVへの変更のメリットは大きいだろう。
 駆動方式は2WD(FF)と4WDが用意され、e:HEVの4WD車にも電子制御カップリング式が採用されるはずだ。
 新型は、キャビン機能も走行ハード機能も、ユーザーの使い勝手向上を意識した工夫を見つけることができる。中身十分の納得できるフルモデルチェンジだ。

新型フリード《エクテリア》

「エアー」と「クロスター」
2つの個性を上手に棲み分け
 ミニバンはミニバンらしく、それでいてファミリーカーの魅力も感じさせてくれる、そんなバランスの良さを感じさせる外観だ。
 公表された新型のボディサイズと従来型を比べてみると、全長は45㎜、全幅は25㎜拡大したが、全高は105㎜低下している。ただ、全高はアンテナを含む数値であり、ルーフ高で見比べる限りでは、全高が下がった印象は感じない。
 従来型と比べると、若干、ルーフラインやリヤゲートの絞り込みは緩やかになっているが、ボクシーな雰囲気を感じさせる独特の魅力も健在。特にドアウインドウと連なる大きく開口したクオーターウインドウがもたらす塊感の演出がかなり効いている。さらにウインドウ後方を絞りこむことで、荷室スペースの存在感を意図的に希薄にしていた従来型よりも、ミニバンらしいスタイリングに変貌を遂げている。
 またフロント&サイドイメージの一新もポイントのひとつ。従来型はワンモーションフォルムのフロントマスクや、サイドパネルに抑揚を付けることで、スポーティなイメージを強めていたが、新型は側面のプレスラインから連続するプレーンなフロントマスクや、サイドパネルも水平基調を強めることで、余計なものを削ぎ落としたシンプルなイメージが強まった。デザイン担当によると、爽快な走りを想起させる効果を狙った結果という。
 このように機能感を強めたデザインもあって、写真だと少し強面の感を感じるかもしれないが、実車の雰囲気はむしろ穏やか。新型の標準ボディ車は「エアー(Air)」と名付けられたが、そのグレード名称にふさわしい、同乗者や環境への優しさを納得する外観だ。例えるならば、シンプルながら使い勝手のいいトートバックのようなイメージを覚える。
 一方、標準ボディ車のエアーに対して、SUVをモチーフとしたドレスアップ仕様といえるのがクロスターだ。この仕様は従来型にも設定されていたが、新型にも継承され、同時によりSUVらしさが高まっている。従来型のクロスターは、フロントエアダム周りとビルトイン型ルーフレールくらいがSUVらしさのアピールポイントだったが、新型ではフェンダーにクラッディングパネルを採用しており、全幅はエアーよりも25㎜拡大している。このタフな演出がファミリー寄りのフリードのイメージをレジャー用途向けの多用途ワゴンへ導いており、ポストファミリーのユーザーにも、魅力的なモデルに仕上げている。新型では、従来型以上にクロスターの販売比率が上がるのは間違いないだろう。

FREED e:HEV AIR EX

グリルとライトを連なるように配置する水平基調を意識したフェイスデザインを採用。撮影車のヘッドライトは、主灯がバイビーム(2灯)仕様のアダプティブドライビングビームライトになる。
グレードによって装着設定は異なるが、撮影車両にはエアー専用デザインの15インチアルミホイールが装着されていた。ちなみにタイヤサイズは185/65R15。

FREED CROSSTAR

クロスターは、フロントパンパー開口部のデザインが異なり、さらにシルバーのガーニッシュパーツも装着。ゴツめのデザインが印象的なアルミホイール(15インチ)が目を引く。
レジャーシーンも意識しているクロスターには、ホンダお得意のヘアライン仕上げが施されたアルミルーフレールを装着。

FREED CROSSTAR(用品装着車)

新型フリード《インテリア》

外観同様に、クロスターの
キャビンはイメージ一新

 シート仕様は従来型を踏襲しており、3列シート仕様にはセカンドベンチシートの7名定員車と、キャプテン仕様の6名定員車を設定。2列シート仕様と合わせて3つのタイプを用意。ちなみに2列シート仕様は、従来はフリード+(プラス)として設定されており、その中で標準ボディ車とクロスターを選ぶことができたが、新型ではフリード+は廃止されている。
 サードシートの格納時サイズの小型化などで、荷室積載性やインテリアの雰囲気改善を図っているが、基本的な居住スペースや荷室のサイズはあまり変わっていない。サードシートはレッグスペースの余裕は少なく、着座姿勢も少々窮屈だが、それでも見晴らしが改善されたことで居心地が向上した。2ℓ級1BOXミニバンと比較するとサードシートの居心地は見劣りするが、3列シートSUVのサードシートよりも、実用的なサードシートになっている。
 また、セカンド2席のキャプテン仕様なら、サードシートへのアクセスも簡単。乗降時の車内移動のしやすさはフロアトンネルのないフラットフロア設計の賜だ。このあたりもフリードが1BOX型に近いという理由のひとつだ。
 ウイークポイントといえるのは、サードシート使用時の荷室の狭さだ。従来型と同様に買い物袋が置ける程度のスペースしかなく、ある程度の荷物を積むにはサードシートの格納が必須だ。
 クロスターだけに設定されている2列シート仕様の荷室設計は、従来型を踏襲。表裏が使えるラゲッジボードの使い分けで、高さの余裕を取るかが選べる。積載性だけを見れば2列シート仕様の優位は明らか。クロスターのアウトドアキャラともよく似合っている。
 インパネの基本造形はエアーもクロスターも共通。従来型と基本レイアウトや操作動線は大きな差異はないが、見た目の印象は違っている。新型は左右連続したアッパーパネルにメーターやディスプレイを填め込んだような形状。ファブリック巻の表皮を採用するエアーはクッションの様にも見える。
 さすがにこのままではクロスターにはミスマッチということで、クロスターの表皮には合成皮革様の素材を採用。さらに色調が異なることで、内装でもキャラの違いを主張している。また撥水撥油対策が施されたシート表皮も注目ポイントだ。
 上級グレードには天井にリヤクーラーも用意されている。ポストファミリーのレジャーワゴンとしても、機能と居心地の気配りが利いたインテリアに仕立てられている。

FREED e:HEV AIR EX

キャプテンシートは前後スライド機構を備える。フロントシートもセカンドシートもシート間にスペースを設けることで、ウォークスルーにも対応する。

FREED CROSSTAR

ズバリ! 新型フリードの実力は?

ファミリーミニバンとして
ぶれることなく大幅に進化

 車体骨格やプラットフォームは大きく変更せずに、装備機能を中心にアップデート。前モデルの評価が高いほどこのパターンになることが多いが、フリードのフルモデルチェンジは、まさにその典型ともいえるものだ。
 従来型で高く評価されていた優れたキャビン機能や走行ハードウェア、安全&運転支援機能の魅力はさらに高まり、より便利な実用モデルに仕上げられている。また、ハイブリッド車のパワートレーンの変更も大きな変化のひとつだ。
 さらに興味深いのは、従来型以上にファミリーカーのイメージを強化したことだ。モデルチェンジをきっかけに、販路拡大を狙いスポーティとかプレミアム方向の演出を加えるのが常套的なやり方だが、新型はそういった付加価値に関してはクロスターの充実で賄う方法を選択している。
 あくまでも本質はファミリー&レジャーのスペシャリスト。そのことを強く実感させてくれるのが、新型フリードなのだ。

注目グレードは「エアー(e:HEV)」

ホンダアクセスから発売される純正アクセサリーも豊富に用意される。クロスターならば、エクステリアのイメージをよりSUV風に楽しむことができる。

 全グレードに最新のホンダセンシングや両側パワースライドドアが装着されるなど、最もベーシックなエアーでも装備水準は高め。内装加飾は少しシンプルだが、実用性を重視するなら、エアーを選んでおけば十分だ。クロスターはスタイルが気に入ったユーザー向けの選択肢だ。
 パワートレーンは、新型は試乗前だがフィットの例からして、従来型以上の性能差が出るのが確実なe:HEV車がベスト。価格差以上の満足度を得られることは間違いない。

従来型ユーザーは買い替えを検討するべきか?《フリード新旧モデル比較》

優れたパッケージングとこなれた価格設定のおかげで、モデル末期まで安定したセールスを記録していた従来型フリード。次も「フリードで……」と考えているユーザーは多いはずだ。ここでは新旧モデルを見比べることで、その違いを浮き彫りにしてみたい。

キャビン機能は大差ないが
走り&装備の違いは明らか

 コンパクトサイズでこれほど多様な用途に対応できるモデルはそうはなく、従来型から新型への買い替えを考えているユーザーも少なくないだろう。ただ、キャビンアレンジやユーティリティに関しては大きな変化を感じる部分は少なめで、広さやアレンジ性などのキャビン機能は、従来型と同等レベルと考えていい。
 ただ、気になるのはクロスターの変身ぶり。従来型は標準ボディ車に比べてちょっと雰囲気が違う程度の違いしかなかったが、新型はフェンダーのクラッディングをしっかり見せるデザインや専用フロントマスクで、外観の印象は標準ボディのエアーと比べると大きく異なっている。
 またハイブリッド車が2モーター式の「e:HEV」に変更されていることも見逃せないポイントのひとつ。現在公表されているデータでは詳細なスペックはわからないが、従来型の「i-DCD」よりも動力性能も燃費性能も向上しているのは間違いない。4WDの悪路対応力の伸びしろはそれほどなさそうだが、レジャーユースも検討しているユーザーにとって、新型クロスターは魅力的な選択になりそうだ。
 ただし、クロスターで気になるのは価格設定。従来型の「ハイブリッド クロスター」の価格は295万7900円~。標準ボディの「ハイブリッド G」の価格は268万8400円~なので、その価格差は約27万円。ボディパーツを除いた純粋な装備差を考慮するなら10万円前後の違いがある。
 新型は内外装の手の加え方からして、それ以上の差が出るのは間違いなく、さらにハイブリッドの「e:HEV」への変更や予想されるホンダセンシングなどの利便装備の進化を考えれば、従来型よりもそれなりに高くなるのは避けられないだろう。

新型フリード

従来型フリード

宿命のライバルとの関係はどうなる?《新型フリードVSシエンタ 先取り対決》

見た目は似ていても
キャビン設計は違いあり

 トヨタ・シエンタは、2BOX系の車体設計をベースに発展したコンパクトミニバン。3列シートの設定やリヤスライドドアの採用による乗降性の向上など、ミニバン機能を上手にプラスしていることはフリードと同じだが、燃料タンクの超扁平化による室内高の増加などの凝った車体設計が与えられており、見た目以上にビッグキャビンを実現していることが強みになっている。
 このクラスはフリードとシエンタの一騎打ちが続いているが、実車を見比べると、似て非なるタイプに思える。例えばシエンタの外観はショートノーズ/ロングキャビンのコンパクトワゴン風味が強め。さらに売りの3列目シートは座面幅が狭めで小振りなタイプで、着座時のレッグスペースの余裕も少ない。セカンドシート下への格納を重視した設計だ。当然、格納時の収まりはいいが、普段使いでは少し窮屈。割り切りが必要だ。
 パワートレーンは、ともに1.5ℓガソリンエンジンがベースでハイブリッド車も用意される。ただ、シエンタの4WD車はハイブリッド車のみの設定だ。なお4WDシステムは、シエンタは後輪駆動に小出力モーターを用いた生活四駆型のE-Fourになるため、後輪側の駆動容量や踏破性はフリードが一歩リードしている。

TOYOTA シエンタ

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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