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更新日:2024.08.28 / 掲載日:2024.08.28

新型フリード実力チェック!《公道試乗&おすすめグレード》

ハイブリッドシステムが大幅に強化されたこともあって、走りの実力が大きく進化した新型フリード。“ミニバンだから走りは……”は、もはや過去のもの。ミニバンを探しているユーザーはもちろん、コンパクトクラスのクルマを探しているユーザーにとっても、見逃せない存在になっていたのだ。

●本文:川島茂夫●写真:奥隅圭之

HONDA新型フリード公道実力チェック

HONDA新型フリード

価格:250万8000〜343万7500円

●主要諸元(e:HEV エアー EX 6人乗り・2WD) ●全長×全幅×全高:4310×1695×1780mm ●ホイールベース:2740mm ●車両重量:1480kg ●パワーユニット:1496cc直4DOHC(106ps/13.0kg-m)+モーター(90kW/253Nm) ●トランスミッション:電気式CVT ●WLTCモード総合燃費:25.4km/ℓ ●ブレーキ(前/後):ベンチレーテッドディスク/ディスク ●サスペンション(前/後):マクファーソン式/車軸式 ●タイヤ:185/65R15 

コンパクトミニバンの新主役! 走りも大きく進化

大トルクモーター採用で動力性能が大幅にアップ

試乗したのはe:HEVのエアーEXのFFと、クロスターの4WD仕様の2モデル。エアーとクロスターとはサスチューンは共通なので、単純にe:HEVのFFと4WDの試乗になる。

先代からフリードの主役はハイブリッド車に移行しているが、新型は先代のi-DCDからe:HEVへ変更され、動力性能に大きな変化がもたらされている。パラレル式のi-DCDは小気味よい変速感が楽しめるなどドライバビリティの面で独特の魅力を持っていたが、動力性能は1・5ℓ級にプラスαの上乗せがある程度なので、高速走行時や登坂路ではどうしても余力感に物足りなさを感じてしまう。

ところがe:HEVは、大トルクモーターを加速力に活かせるシリーズ式制御を採用していることで、高速走行からの追い越し加速でも十分な余裕を感じることができる。ベースエンジンの排気量は1・5ℓなのでエンジン回転数は少し高めに推移するが、力強いモーターアシストが加わることで、1クラス上の排気量車にも負けない力強さを実感できる。運転感覚もアクセルを深く踏み込む頻度が少なくなるため、1・5ℓの排気量を思わせない。

高速巡航でもモーターを積極的に使う制御を採用

らに今回の試乗では、e:HEVのもうひとつの特徴である高速巡航時のパラレル制御の存在感が希薄だったことも印象的だった。e:HEVは、高速巡航時に加速やエンブレ(回生)がかかると、パラレル制御からシリーズ制御に移行するメカニズムなのだが、新型はシリーズ/パラレルの切り替えによりエンジンフィールが忙しくなるのを嫌って、高速巡航時でもシリーズ式を基本の制御としている。パラレル制御で燃費の端数を伸ばすよりも、ドライバーの爽快感向上や同乗者の負担軽減が狙いのようだ。

今回、ガソリン車は試乗していないが、以前試乗したプロトタイプの感触からすると、全般的にe:HEV車よりも余力感は劣っているため、速度域が上昇するほどe:HEV車との差は拡大するのは間違いない。タウンユース主体というユーザーならガソリン車でもいいだろうが、高速道路を走る機会が多いユーザーなら、e:HEV車のほうがストレスを感じるシーンは少なくなるだろう。

オンロード中心でも4WD車を選びたくなる

フットワークは、乗り心地と高速操安性という背反しやすい要素を上手に両立できていることが新型の強み。

操縦性は、深めに舵角を入れたとしてもラインコントロールがやりやすいタイプだが、それでいて追舵の反応も的確。ドライバーの意図をバランスよく汲み取ってくれる。これは最近のホンダ車に共通する味付けで、長時間走行の疲労軽減にも貢献してくれる。

興味深いのは2WD(FF)と4WDの差だ。ハンドリング感覚はFFの方が軽快だが、路面当たりの据わりのよさや、ロールの挙動の滑らかさと収束性は4WD車が勝っている。段差乗り越えなどで少し気になる車軸周りの振動も4WD車の方が少ない。走りの質感もレベルアップした印象だ。オンロード主体でも積極的に4WD車を選びたくなってしまう。

これらの走りの長所が、ファミリー&レジャーの現場でも実感できることも妙味。サードシートの居心地の向上や、車椅子対応仕様の強化など、新型は先代以上に人に優しいモデルになっているが、走り視点でも期待を裏切らない進化を遂げていた。

●主要諸元(e:HEV クロスター 5人乗り・4WD) ●全長×全幅×全高:4310×1720×1780mm ●ホイールベース:2740mm ●車両重量:1560kg ●パワーユニット:1496cc直4DOHC(106ps/13.0kg-m)+モーター(90kW/253Nm)●トランスミッション:電気式CVT ●WLTCモード総合燃費:21.3km/ℓ ●ブレーキ(前/後):ベンチレーテッドディスク/ディスク ●サスペンション(前/後):マクファーソン式/ド・ディオン式 ●タイヤ:185/65R15

先代のハイブリッド車も1.5ℓエンジンをベースにしていたが、新型のハイブリッドは、よりモーター駆動を積極的に行うe:HEVを採用。走りのレベルが劇的に向上したほか、全方位に使える万能ミニバンに進化した。

エアー

標準ボディ車となるエアーのメインターゲットはファミリー層。前後パンパーやサイドパネルは馴染みやすさを優先したプレーンなデザインを採用している。
シートはコンビタイプでアクセントを付けているが、キャビンまわりは落ち着いたコーディネート。撮影車はセカンドキャプテンシートの6人乗り仕様になる。
先代同様にサードシートは左右跳ね上げ格納式を採用するが、シート座面の薄型化などで、格納時の出っ張り感を上手に軽減。積載性向上が図られている。

クロスター

ルーフレールやプロテクター風の加飾でSUVライクなデザインをプラスしたクロスター。先代よりも個性が明確になったことで、相当な人気を集めそうだ。
クロスターもシートはコンビタイプだが、ブラックを基調とすることでシックな雰囲気を強調。撮影車の2列5名乗り仕様は、クロスターでしか選ぶことができない。
2列5名乗り仕様は、積載性の高さも魅力。後席格納と専用ボードを活用することで、長く広いフラット空間が現れる。レジャービークルとしても活躍できる。

新型フリード オススメグレードはこれ!

どのグレードを選んでも、フリードの魅力は100%味わえる。BSMこそベーシックグレードのエアーには設定されていないが、ホンダセンシングは全グレード標準設定。ワゴンライクに使える2列シートの5人乗り仕様がクロスターでしか選べないのは残念だが、フリードをファミリー&レジャー用途で使っていきたいユーザーに対して、多くの選択肢を提供している。

 フリード選びで最も重視すべきは、やはりパワートレーン。コンパクトミニバンに必要とされる機能や性能は、エアーのガソリン車でも揃っており、これが最もコスパ高の選択になる。

 ただ、ここから予算を上乗せしてハイブリッドのe:HEV車が選びたくなるのが、新型の強み。e:HEV車のガソリン車に対するアドバンテージは約35万円の価格差に見合ったもので、その走りはまったく別物になっている。それこそ、すべての速度域で力強く、その違いは誰が走らせても実感できるほどだ。

 そして駆動方式の選択も悩みのひとつ。2WDと4WDの価格差は23万円前後になるが、4WD車の走りのレベルアップを考えると、決して無い選択ではない。

 なお、ボディタイプのエアーとクロスターは、エアーではセカンドベンチシートの7名乗りが選べたり、クロスターは2列仕様の5人乗りが選べたりという違いはあるが、好みで選んで問題なしだ。

e:HEVは35万円高だが、それに見合う価値がある

エアー EX(6人乗り・2WD)価格:269万7200円

コスパ重視ならガソリン車。ベーシックなエアー標準車は、ブラインドスポットモニター(BSM)やリヤクーラーが非装着になるので、その上の中級グレード・エアー EXの2DWが、装備と価格のバランスが良い。セカンドベンチの7名乗りも選択可能だ。
e:HEV クロスター(5人乗り・4WD)価格:339万3500円
レジャーでも使いたいというなら、内外装の仕立てがSUVライクになるクロスター。5人乗りは2列シートになるが、跳ね上げ機構がないため荷室は広く使えることも魅力のひとつ。パワートレーンは高速長距離のことを考えてe:HEVで決まりだ。
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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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