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更新日:2024.10.15 / 掲載日:2024.10.10
変化の度合いは見た目より大きい【三菱 改良新型アウトランダーPHEV】
文と写真●ユニット・コンパス
4WDを備えた電動化SUVの草分け的存在である三菱のアウトランダーPHEVがマイナーチェンジを受けた。新型では駆動用バッテリーを拡大してEV走行距離を伸ばし、品質感をアップさせて三菱のフラッグシップモデルとしてのキャラクターをさらに引き上げた。今回は、改良のポイントを解説しつつ、改良新型を実車で確認した印象を伝える。
マイナーチェンジの改良ポイントは3つの領域
アウトランダーPHEVは、SUVでのプラグイン・ハイブリッド搭載と4WD採用を世界で最初に実現させたモデルで、現行型モデルは2021年12月に登場している。
今回の改良におけるポイントは3つある。
- ・PHEV機能のアップグレード
- ・快適性の向上
- ・三菱のフラッグシップらしい上質さの演出
こうした要素は、ユーザーからの改善要望が大きかったものだという。一方で、デザインや走行性能などについては評価が高い。よって今回のマイナーチェンジでは、あまり外観上の変化がなかったというわけだ。
EV走行距離はついに100kmを達成
PHEVシステム改良のポイントはバッテリーの大容量化。システム総出力を約20%向上させつつ、EV走行距離もついに約100㎞という大台に乗った。バッテリー容量に余力が生まれたことは走りの上質かにもつながっていて、よりモーターを生かせる静かでスムーズな走りのセッティングが実現できたというから試乗の機会が待ち遠しい。
続いて快適性の向上について。メインの改良はサスペンションとタイヤ銘柄の見直しである。狙いは路面から伝わる振動や衝撃を乗員に伝えにくくすること。こちらについても試乗していないのでまだ評価はできないが、段差などでの突き上げが減少しているという。
ハンドリングについても手直しが行われている。パワーステアリングのアシスト力見直しとパワートレイン制御だ。よりモーターが積極的に使えるようになったことで、上質な乗り心地と安定感を両立できたと三菱は主張する。
大型モニター搭載でインテリアは一気にレベルアップ
最後に上質さの演出について。
外装はグリルの意匠やバンパーの造形が一部変更されてリフレッシュ。ウインカーやバックランプがLEDになったのも効果的だ。新デザインのアルミホイールも、力強さを感じさせる造形と美しいフィニッシュで目を引く。
インテリア改良のハイライトは、12.3インチへと大型化されたセンターディスプレイ。表示内容も刷新され、より上質な雰囲気を醸し出している。
上級グレードのシートはデザイン変更に加えシートベンチレーション機能も追加された。ヤマハと共同開発した新オーディオも自慢。上級グレードを中心にラグジュアリーなテイストを追求したアイテムを投入した。とくに最上級グレードにはセミアニリン仕上げの本革シートを採用して高級ミニバンと比べても引けを取らない上質さを目指している。これは実車を確認したが、シートは確かに上質な仕立てで、前列にはシートベンチレーションが加わったのも高評価だ。
フレームレスのデジタルルームミラーやランプ類のLED化、アルミペダルなど、オーナーになったら気になる細かいところを改良しているのが嬉しい。
ユニークなのはオーディオシステムを刷新したこと。これもマイナーチェンジでは異例だ。三菱らしい新しいプレミアムオーディオを実現できるコラボレーション相手を探しているなかで、ヤマハの成り立ちや企業姿勢に共感しオファー。「いい音」による「新しい体験」を目指した。
標準装備となる「Dynamic Sound Yamaha Premium」でも、かなり引き締まった低音や音の解像度の高さを感じた。資料には「キレがいい」という表現があったがまさにそのとおり。上級モデルの「Dynamic Sound Yamaha Ultimate」は、さらにハイレベルだった。音ひとつひとつの輪郭がよりクリアになり、ボーカルや楽器の存在がリアルに感じられる。シーンや車内のどこに音をフォーカスさせるかなど、細かく制御できるのも「Ultimate」ならでは。いずれにせよ、ドライブを盛り上げてくれる元気のいい音づくりが好印象だった。