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更新日:2025.02.02 / 掲載日:2025.01.30
ジムニーノマドはいいぞ! 実車チェックでわかったこと

文と写真●ユニット・コンパス
待ってました!という声も多いでしょう。人気のスズキ ジムニーに、ついに5ドアモデル「ジムニー ノマド」が追加されました。
現行型ジムニーは、登場するやいなや年単位のバックオーダーを抱える人気モデルとなりましたが、ユーザーから利便性の高い5ドアを望む声が多く、その期待にスズキが応えた形になります。
ここでは、ジムニー ノマドの実車に触れた感想や開発者から聞いたポイントをお伝えします。
シエラ+34cmのロングホイールベース=ゆとりの後席空間!

まず、「ジムニー ノマド」は、軽自動車ではなく普通自動車です。1.5Lエンジンを搭載する「ジムニー シエラ」がベースで、全長(ホイールベース)を340mm拡大することで後席のスペースを広げました。この後席こそジムニー ノマド最大の見どころです。

実際に後席に座ってみると、ドアが追加されただけではないことにすぐ気がつきました。膝前の余裕が増えていますし、足元がかなり広くなっているのです。シエラでは、一度座ると足を動かすことは難しかく、背もたれも立ち気味だったので、長時間はきついなというのが正直な感想でした。ジムニーのメインユーザーは後席空間よりボディ全長が短いことのほうを大事にしていましたから、それはそれでよかったのです。



一方ノマドでは、足元がかなり広くなり膝前スペースにも余裕がうまれたので、姿勢の自由度がかなり上がっています。また、背もたれの角度が少し寝かされたことで、圧迫感もかなり少ない印象です。
さらにシートクッションの厚みがアップしていて、後席用パワーウインドウのスイッチも用意されています。それと、シエラでは鉄板剥き出しだったリヤウインドウまわりに内張りが追加されたのも見逃せません。シエラの後席には特別感というか、トラックの荷台に乗っているような非日常的なおもしろさがありましたが、やはり快適性を考えたらトリムは必要でしょう。
関心したのが乗り降りのしやすさ。ドア内張りの形状やドア開口部が工夫されているので、靴の先を当てずに乗り降りできます。ここが狭いと非常にストレスになるので嬉しいポイントでした。開発者に聞いたところ、ドア周辺の形状にはかなりこだわったとのこと。
ラゲッジボックス廃止でラゲッジには段差が生まれた

一方で少し残念だったのが、後席を倒した状態でラゲッジスペースに段差ができてしまうこと。ちなみに下の画像がシエラの荷室。手前にラゲッジボックスを搭載することで段差をなくしたフラットな荷室を実現しています。

その理由をたずねると、「ノマドでは座り心地を優先して、クッションの厚みを増やした。それと4名乗車時の荷室容量を確保するためにラゲッジボックスを廃止した」という回答がありました。なお、スズキもフラットな荷室の要望を想定していて、販売会社装着アクセサリーを設定する予定とのことです。
どこから見てもジムニーらしいデザインにこだわった


開発チームと会話を続けていると、デザインにかなりこだわっていたことがわかりました。こちらとしては「ただ5ドアにしただけなのにこだわり?」という気持ちもあったので、会話が噛み合うまで時間がかかったのですが、話を聞けばなるほどというものでした。
ジムニー ノマド開発チームのこだわり。それは、「変えるところと変えないところをとことん考える」というものでした。
5ドアにするためにホイールベースは伸ばす。でも、見た瞬間の印象はジムニーシエラから変えたくない。そこで、窓ガラスの比率などを徹底的に検証。ドアの取り付け部になるBピラーの位置やドアの長さを設定したそうです。そう、じつは前席ドアがわずかに短くなっているのです。
一方で、ジムニー ノマドらしさをどのように表現するのか、変えるべきところにもかなり悩んだそうです。ユーザー目線でも所有欲を満たしてくれる工夫なら大歓迎。そこで採用されたのが、ガンメタリックとメッキで仕上げたフロントグリル。これについて、変えて欲しくなかったという意見もあるのでは?という少々意地悪な質問をしたところ。意外な答えが返ってきました。

「もちろん、変えるべきではないという意見もありました。しかし、どうしてもシエラと同じものがいいというユーザーは、純正パーツを流用することも可能ですよね。ならば、せっかく変えるチャンスがあるなら、新しい表現にトライしようという判断になりました」
ジムニーシリーズにおいてノマドは上級モデルという位置付けにあります。これは後席に人が快適に乗れること、ホイールベースが長くなったことで乗り心地もゆったりとした方向性になることからも決められた方向性です。そこで、ジムニーらしい上質感の表現ということで、ガンメタリックとメッキのグリルというアイデアが生まれたとのことでした。
あくまでもジムニー。それを理解したうえで選ぶべき

プロ仕様のリアルクロカンというジムニーらしさはそのままに、日常での扱いやすさをプラスすることでさらにユーザー層を広げたのがジムニー ノマドです。
SUV感覚で乗るとあまりの道具感の強さにびっくりするかもしれません。しかしそれがジムニーらしさであり、本物であることの裏返しです。そこを理解した上で選ぶのであれば、リセールバリューの高さも期待できますし、ジムニー ノマドは間違いのない選択になるでしょう。
なお、ボディカラーにもノマド専用色が設定されています。「シズリングレッドメタリック/ブラックルーフ」と「セレスティアルブルーパールメタリック」で、いずれも従来なかったタイプの鮮やかさが印象的なカラー。ノマドらしさをアピールしたいユーザーにとっては魅力的な選択肢なのではないでしょうか。




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