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更新日:2025.03.09 / 掲載日:2025.03.08
キャデラックはラグジュアリーEVで勝負する【キャデラック リリック】

文と写真●ユニット・コンパス
5年ぶりに登場したキャデラックのニューモデル「リリック」は、キャデラック反撃の狼煙となるか。GMジャパンは3月7日に都内でEV戦略について発表しました。そこで披露されたのは、新型車、今後の戦略、そして新しい販売方法。アメリカを代表する高級車ブランドの新戦略をレポートします。
「ラグジュアリーEV」に注力

キャデラックはアメリカを代表する高級ブランドで、長い歴史のなかで先進的な技術と優れたデザインで名車を生み出してきました。
そんなキャデラックがいよいよ電気自動車を日本市場に投入することになりました。電動ラグジュアリーSUV「リリック」はそのスタートを切るモデルで、2026年までに合計3モデルの電気自動車を投入する計画があきらかになりました。一方で、エスカレードのようにエンジンを搭載するモデルも継続して販売されるとのこと。
最新トレンドからすると、電気自動車には逆風が吹いているのではという疑問もありますが、GMジャパンの若松社長によれば、輸入ブランドの上級モデルについては電気自動車は成長していて、そこにビジネスチャンスがあると判断したということです。そして、日本市場に力を入れる証拠として、右ハンドル化と日本の急速充電規格にも対応するとしています。
「リリック」は510kmの航続距離や先進装備を誇る美しいSUV

では、キャデラックの電気自動車第1弾として発表された「リリック」を紹介します。日本に導入されるのはモノグレード、「リリック スポーツ」の価格は1100万円です。
全長×全幅×全高は4995×1985×1640mm。全長と全幅はランドクルーザー300に近いサイズで、全高が抑えられているためスタイリッシュな印象があります。これまであまり見たことのないプロポーションで、街中では目を引くことでしょう。
特徴的なのはホイールベースの長さで、その値は3085mm。これはランクルよりも200mm以上長く、実際後席の空間はかなり広々としていました。
モーターを搭載するAWDで、航続距離は510km(WLTPモード)。システムトータルでの最高出力は約522馬力、システム最大トルクは610Nmとかなりのハイパフォーマンスを誇ります。



装備についてもキャデラックの上級モデルだけあって充実しています。
ディスプレイは湾曲型33インチという大画面で解像度は9K。スピーカーは合計19個搭載されていて、静粛性を高めるためにフロントとサイドは二重ガラス、リヤガラスは5mm厚となっています。
運転支援技術については、アダプティブクルーズコントロールやレーンキープアシストなどを搭載。後方視界をサポートするリアカメラはズームや明るさ調整機能も備えています。

値引き交渉の必要がない販売方法を導入
電気自動車の投入を機に、販売方法についても新しい取り組みが導入されます。これまでは、価格交渉によって、値引額はまちまちでした。そういった不公平感をなくし、販売店はユーザーに高品質なサービスを提供する場所という位置付けにするべくワンプライス販売が導入されました。今後は、ラグジュアリーブランドにふさわしいユーザー体験を重視したコミュニケーションをおこなっていくというから期待です。
発表会会場には、2026年導入予定の3列シートSUV「ヴィスティック」も展示されていました。こちらも「リリック」同様に長いホイールベースと全高の低いプロポーションが特徴で、新世代キャデラックのイメージが伝わってきました。2026年にはさらにエントリーモデルで若い世代に向けた「オプティック」、そして「リリック」の高性能バージョンも控えているとのこと。
日本とも欧州とも違う独自のラグジュアリーテイストが魅力のキャデラック次世代電気自動車は、ラグジュアリーマーケットを刺激する存在になりそうです。

