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更新日:2018.11.16 / 掲載日:2017.04.18

目指すはフェラーリ! ベンチャーのGLMが電気時代のスーパースポーツをお披露目

文と写真●ユニット・コンパス

 国内初の量産EVスーパーカーが、いよいよ現実となる時がきた。2019年の量産化を目指す「GLM G4」 がコンセプトモデルとして、2017年4月18日、新豊洲Brilliaランニングスタジアムでお披露目された。気になる想定価格は4000万円、目標販売台数は1000台であることも同時に発表された。

 京都大学発のベンチャーで、電気のみで駆動するスポーツカーの量産化を国内で初めて成功させたGLM(株)(京都市)が開発するEVスーパーカー「GLM G4」は、路上を走るヨット「RoadYacht」をコンセプトに、現代のラグジュアリーカーにおける新境地を拓くグランドツーリングカーとして開発された。クーペスタイルの4ドア、4シーターモデルは、スーパースポーツモデルらしいルーフラインを持ちながら、大人4名がくつろげる居住性を確保する。前後のドアは独立で跳ね上がるシザーズドア方式を採用。斬新なボディラインはダイナミズムとエレガンスを強調している。

 メカニズムでは、専用開発された高効率かつ高出力なモーターを前後に2機搭載し、最高出力400kw(540馬カ)、最大トルク1000Nm(102.0kgm)を発揮、4WD機構を通して路面に伝えられる。加えて2機それぞれが、路面状態に応じて、タイヤの回転力を自動制御し、パフォーマンスの最適化が行われる。現在、モーターやバッテリー、車両制御ユニットなど、G4専用のパワートレインならびに電子制御系の開発が急ピッチで進められているという。現状では、トランスミッションの多段化により、出力に左右されにくい運動性能の実現などを目指している。

 0-100km/h加速をわずか3.7秒で行い、最高速度は250km/h、そして航続距離も400kmに達するというハイスペックを誇るG4だが、ボディサイズや重量などの詳細は、今後「開発過程で決定する」という。

 GLM株式会社は、自動車プラットフォーム(シャーシやドライブトレインなど)や、それを利用した完成車の開発・販売を行っていく。これまで自動車産業は、世界中の大手自動車メーカーによる巨大寡占市場であり、業界へ参入するためには、高度な技術を要する内燃機関開発とシャーシ開発が必要だったが、バッテリーや燃料電池の革新により調達が大幅に容易になっている。GLMでは、残る参入障壁であるシャーシをモジュール化して外販することによって、自動車業界への新規参入を果たし、産業構造の変革を起こすことを事業目標に掲げている。

 トヨタをはじめ日産スバルダイハツなどの自動車メーカーや三菱重工、アイシン精機といった大手部品メーカーからもエンジニアを中心に優れた人材が集まっているGLM。彼らを引き付けているのは、「クルマをゼロから開発したい」という夢だという。小間裕康(こまひろやす)社長も、「ゼロからの開発」ということの誇りと、またこれまでの困難な道のりを感慨深く振り返った。小間社長は、GLMが今後も、国内唯一の小規模生産の自動車メーカーとして「ワクワクする瞬間」を追い求めていき、日本の高い技術と洗練された感性を詰め込み、贅沢な時間を共有できるマシンの開発を行っていくと熱く語った。

 もはやスーパースポーツであってもエコであることが望まれる時勢だが、GLMでは、既存の内燃機関の延長線上にはない、EVならではの新しいスポーツモデルのあり方を追求していくという。

これまでにない開発スタイル

 ところで、GLMには従来の自動車産業にはない、設計・製造面における特徴がある。

 そのひとつは、プラットフォームと外装部分(外観ボディ)を完全に分離している点だ。GLMではモデルのコンセプトや性能、仕様、デザイン設計といった企画開発と基礎技術、安全面における技術開発を重視し、モーターやバッテリーなどの重要パーツは社外メーカーと共同開発する。それ以外の多くの部品は製造を行わず、各メーカーや部品メーカーなど、国内外170社から調達する。EV開発をいち早く手掛け、完成車を造り上げた実績から、こうした新しい垣根(系列)を超えた体制づくりが可能になったという。

 もうひとつは、これまで多くの自動車メーカーが、クルマづくりのノウハウをすべて自社で抱え込む垂直分業型の体制だったが、GLMでは水平分業型の開発体制を敷き、協力会社に対して開発状況や開発車のコンセプト、必要な部品内容をオープンにし、双方で情報交換やアイデアを出しながら共同開発を行っている。双方向の情報公開により、さまざまな角度から優れたアイデアを吸収し、品質と開発スピードを高めることに成功しているという。

 また、モジュール化したプラットフォームを開発していくなかで、プラットフォームそのものや、その一部分、その設計技術など、培ったノウハウの販売も視野に入れている。GLMのモジュール化されたプラットフォームをベースに共同でEV開発を行えば、自動車メーカー以外でも比較的容易にオリジナルのEVを販売することが可能となる。同社はこのプラットフォーム事業を通じて、EVに新規参入したい世界各国の企業を開発部隊としてサポートしていく考えを明らかにしている。ゼロからビジネスを立ち上げることの困難を熟知するGLMならではのサービスといえるだろう。

 ベンチャー企業がEVのスパースポーツをゼロから開発する。そんなロマンを現実とする「GLM G4」だが、年内には試作車での走行実験も行われる予定で、その様子を収めた動画も公開されるというので大いに期待したい。

  • 「ゼロからの開発」にかけるGLMのつよい思いを語る代表取締役の小間裕康氏。

  • 「和製テスラ」と呼ばれることが多いというがGLMだが「目指しているのはむしろ、EV版フェラーリともいえるもの」としている。

  • 会場内には、量産販売される日本初の国産EVスポーツカー「トミーカイラ ZZ」と、「トミーカイラ ZZ」の外装が外されたプラットフォームが展示された。

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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