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更新日:2018.11.25 / 掲載日:2018.10.01

SUZUKI ジムニーvsジムニーシエラ ベストバイ最終結論!

異なるエンジンを搭載しているジムニーとジムニーシエラ。コストパフォーマンス優先ならば軽乗用車のジムニーが圧勝するが、純粋にクルマの実力で比較した場合はどうなるのだろうか? オフ&オンロードを舞台にガチンコ勝負をしてみたぞ!
●文/川島茂夫 ●写真/奥隅圭之

  • SUZUKI ジムニー
    ●価格:145万8000~184万1400円

    ■主要諸元(XC 5MT)
    ●全長×全幅×全高:3395×1475×1725mm
    ●車両重量:1030kg
    ●エンジン:658CC直3DOHCターボ(64PS/9.8kg・m)
    ●WLTCモード総合燃費:16.2km/L
    ●燃料タンク容量:40L[レギュラー]
    ●最小回転半径:4.8m
    ●最低地上高:205mm

  • SUZUKI ジムニーシエラ
    ●価格:176万400~201万9600円

    ■主要諸元(JC 4AT)
    ●全長×全幅×全高:3550×1645×1730mm
    ●車両重量:1090kg
    ●エンジン:1460CC直4DOHC(102PS/13.3kg・m)
    ●WLTCモード総合燃費:13.6km/L
    ●燃料タンク容量:40L[レギュラー]
    ●最小回転半径:4.9m
    ●最低地上高:210mm

ジムニーvsジムニーシエラ 似ているけれど意外と違う!

  • 両モデルともボディシェルは共通。

  • 車体寸法はシエラが全長は155mm、全幅が170mmほど広くなるが、この差はフロントバンパー&大型フェンダーによるもの。

違いその1【エクステリアデザイン】

  • シエラは幅が広い195/80R15サイズを装着。

  • ジムニーの175/80R16と比べると、腰高感が軽減しており、どっしりとした印象を受ける。

違いその2【搭載エンジン】

  • 658cc 直3DOHCターボ【最高出力:64PS 最大トルク:9.8kg・m】ジムニーはR06A型と呼ばれる658cc直3DOHCターボを搭載。

  • 1460cc 直4DOHC【最高出力:102PS 最大トルク:13.3kg・m】シエラはK15B型と呼ばれる1460cc直4DOHCを搭載。共にスズキの最新仕様のユニットが採用されている。

トレッド幅が広いシエラは走行安定性の面で有利

ジムニーもシエラも、凹凸が激しい路面であってもタイヤは柔軟に路面に追従する。駆動力が十分確保されるためスタックする心配は皆無だ。

 ジムニーとジムニーシエラ(以下シエラ)が、共にオフロードのスペシャリストであることは間違いないが、どこまで高い踏破性を持っているのか? その優劣はどのレベルで実感するのか? が、大きなポイントだ。
 まず、ジムニーとシエラの違いだが、基本的にはジムニーに排気量の大きなNAエンジンを搭載して登録車に発展させたのがシエラだ。ボディシェルも共用で、キャビン周りの余裕や仕立ても共通の仕様になっている。つまり、キャビン&荷室空間の使い勝手やゆとりなど、実用面では大きな差が無いということになる。
 エクステリアの大きな違いはバンパー部とフェンダー部の仕様が異なる点だ。シエラはオーバーフェンダー&専用バンパーの装着により車体サイズが拡大している。その全幅の差は170mm。この170mmを「もある」と取るのか、「しかない」と取るのかはユーザー次第だが、ジムニーの魅力はサイズであり、この小ささもリアルクロカンの現場では踏破性に差が出てくる。
 ただ、シエラはトレッド幅も拡大しており、横転しにくさも含む安定性ではシエラが有利となる。タイヤサイズもジムニーの175/80R16に対して、シエラは195/80R15。周長も若干異なり、タイヤのハイト高がシエラは1割増しで、クッションストロークでもシエラが有利になる。
 またシエラのボディ寸法は、妙味ある設定だ。小ささが大きな武器のジムニーの長所を損ねず、踏破性や走行性能あるいは上級感覚を高めるためのサイズアップを巧みに最小限に止めている。中にはジムニーがギリギリ、シエラでは大きすぎるというユーザーもいるだろうが、そのあたりの按配が上手い。

細かなパワーコントロールはジムニーに軍配が上がる

 もう一つの大きな相違点がパワートレーンだ。これは軽規格というタガが外され、1.5リットルNAエンジンを搭載するシエラが標準設定と考えるべきだろう。
 ジムニーはターボエンジンとはいえ、排気量はたったの658ccに留まる。さらに自主規制により最高出力も64PSに抑えられている。昨今のターボらしく比較的フラットなトルク特性を持つが、最大トルクは9.8kg・m。シエラは102PS/13.3kg・mとひと回りもふた回りも余裕ある設定だ。車両重量は約50kgほどシエラが重い設定になるが、パワーウェイトレシオは約5・4kg/PS、トルクウェイトレシオは約24kg/kg・mもシエラが勝っている。
 ただし、変速はローギヤード化されているため、MT車で比較するとジムニーの2速がシエラの1速相当となる。各ギヤのざっくりとした駆動軸トルクを計算するとAT車では同等、MT車ではジムニーのほうが大きくなる。つまり、本格オフロードで微細なコントロールを行うシーンでは、シエラよりもジムニーが適している。実際、今回の乗り比べでは、これ以上荒れたら通行止め寸前の林道も走らせたのだが、ジムニーのほうが小技も駆使しやすく、思い描いた走りができたのだ。

ジムニーvsジムニーシエラ オフロード比較

悪路でもイージードライブができるシエラの懐の深さが印象的

 ジムニーはシフトワークが忙しい。ギャップの乗り越え程度でも1-2速を頻繁に切り替える必要がある。クラッチも早く繋ぐか、半クラ気味に回転を制御しながらいくか、エンブレもシフトで制御する印象だ。こういう細かなコントロール、操る感が高いことはジムニーの醍醐味の一つだろう。
 一方、シエラは試乗車がATだったため、極低速で大きな駆動トルクを掛けるようなシーンでもハンドル操作に専念できた。こういった状況でトルコンATはありがたい。シエラの1.5リットルNAエンジンは低回転域でも力強いトルク感があり、ATとの相性も良好。微妙なトルクコントロールができることもあり、大半の状況でジムニーより楽々と走破できた。ドラテクを駆使せずとも一定以上の走破性を持つことが、シエラのAT車の強みだ。

  • 頻繁なシフト&アクセル操作が必要となるが、MT車のジムニーの方がパワーコントロールが容易。思い描く走行ラインで走ることができた。

  • 共にラフロードレベルでは十分すぎるほどの余裕の走りを披露するが、乗り心地や走行安定性はトレッド幅が広いシエラの方が若干有利。

ジムニーvsジムニーシエラ オンロード比較

軽エンジンのジムニーは、頻繁なシフト操作が不可欠

 オンロードでもジムニーのMT車は「本気のオフローダー」を実感させてくれる。ただし、あまり良い意味ではない。100km/h・5速巡航時のエンジン回転数は約3900回転。対してシエラのAT車はローギヤード化されていることもあり約3100回転である。3000回転でも回し過ぎの印象なのに4000回転近く回ると精神的なストレスも大きい。
 市街地走行ではジムニーはエンジンに余裕がなく、回転を抑えるように走るとシフトはかなり忙しい。ハンドリングはともに必要十分レベルだが、ジムニーのほうがやや収まりは悪く、横風などの影響も感じやすい。

【最終結論】後悔しないのは、どちらのジムニーか?

性能で選べばシエラがベスト、AT車でも十分楽しめる

 オフローダーマニアなら迷わずジムニーのMT車を選ぶのだろう。本格スポーツカーのように操る楽しみに溢れている。ただ、オフロード走行の操る楽しみはスポーツカーよりも難しく、特殊なテクニックも必要だ。ジムニーのMT車は超ヘビーユーザーかハードコアなマニアのクルマと考えたほうが賢明だ。
 一方、ジムニーもしくはシエラのAT車はオフロードの特別なドラテクは利きにくくなるが、面倒少なく扱えるのが長所。特にパワートレーンに余裕があるシエラと相性が良い。長距離ツーリング向けとは決して言えないが、市街地走行でも高速でも余裕を持って扱える。維持費を考えないならば、シエラのAT車はジムニー系のベストチョイスだ。

納期問題はどうなっている?

品薄解消に向けて生産台数の増化を発表

 7月の正式発売以来、約1か月で国内年間販売台数(ジムニー:1万5000台、ジムニーシエラ:1200台)を大幅に超える受注を集めたジムニー/シエラ。
 現在、ディーラーでは「ジムニーの納車は1年以上待ち。シエラはそれ以上」と説明せざるを得ないほどのバックオーダーを抱えているが、この品薄に対応するため、スズキは2019年1月を目処に月間生産台数を約1.5倍の7000台規模に拡大することを発表した。すぐに品薄解消とまではいかないが、納車を待つユーザーにとって朗報だろう。

  • 【ジムニー】納期の目安:8か月以上

  • 【ジムニーシエラ】納期の目安:10か月以上

提供元:月刊自家用車

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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