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更新日:2019.06.07 / 掲載日:2018.10.10
レクサス ES【ニュースキャッチアップ】

文と写真●ユニット・コンパス
文●ユニット・コンパス 写真●レクサス、トヨタ
(掲載されている内容はグー本誌 2018年10月掲載の内容です)
久しぶりに自動車のワクワクする新技術が登場した! なんと、ドアミラーがカメラに置き換わるミラーレス車が市販されるのだ。フェンダーミラーからドアミラーに変わって30年以上の時間を経て、自動車の外観が大きく変化するミラーレス車時代が到来した!
ドアミラーの解禁以来 30年以上ぶりに制度改定
当たり前のことが当たり前じゃなくなる。まさに歴史の変わり目に私たちは立ち会おうとしている。
我々が普段乗っている乗用車には、すべからくルームミラーとサイドミラーによるバックミラー(後写鏡)が備わっている。なぜなら、それが公道を走るためのルールだから。そのルールとは道路運送車両法の保安基準で、安全の確保や公害の防止を主な目的として制定されている。
1950年代までは、ミラーに関する規定はなかったが、その後モータリゼーションの発展とともに事故が増えると、視界を確保するためのバックミラーが義務化された。その規制が一部緩和されたのが1983年で、フェンダーミラーだけが許されていたボンネット付き乗用車にもドアミラーが解禁された。
そこから30年以上ミラーに関する規制は動かなかったが、2016年に国交相は保安基準を改定し、ミラーレス車の公道走行を認める。これは2015年11月に国連でミラーレス車に関する国際基準が制定されたことを受けてのことだった。
こうして、画質や表示範囲、倍率などが国際ルールとして規定され、モニターを現在のミラーと同じような位置に設置するという条件により、日本の路上でもバックミラーやサイドミラーの代わりにカメラやモニターを採用することが可能になった。モニター式バックミラーが登場したのもこのためだ。
そして2018年10月、いよいよ市販車としては世界初となるサイドミラーレス車(レクサス名称「デジタルアウターミラー」)がレクサスから市販されることが決定した。
ミラーがカメラとモニターに置き換わることで、従来では成し遂げられなかった機能が付与されるのはもちろん、いままで当たり前だったミラーが超小型化したことで、クルマのスタイルもすっきりとした。
今後、先進安全機能との連携も期待される注目のテクノロジーだ。
日本市場に初めて導入されるESはレクサス期待のニューモデル

日本市場にフィットするほどよいボディサイズにLSゆずりのスタイリッシュなデザインを融合した。
【CLOSE UP】車両後方の画像を5インチモニターに表示

レクサスの「デジタルアウターミラー」は、サイドミラーに代わってカメラの映像が室内の5インチモニターに表示される。ただミラーの置き換えというだけでなく、画角がシチュエーションによって変更するといった機能性が加えられているのも特徴。たとえばウインカーを操作すると、その方向を写すモニターの画角が広角となり、より幅広い範囲を映し出す。
国交相の指導により、エンジン始動時に必ず手動で機能をオンにする必要があるが、操作に対するレスポンスも早く十分に実用的。一部グレードにメーカーオプションで設定。
夜間や雨天といった環境でもクリアな視界を提供

鏡では、サイドガラスが雨滴で濡れると正しい像を結ばないが、カメラではこのようにクリア。また、夜間ではより明るく表示する。
駐車時の死角を減らしてくれる

こちらはリバースに入れた際のイメージ画像。バックモニターに表示されるガイド線との整合性を持たせたというのが開発スタッフのこだわり。
ウインカーに連動して視野を広げる

ウインカー操作に連動して、より広い視野角をドライバーに提供する機能も備わっている。死角が減らせることは、当然ながら安全と安心に大きく貢献する。
歴代クラウンに見るミラー進化の歴史
初の国産車であるトヨタ クラウンは、同時に自動車の歴史を示す証人でもある。ミラーに関する規定は保安基準によって定められているが、それは時代によって変化している。
トヨタ博物館が収蔵する初代クラウン。ご覧のとおりミラーレス。直接振り返るしかなかった。
フェンダーミラーを採用した2代目。死角の少なさという面ではフェンダーミラーは優秀だ。
ドアミラーを初めて採用したのは7代目。規制緩和により、現在のようなスタイルが実現した。
自動車の未来を変える可能性を秘めた技術
取材会ではデジタルアウターミラーを試すことができた。ミラーと違って顔の角度が変わっても映し出す映像が一定なのは、死角を減らす意味では理にかなっているが、慣れるまで違和感を覚えるひともいるだろう。だが、デジタルならではの画像認識技術との融合など期待は膨らむ。