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更新日:2020.09.13 / 掲載日:2020.09.13
新型レヴォーグのすべて【2】「アイサイトX」の真価とは
基本性能向上で市街地の、 Xで高速の安全性がアップ
レヴォーグのアイサイトは基本システムの改良と次世代型運転支援機能のふたつの注目点がある。
基本システムの改良ではステレオカメラを広角の新型に一新。さらに車体の前後左右コーナーにはレーダーを装備。後方近距離用のソナーも合わせ、全方位監視型となった。これにより右左折時の歩行者や直進車両、T字路の死角接近車両との衝突回避緊急自動制動も可能となり、交通量が多く煩雑な都市交通での安全性を大きく向上させている。
また、緊急自動制動では追突回避が難しい状況ではシステムが操舵を行い回避を支援する緊急時プリクラッシュステアリング、車線変更時に隣接車線の後方接近車両を検出した時に操舵制御で車線逸脱を予防するエマジェンシーレーンキープアシストも新採用された。
これらの機能は新型アイサイトの基本機能であり、全グレードに標準装備されている。
このシステムをベースに3D高精度地図ユニットを追加して渋滞時のハンズオフ走行や自動発進、カーブや料金所での自動減速などの機能を加えたのがアイサイトX。仮設料金所などを配したテスト用専用地図データで試してみたが、料金所やコーナーへ向かう時の滑らかな減速には感心させられる。ちょっとタイミングが早いような気もするが、同乗者気分で感じれば程よい減速感。配慮の利いたドライバーの穏やかさを思わせる。
渋滞ハンズオフは50km/h以下の前走車追従時のみに限定。手放し運転と言ってもよそ見は厳禁。ドライバーモニターが監視しているので俯き横向きでは解除されてしまう。また、50km/h以下でも単走では作動しない。
自動レーンチェンジは待機状態でウインカーを操作すれば、半自動で転舵を行う。エマジェンシーレーンキープアシストとのコンビで車線変更時の精神的ストレスが減少するのが長所。なお、アイサイトXの認識や各機能の状況は同仕様専用装備となる12・3インチフル液晶メーターに表示される。
理性的に考えるとアイサイトの基本機能の進化に比べるとアイサイトXの付加機能は実利としてのメリットは少ない。ただ、自動運転技術の方向性も含めて、確実なステップアップを遂げていた。
【新型アイサイト】広角化したステレオカメラを搭載
全車標準となる、新しいアイサイトはステレオカメラ自体も新型とした。
フロントガラスに張り付くようなタイプとなり、より広角化させた。左右の前側方レーダーもスバル初採用。
アイサイトアシストモニターは、新たに9灯タイプへと進化している。
前側方プリクラッシュ ブレーキ
カメラでは捉えにくい、前側方のクルマの接近。こちらは新しく装着されたレーダーで捉え、いわゆる「出会い頭の衝突事故」を防止してくれる。実用面で大きくレベルアップ。
プリクラッシュブレーキ の作動領域拡大
いわゆる通常の自動ブレーキも大きく進化。対向車だけでなく右左折時の自転車や人(横断者)についても、広角化したカメラで捉えて検知、ブレーキを作動させる。
エマージェンシーレーンキープアシスト
実際にテストすることができた新機能。車線を移りたい側の後側方にクルマがいると、車線変更をしようとしても警告しステアリングが戻される。
緊急時プリクラッシュ ステアリング
プリクラッシュブレーキのみでは衝突を避けきれない、そんな場合にはこの機能が作動。システム側がステアリング制御もプラスで行うことで、衝突回避をサポートする。
【アイサイトX】新型アイサイト+3D地図データ+GPS
使用可能
起動中
ハンズオフ作動中
アイサイトX付きがEX。フル液晶メーター、11.6インチセンターディスプレイ、視界拡張技術、ドライバーモニタリングも標準に。
アイサイトXの起動スイッチは、ACCボタン、ステアリングアシストボタンなどとともにステアリングの右側に配置されている。
渋滞時発進アシスト
今までは一定時間が過ぎて前車が発進するとスイッチを押したり、アクセルを少し踏まないと動かなかったが、操作なしで追従するように。
渋滞時ハンズオフアシスト
渋滞の時はハンズオフが可能に。約50km/h以下で作動のシステムで、それを超えるとステアリングを操作するよう警告が出る。
ドライバー異常時 対応システム
アシスト中に目線を外し、応答もしないでみた。すると警告しつつブレーキがかかり、ホーンやハザードが作動。最終的には停車した。
カーブ前・料金所前速度制御
今までは、ドライバーが減速していたACC中の料金所や少しきついコーナー。地図データを基に、自動で減速してくれるようになった。
アクティブレーンチェンジアシスト
ウインカーの操作に応じて、車線変更を自動で行う。もちろん後側方にクルマがいるかを検知していて、クルマがいたら車線変更をしない。
●文:川島茂夫 ●写真:澤田和久/SUBARU/月刊自家用車編集部