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更新日:2021.09.04 / 掲載日:2021.09.02
【フルモデルチェンジ スバル レガシィアウトバック】復活のレガシィはアイサイトXを搭載!
スバル レガシィアウトバック
文●大音安弘 写真●ユニット・コンパス
この秋、フルモデルチェンジして登場するスバルのクロスオーバーワゴン「レガシィ アウトバック」の先行予約が9月2日よりスタートした。
日本でのレガシィシリーズは、2020年6月にセダン「B4」の受注終了し、アウトバックに一本化。しかし、そのアウトバックも2021年1月にて受注終了にとなり、日本からスバルの看板車種であるレガシィが消滅することになり、その動向が注目されていた。レガシィのメイン市場である北米では、最新世代となる7代目が2020年秋に、セダン「レガシィ」とワゴン「アウトバック」として発売済み。日本の新型レガシィ アウトバックも、この北米仕様と基本を共有するが、北米仕様と仕様や装備などは異なる。それでは日本仕様のアウトバックの詳細を見ていこう。
クロスオーバーワゴンにふさわしいタフなエクステリア
レガシィアウトバック リミテッドEX
アウトバックは、アウトドアシーンが似合うタフなレガシィとして作り込まれているが、その点は、新型も同様。エクステリアは、クロスオーバーワゴンに相応しいプロテクションモールを強調した力強いデザインを採用。使い方を広げるルーフレールも全車に標準化される。
鋭いライトデザインなどで表現されるスポーティな演出を可能したのは、スバル最新デザインフィロソフィー“DYNAMIC x SOLID”を取り入れたため。レヴォーグなど最新スバル車との共通性を感じさせるシャープなヘッドライトと全面へと押し出されたヘキサゴングリルが印象的だ。
ボディサイズは、全長4870mm×全幅1875mmで、全高1675mm(※リミテッド)に。ホイールベースは2745mmとミッドサイズモデルに相応しい大きさを誇る。従来型と比べると、ホイールベースは同じで、全長が+50mm、全幅が+35mm、全高は+70mmとひとまわり大きくなっている。最低地上高も従来型+13mmになる213mmを確保している。プラットフォームは、レヴォーグ同様に、最新世代の「SGP×フルインナーフレーム構造」とした。このプラットフォームは、新型レガシィが先行採用していたが、日本では、レヴォーグが先となった。
縦型11.6インチモニターのインフォテインメントシステムを採用
レガシィアウトバック リミテッドEX
インテリアは、スバルの上級モデル「レガシィ」に相応しい上質な空間に仕上げた。レヴォーグより採用する縦型11.6インチモニターのインフォテインメントシステムと12.3インチのカラー液晶メーターパネルを標準化。レヴォーグと似たデザインだが、デザイン処理やアクセントの違いから、よりシックな空間に仕上げられている。国内ではレガシィ専用アイテムとなっていた高出力&ハイクオリティな「harman/kardonサウンドシステム」も受け継がれ、オプションで選択可能だ。
全車にアイサイトXを標準装備
レガシィアウトバック
大きなトピックのひとつが、アウトバックの先進運転支援機能は、全車に高度運転支援を実現したアイサイトXが標準となることだ。現状は、レヴォーグ専用アイテムであったが、新アウトバックでも、その心強いドライビングサポートを受けることが出来る。もちろん、側後方車両警戒支援システムや前方・側方・後方のモニターシステムや後方支援機能などを備えるアイサイトセーフティプラスも装備となるのもレヴォーグ同様だ。まさにスバル先進機能もフル装備なのだ。このアイサイトXの搭載のために、アウトバックの発売の時間が必要だったとのこと。因みに、北米仕様のレガシィ及びアウトバックには、現時点ではアイサイトXは非採用だ。
エンジンは177馬力の1.8L水平4気筒直噴ターボ
1.8L水平4気筒直噴ターボ
パワートレインは、北米仕様では自然吸気仕様の2.5L水平対向4気筒エンジンか、2.4L水平対向4気筒ターボのいずれかを搭載するが、日本仕様では新世代ターボエンジンである1.8L水平4気筒直噴ターボとなる。
最高出力177ps/5200~5600rpm、最大トルク300Nm/1600~3600rpmを発揮。スペックは、自然吸気の2.5Lエンジンに近いが、レスポンスと燃費の良さは、新エンジンの強みだ。ターボエンジンでも、燃料が経済的なレギュラーガソリンとなるのもメリットのひとつ。基本スペックは、レヴォーグやフォレスターSPORTと共通。アウトバックの燃費消費率は、13.0km/L(WLTCモード)と公表されている。トランスミッションは、CVTのリニアトロニックで、もちろん駆動方式はスバル自慢の4WDを備える。クロスオーバーらしくヒルディセントコントロールなど悪路走破をサポートする「X-MODE」も標準だ。
グレードは上質な「リミテッド」とアウトドア色の強い「Xブレイク」
レガシィアウトバック XブレイクEX
モデルラインは、最上級の「リミテッドEX」とよりアクティブな「XブレイクEX」の2タイプを用意。主な違いは、外装の装飾と一部の装備となる。
「リミテッドEX」では、シルバー塗装とメッキ加飾による上品で落ち着き有るエクステリアに。インテリアはシックなブラックカラーのファブリックシートが標準だが、オプションで「タン」か「ブラック」のナッパレザーシートも選べる。またハンズフリーオープンパワーリヤゲートも標準だ。
「XブレイクEX」は、ブラック化したパーツを多くエクステリアに使い、アクセントカラーもグリーンに。よりアウトドアシーンで気兼ねなく使えるように、防水素材シートが標準に。ハンズフリーオープンパワーリヤゲートはオプションで選択可能だ。細かいところでは、悪路走行をサポートする「X-MODE」の機能が追加される。
注目の価格だが、エントリーグレードの役目も担う「XブレイクEX」がレヴォーグSTIスポーツEXと同価格帯を予定。最上級となる「リミテッドEX」は、約20万円高となるようだ。従来型と比べると高価となった印象だが、大画面のインフォテインメントシステムとアイサイトXが標準となることをお忘れなく。まさにフル装備といって良い内容を整えるのだ。
国内ではスポーツワゴンのレヴォーグもあるが、よりフォーマルなシーンにも似合うモデルを求める人も多い。SUVを中心とした今の自動車市場ならば、上質に仕上げられた新アウトバックが、スバルのフラッグシップモデルに長年、君臨してきたプライドを示し、ユーザーの欲張りな期待に応えてくれるはずだ。
【9/4更新】レガシィアウトバックの歴史
ステーションワゴンにSUVのテイストを加えたクロスオーバーワゴンは、世界的なSUVブームを受けて、再び盛り上がりを見せている。その先駆者こそ、スバルレガシィ アウトバックなのだ。世界的なクロスオーバーワゴン市場を開拓したアウトバックの生まれた背景から最新型までの歴史を振り返ってみよう。
初代モデルは北米市場の要望で誕生した悪路走破性重視モデル
レガシィグランドワゴン(1995年)
アウトバックの歴史は、2代目レガシィから始まる。SUVを持たないスバルは、高い悪路走破性を誇ったレオーネ4WDで北米でのSUVニーズに応えていたが、その一方で、市場からの野暮ったく地味なクルマというネガティブなイメージにも苦しめられていた。しかも時代は、日本の急速な経済成長による急激な円高が進行中。北米での販売拡大には、ブランドイメージを刷新する必要に迫られていた。
その期待に応えるべく誕生したのは、オール―ニューとなるレガシィであった。レガシィの投入は大きな成果を収めるも、ツーリングカーのレガシィでは、やはりSUVニーズに応えることは出来ず、北米のスバル販売店からは強い不満の声が聞かれた。その打開策として、早急にSUVの開発が進められた。しかし、手持ちにあるのは、当時、最新の初代レガシィのみ。時間に迫られた開発ではレガシィをベースとする以外の選択はなく、タフなデザインのエクステリアを与え、最低地上高を200mmまで拡大。そしてトルクの大きい自然吸気の2.5L水平対向4気筒エンジンを組み合わせたもの。いわば持ち合わせの材料で作り上げたクロスオーバー車に過ぎなかったが、スバル得意の4WDによる高い悪路走破性の活躍の幅を広げる要素を加えてやれば、それで十分な性能を発揮することが出来たのだ。面白いことに、海外のアウトバックには3世代までセダン仕様も用意されている。それだけ北米ユーザーにとって悪路に対する備えは重要だったのだろう。
さて話を日本に戻そう。初代アウトバックは、北米投入の翌年となる1995年8月に、「レガシィグランドワゴン」の名で発売。まだ世の中では、クロスオーバーワゴンが珍しい存在だったこともあり、モノグレードで展開された。1997年8月の改良では、突如、名称をランカスターに改名。副変速機付きの5速MT仕様も登場し、よりSUVらしいキャラが強められた。
2代目はワゴンとしての実力と車格を高めた
レガシィランカスター(1998年)
名称をランカスターに改めた約1年後となる1998年6月には2代目モデルが登場。ベースとなる3代目レガシィはワゴンを専用設計とするなど、ツーリングワゴンへの注力を高めたもの。ランカスターも、その優れたツーリングワゴンの基本性能を受け継ぎつつ、逞しいデザインや最低地上高200mmなどSUVらしいエッセンスと機能を追加。日常での使い勝手の良さはそのままに、悪路走破性能もしっかりと確保していた。
当初は、自然吸気の2.5L水平対向4気筒エンジンだけであったが、2000年の改良で、「ランカスター6」と呼ぶ3.0L水平対向6気筒エンジン車を追加している。またアイサイトの前身となるステレオカメラによる先進の安全運転支援機能「ADA」搭載車を初設定したのも、このランカスター。これは、当時、ランカスタースバル車の中でも、特にグランドツーリング志向の高い特別な存在と捉えられていたことが伺える。因みに、非搭載車と搭載車の価格差は、40~50万円とかなり大きなものであった。
3代目は自然吸気4気筒および6気筒に加え2.5Lターボなど多彩なエンジンを搭載
レガシィアウトバック(2003年)
2003年10月に登場した3代目は、クロスオーバーワゴン仕様を世界でアウトバックと呼ぶ様に。レガシィツーリングワゴンをベースに、専用品となるバンパーやオーバーフェンダー、プロテクションパーツを与えることでワイルドな装いに。最低地上高は200mmを確保。パワーユニットは、自然吸気のみとし、レギュラー仕様の2.5L水平対向4気筒SOHCエンジンとハイオク仕様の3.0L水平対向6気筒DOHCエンジンのふたつを採用。トランスミッションはATのみとなった。
アウトドアで活躍するモデルらしくアウトドアブランド「L.L.ビーン」とのコラボレーションモデルも特別仕様車として登場。先進の安全運転支援機能の採用にも熱心で、レーダーレーダーによる「SIレーダークルーズコントロール」の採用に加え、モデル後半ではステレオカメラシステムの「アイサイト」搭載車も用意された。
そんな3代目の隠れた名車が特別仕様車「2.5XT」だ。日本には未導入だった最高出力265psの2.5L水平対向4気筒ターボに5速ATを組み合わせたもの。サスペンションも専用チューニングとし、なんとアウトバックの持ち味である最低地上高を25mmダウンする拘りよう。まさに大人のクロスオーバーワゴンのイメージを覆す、かっ飛び仕様であった。
4代目はステレオカメラ式アイサイトを搭載
レガシィアウトバック(2009年)
2009年5月に登場した4代目は、アメリカ市場での販売拡大を狙い、大幅なサイズアップを実行し、ドデカ・レガシィとなった。車内は広くなったが、日本では大きすぎるという否定的な意見も多かった。しかしながら、その逞しいボディは、アウトバックのSUVらしさを強調する良きアクセントとなった。
同時発売されたセダン「B4」と「ツーリングワゴン」同様に、自然吸気の2.5L水平対向4気筒エンジンを中心したラインアップに。B4とツーリングワゴンに用意された2.5L水平対向4気筒ターボ(後期型は2.0Lターボ)は、アウトバックに搭載されなかった代わりに、国内唯一となる自然吸気の3.6L水平対向6気筒が搭載され、アウトドアシーンに欠かせないトルクフルなエンジンを選ぶことが出来たのも魅力のひとつであった。
スバル自慢の先進の安全運転支援機能は、レーダーレーダーによる「SIレーダークルーズコントロール」を初期型では採用していたが、2009年の改良では、先進安全運店支援機能の普及を図るべく、低価格と高性能を両立させたステレオカメラシステムの「アイサイトVER.2」に置き換えられ、安全性を飛躍的に高めている。
5代目は日本で買える唯一のレガシィに
レガシィアウトバック(2014年)
5代目は、2014年10月にフルモデルチェンジ。最大のトピックは、ツーリングワゴンが廃止され、アウトバックに1本化されたこと。但し、日本では、ツーリングワゴンのニーズを、日本専用車となるスポーティなキャラクターの新型ツーリングワゴン「レヴォーグ」が受け持つことになる。よりボディサイズは大型化されたが、シャープなデザインを採用したことで先代よりもスリムなスタイルに見せていた。
日本仕様のパワートレインは、セダン同様に2.5L水平対向4気筒DOHCエンジンにリニアトロニック(CVT)を組み合わせのみに。スバルのアウトバックの特徴として、悪路走破性を高める統合制御システム「X-MODE」を採用し、SUV性能に磨きを掛けた。またスバル自慢の先進機能「アイサイト」は、Ver.3に進化させ、全車に標準化した。
アウトバックは、スバルの国内フラッグシップラインのレガシィの一モデルということもあってか、比較的おとなしいスタイルに仕上げられていた。ところが、そのイメージを覆す特別仕様車「X-ADVANCE」が2016年9月に登場。イエローグリーンのステッチ入りの撥水加工シートとイエローグリーンをアクセントに取り入れた若々しいスタイルは好評となり、2018年10月の改良時にはフォレスター同様の名称である「X-BREAK」として復活。この時点では特別仕様車のままであったが、2019年9月の改良で、カタログモデル化された。国内のレガシィは、セダン「B4」が、2020年8月で受注を終了したため、アウトバックが国内唯一のレガシィとなっていた。しかし、その5代目アウトバックも、2021年8月6日にて受注を終了。新型となる6代目が発表されるまで、しばしの間、日本からレガシィが一時的に消滅することになった。