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更新日:2021.12.23 / 掲載日:2021.10.29
トヨタ 新型BEV「bZ4X」の詳細を公表

トヨタは10月29日、新型BEV「bZ4X」の詳細を公表した。
「bZ4X」はスバルとの共同開発で誕生したモデルで、トヨタがカーボンニュートラルの実現に向けて打ち出した新BEVシリーズ「TOYOTA bZ」の第一弾として発表。今年4月に中国で開催された上海モーターショーで初披露、6月には米国で公開されていた。
「bZ4X」は、2022年年央から、日本、北米、中国、欧州など各地域に導入する予定。
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新型BEV「bZ4X コンセプト」を米国で初公開 ロングホイールベースのSUV トヨタ
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コンセプトは「Activity Hub」 乗員全員が楽しい時間や空間を共有できるクルマに

トヨタでは、「TOYOTA bZ」シリーズの導入に当たり、4つの目標価値を設定。
1.You & Others:ヒトとヒト・・快適な移動空間に加え、大切な家族や仲間と過ごすかけがえのない時間と新しいライフスタイルを提供
2.You & Your Car:ヒトとクルマ・・BEVならではの運転の楽しさ、可能性を期待させるワクワク感の提供
3.You & the Environment:ヒトと地球・・CO2排出量など、マイナスを減らすだけではなくプラスを生み出す
4.You & Society:ヒトと社会・・安心・安全な社会づくりへの貢献
今回のミディアムセグメントSUV型BEV「bZ4X」もこれらの目標を踏まえて開発が進められた。トヨタでは今後同シリーズをフルラインアップで展開予定としており、「bZ4X」がその先陣を切るモデルとなる。
「bZ4X」は、乗員全員が一緒に楽しい時間や空間を共有できる「絆」のような役割を担うクルマを目指し、「Activity Hub」をコンセプトに設定。インテリア、スタイリング、運転感覚、走行性能など車両を構成する各分野で“革新へのチャレンジ”に取り組んだ。プラットフォームは、スバルと共同開発したBEV専用プラットフォームを採用。BEVならではの要件を盛り込み、低重心・高剛性化したプラットフォームにより、一台のクルマとして魅力のある、滑らかで意のままになる走行性能と、本格SUVとしての走破性を追求する。また、冬場の航続距離確保、世界トップレベルの電池容量維持率を目指すとともに、安心して長く使えるBEVとなることを目標を掲げ、安全性においても高い水準のクリアを目指した。
【You & Others:ヒトとヒト】快適な移動空間と安心して使えるBEV性能の両立
新型「bZ4X」の室内は、どの座席に座っても広く静かで心和らぐ空間を目指して開発。BEV専用プラットフォームの採用によってDセグメントセダン並みのタンデムディスタンス(前後シート間距離)1,000mmを確保するとともに、足元の広さ(レッグルーム)も、前後ともミディアムセグメントSUVクラストップレベルを実現した。
また、低い位置のインストルメントパネル、大開口パノラマルーフ(装着車を設定)により解放感を創出、インストルメンタルパネルをファブリック張りとすることで落ち着いた空間を演出し、自宅にいるような居心地に仕立て上げた。
さらに、遮音性の高いガラス、風切り音の減少などにより、走行中でも明瞭な会話が可能な静粛性も実現している。
BEV性能においては、走行時の省エネ性能向上と実用上(特に冬場の)航続距離の確保を追求。さらに走行以外での消費エネルギー、特に冬場の暖房による消費電力を減らすため、ヒートポンプ式エアコンやシートヒーター、ステアリングヒーター、そしてトヨタ初となる前席乗員足元の輻射ヒーターを採用した。また、世界各地域の高出力充電にも対応可能とし、DC急速充電では150kWに対応、30分で充電量80%まで充電可能と充電時間の短縮化を図った。
【You & Your Car:ヒトとクルマ】BEV運転の楽しさを引き出す先進技術
BEV運転の楽しさを追求すべく、走行性能やそれを支えるスタイリングにもこだわって開発。
e-TNGAの考え方に基づくBEV専用プラットフォームの採用によって、薄型大容量電池パックの床下・平置き配置を実現したほか、トヨタ初となる「e-Axle」(モーター、トランスアクスル、インバーターを一体化したシステム)、Electricity Supply Unit(ESU、充電機能と電力分配機能を集約した電気ユニット)を採用、低重心化を図った。
また、主要骨格部位にホットスタンプ材、高張力鋼板を用いた軽量・高剛性なボディ構造を採用するとともに、電池パックとその周辺、BEVユニットやラジエータ搭載部、前後サスペンション周りなど、各部の剛性を向上させ、全体の高剛性化を行った。
BEV運転の軸となるモーター駆動の特性を活かした走りについては、加減速のコントロールとドライバーのペダル操作の軽減、滑りやすい路面のスリップ抑制制御などによって、素早いレスポンス、リニアな加速感、高精度な出力制御を実現。また、前後モーターの独立制御(AWD車)によって、回頭性や操縦安定性の向上を図った。
さらに、スバルのAWD技術、X-MODEをトヨタとして初採用。また、X-MODEの新たな機能としてGrip-Controlを新開発し搭載。モーター駆動の特性を活かすことで、日常ユースからライトオフロード以上の走行まで対応、BEVの期待を超える高い走破性を実現した。
bZ4X 内装(プロトタイプ車両) bZ4X ワンモーショングリップ(プロトタイプ車両)
コックピットはメーターの見やすさを重視し、ステアリングホイールの上側を通して見えるように配置したトップマウントメーターをトヨタ初採用。ステアリングコラムを含めた運転操作系を操作しやすいようモジュール化、手元からメーターの視線誘導を促す羽衣のような形状を採用した。
また、ステアリングホイールとタイヤの間にメカニカルな結合のないステアバイワイヤシステムと、異形ステアリングホイールを組み合わせたワンモーショングリップを採用。ステアリングの回転角度を持ち替え不要な約±150°に設定し、Uターンや車庫入れ、ワインディングロード走行時などでドライバーの負荷を大きく低減するほか、ドライブモードセレクトと連動してステアリング特性を変更するなどの特徴を加えた。さらに、トヨタ車初のダイヤル式シフトを採用している。
インフォテインメントシステムについては、クラウド上の地図情報を活用するコネクティッドナビを採用したほか、音声認識機能、スマートフォンを使ったデジタルキーなど最新の技術を採用。予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」と、マルチメディアシステムは、OTAによるソフトウェアアップデートを可能とした。
スタイリングは「Hi-Tech and Emotion」というデザインテーマを設け、BEVの先進感とクルマ本来の美しさを融合した造形にチャレンジし、先進的なスリークさと、SUVらしい力強さを両立したスタイリングを目指した。
フロントは従来車との差別化を強調したデザインを採用。空力アイテムが織り込まれたコーナー部と、上下に薄いバンパー形状により、BEVのオリジナリティを表現。また、フードからヘッドランプ上部へと連続する、特徴的なハンマーヘッド形状でも独自性を表現した。リアフェイスは下方へ向かって広がる台形を形どり、低重心で力強いスタンスを表している。
【You & the Environment:ヒトと地球】カーボンニュートラルを目指した性能
CO2排出量など、マイナスを減らすだけではなくプラスを生み出すBEVとして、ルーフソーラーパネルを装備。1年間で走行距離1,800km(トヨタ試算値)に相当する発電量を生成し、優れた航続可能距離に貢献。充電スタンドがない駐車場等でも充電可能なほか、災害時など緊急時でも、太陽光による充電を可能とした。
また、世界トップレベルの電池容量維持率を確保し、電池のリビルト(検査・再組立て)、リユース、電池リサイクルといった“3R”への取り組みを推進する。
【You & Societyヒトと社会 安心・安全な社会づくりへの貢献】多様な観点での安全性能の追求
安全性能については、車両に必要な予防・衝突に関する安全性に加え、BEVに必須となる電気についての安全性も考慮した。
予防安全性能においては、最新のToyota Safety Senseを搭載。bZ4Xでは、ミリ波レーダーおよび単眼カメラの検知範囲拡大により、各機能の性能向上や一般道での支援を行う新機能を追加する。また、高度運転支援技術アドバンスト パーク[Toyota Teammate Advanced Park](リモート機能付き)も一部モデルに採用する。
衝突安全性能では、乗員、バッテリー、衝突相手のクルマを守る全方位衝突対応構造を採用。骨格・構造といった観点から衝突に対する安全性を高めた。
また、冷却液や大容量電池パックなどにも注意を払い、電池不具合を「防止する」「兆候から検知する」対策の強化を図った。
さらに、DC外部給電機能(V2H、V2L:日本仕様)も備え、災害等の緊急時に電気を供給する役割も果たす。
主要諸元(日本仕様、トヨタ測定値)
FWD車 | 4WD車 | |||
車両重量・性能
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車両重量 | (kg) | 1,920~ | 2,005~ |
車両総重量 | (kg) | 2,195~ | 2,275~ | |
最小回転半径 | (m) | 5.7 | ||
一充電走行距離(WLTCモード) | (km) | 500前後 | 460前後 | |
寸法
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全長 | (mm) | 4,690 | |
全幅 | (mm) | 1,860 | ||
全高 | (mm) | 1,650(アンテナ) | ||
ホイールベース | (mm) | 2,850 | ||
室内長 | (mm) | 1,940 | ||
室内 | (mm) | 1,515 | ||
室内高 | (mm) | 1,160(ノーマル/ソーラールーフ仕様) 1,145(パノラマルーフ仕様) |
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乗車定員 | 5 | |||
モーター
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種類 | 交流同期電動機 | ||
最大出力(フロントモーター) | (kW) | 150 | 80 | |
最大出力(リヤモーター) | (kW) | - | 80 | |
最大出力(システム) | (kW) | 150 | 160 | |
動力用主電池
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種類 | リチウムイオン電池 | ||
総電圧 | (V) | 355 | ||
総電力 | (kWh) | 71.4 | ||
充電性能
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AC充電器最大出力 | (kW) | 6.6 | |
DC充電最大出力 | (kW) | 最大150 | ||
走行装置
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ステアリング | ラック平行式電動 パワーステアリングシステム |
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サスペンション(フロント/リヤ) | ストラット式コイルスプリング/ ダブルウィッシュボーン式コイルスプリング |
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ブレーキ(フロント/リヤ) | ベンチレーテッドディスク/ ベンチレーテッドディスク |
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駆動方式 | 前輪駆動方式 | 四輪駆動方式 | ||
動力性能 | 加速性能(0-100km/h) | (秒) | 8.4 | 7.7 |
※:日本仕様車はAWDを4WDと表記