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更新日:2021.12.23 / 掲載日:2021.12.16
【ホンダ改良新型N-BOX】10周年記念の特別仕様車「STYLE+BLACK」はコスパ抜群

文と写真●ユニット・コンパス
誕生から10周年を迎えたホンダの軽自動車「Nシリーズ」。その代表的なモデルであるN-BOXがマイナーチェンジを受けるとともに、10周年特別仕様車の第1弾である「N-BOX Custom STYLE+ BLACK」を同時発売した。新型N-BOXの価格は、144万8700円から225万2800円。
マイナーチェンジのポイント

今回の改良では、電子制御パーキングブレーキを全車に導入。信号待ちなどでブレーキを踏み続ける必要のないオートホールド機能付きで、日常の使い勝手をさらに高めた。それによって渋滞追従機能付きACCも進化し、車両の停止までサポートすることで渋滞時の移動が快適になるという。

Nシリーズに新ブランド「STYLE+」を投入

誕生から10周年を迎えたNシリーズに新たな個性が加わることになる。それが特別仕様車「STYLE+」だ。暮らしを豊かにするというNシリーズのコンセプトはそのままに、新たな世界観によってクルマ選びの楽しさを高める物だという。
今回登場したN-BOXカスタムベースの「STYLE+ BLACK」は、その名のとおり黒をテーマカラーにした内容。スタイリッシュで洗練された世界観を表現するためにエクステリア各所をブラックカラーで引き締め、インテリアにはメタルスモーク加飾で上質感を向上させた。実車を確認したところ、モノトーンの中に浮かび上がる黒のドアハンドルなどが目を引くほか、エンブレム類などもブラックアウトされているため、後ろ姿にもこれまでのN-BOXカスタムとはひと味違う印象を受けた。中間グレードである「L」、「L・ターボ」をベースにしているため、価格も192万9400円から219万100円と抑えられており、人気を集めそうだ。
「STYLE+」は、今後登場する第2弾以降はまた違った内容になるというのがユニーク。ベースモデルのキャラクターやユーザーニーズに合わせた内容になるというから注目したい。
10周年を迎え、ホンダを代表する存在に成長したNシリーズ

この度の発表会には、N-BOXの開発責任者である宮本 渉氏が登壇、これまでの10年間を振り返り次のように語った。
「Nシリーズの原点であるN360のNは乗り物を意味し、人の暮らしを豊かにしたいという想いから作られました。Nシリーズ第1世代はN-BOXを皮切りに5種類のモデルを投入し、全てをユーザー目線で考え、軽自動車の既成概念を覆す思いで開発されました。例えば生活の足である自転車を簡単に積み下ろしできるかどうか、そういう具体的なところを考えて、メカニズムは小さく、室内は広く、それでいて走行性能についてもこだわりました。第2世代では、人に寄り添い、日本の毎日を乗る人の生き方を楽しく豊かにをコンセプトにシリーズ展開を図ってきました。最大の価値であるパッケージでは、エンジンスペースを最小化し、クラストップの広さを実現。エンジンでは出力を落とすことなく、燃費性能の向上を目指しました。ボディ、シャシーでは剛性を確保した上で軽量化を実施。先進安全性能であるHondaセンシングも導入しました。そして、衝突安全性能についても、あらゆるシーンを想定した試験を実施してきました。」
その結果として、累計300万台をホンダ最速で達成し、一般の女性たちが選ぶマザーズセレクション大賞でN-BOXが通算3度目の受賞、N-ONEが2011-2022日本・カー・オブ・ザ・イヤーの「K-CARオブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、ユーザーや専門家からも高く評価を受けてきたという。これからも、日本のユーザーが求める性能や使い勝手をシンプルで質感の高いデザインとともに提供することで、コーポレートメッセージである「Hondaハート」を実現させ、クルマを使う人々の暮らしを豊かにしていきたいという。
Nシリーズ10周年を記念したイベントを開催

Nシリーズ販売10周年を記念した特別企画展「N Marche」を、2022年1月15日(土)から2月7日(月)の期間でHondaウェルカムプラザ青山にて開催する。これまでNシリーズを愛用してきたユーザーの声をもとに「Nのある生活」の世界観をマルシェ(市場)のように体験できるという。また、イベントでは、日本で生まれたちょっといいものをテーマにした商品も展示。気に入ったものはその場で購入できるというから楽しみだ。
Nシリーズのブランディングを手掛ける佐藤可士和氏が登場

発表会では、Nシリーズ10周年記念イベントとして「Nのある豊かな生活と10年」と題したトークセッションが行われた。登壇したのは、クリエイティブディレクターで、Nシリーズのブランドディレクションに携わっている佐藤可士和氏、起業家として活躍している山川 咲氏、シビックでCMF(Color Material Finishing)を担当した本田技術研究所の渋谷恭子氏。
Nシリーズ誕生から現代までの10年間を振り返り佐藤氏は次のように語った。
「当時ホンダさんからお願いされたのは、軽自動車が今後社会で必要になると考えているので、軽自動車をテコ入れしたいと。そこでブランドディレクションに携わることになって、名前から考えること、従来はそれぞれ個々に考えられていた軽自動車商品群をまとめてシリーズにした方がいいと提案しました。『N』というネーミングは僕が考えたわけではなく、ホンダにとって特別な記号で、初めての軽自動車であるN360に使われていたもの。それだけに、ホンダの方々は社内的には永久欠番扱いで、絶対に失敗できないねと言っていました」
NシリーズのNには、「New」、「Next」、「Nippon」、「Norimono」、そしてN360のDNAを受け継いでいるという意味も込められている。つまり、日本での暮らし、使い勝手を考えた軽自動車なのだ。そして2017年からの第2世代についても言及。
「チャレンジャーとしてスタートしたNシリーズが成功して、さらにこれから社会をリードする存在となっていくために、『N for Life』というコンセプトを考えました。良いクルマではなく、良い暮らしを新しいNシリーズで実現させるという考え方です」
N-BOXが2代目にフルモデルチェンジしてから4年が経過し、社会を取り巻く環境も大きく変化した。起業家である山川氏は、オーダーメイドの結婚式を手掛ける企業を設立した経験を持つ人物で、自身の価値観も大きく変化したという。
「キャンプ場に軽自動車で来ている人がいて、自分をしっかり持っている感じが格好良かったんですね。他人と比較するのではなく、自分はこのクルマに愛着があるといった雰囲気があった」と価値観の変化を感じさせる実例を報告、自分自身の人生を大切にすることが重要だと続けた。
こうした話を受けてホンダの渋谷さんはNシリーズの今後について「大切なのはいかに心と体が健康であるか。ずっと日本人だけを見ていて作っていたクルマで、それをブラさずに進化させていきたい」とコメント。佐藤氏は、「これからの10年を考えると、ライフスタイルの多様性が浸透して当たり前になっているのではないか。だからこそホンダのような会社は、みんなが楽しめるクルマを提供してほしい。変わらないものと変わっていくものとのバランスが大事で、Nシリーズの今後の進化に注目しています」と締めくくった。