クルマ徹底解説
更新日:2024.04.10 / 掲載日:2024.04.10
魅力は“燃費”だけじゃない!最新ハイブリッドカーの基本の「キ」!
文●工藤貴宏 写真●ユニットコンパス、トヨタ、日産、ホンダ、三菱
※ナンバープレートはすべて、はめ込み合成です。
(掲載されている内容はグー本誌2024年4月発売号「[日本の道路事情では最高のパフォーマンスを発揮!]最新ハイブリッド事情」記事の内容です)
「21世紀に間に合いました」そんな印象的なキャッチフレーズで、世界初の市販量産ハイブリッドカー「トヨタ・プリウス」が発売されたのが1997年末のこと。その燃費のよさが高く評価され、気が付けばハイブリッドカーは日本では一般的な存在になりました。今回は、そんなハイブリッドカーに注目します。
今ではなんと、新車の6割がハイブリッド
突然ですが質問です。
今、日本の新車乗用車販売におけるハイブリッドカーの比率はどのくらいだと思いますか?
その比率は、なんと6割(2023年通年の軽自動車を除く実績)。今どきの新車は、ハイブリッドカーが「当たり前」になっているんです。
かつては「特別な乗り物」だったハイブリッド。でも、そんなハイブリッドがこのところ急速に一般化していると感じている人が多いのではないでしょうか。いまやハイブリッドカーを選ぶことは、ごくごく当たり前になったのです。
もちろん、先進の自動車といえば「EV(電気自動車)」を思い浮かべる人もいるかもしれません。それらは徐々に増えていくはずですが、充電や航続距離、そして価格などに関して今までのクルマから乗り換えるためにはハードルが低くない。本格普及はまだまだ先になりそう。
排出される温室効果ガスを減らしていくためは、より多くの人々が環境車に乗り換える必要があります。そこで、すでに多くの車種で展開しているハイブリッドは、本格的に電気自動車の時代が来るまでの現実的な選択肢として、世界的に大きな注目が集まっているのです。
ハイブリッドカーが従来のエンジン車と大きく異なるのは、モーターを組み合わせること。モーターがエンジンの苦手(非効率)な領域をアシストしたり、モーターを活用することでエンジンを止めての走行もできるのが、エンジン車との走り方の大きな違いです。
そんなハイブリッドシステムを車両に搭載する最大の目的は燃費向上。エンジンだけでは成し得ない高効率なエネルギーの使い方を、モーターを組み合わせた「パワーユニット」として実現することで燃料を節約し、燃費がよくなるという理屈です。
ただ、モーターとモーター走行に必要な駆動用バッテリーなどを組み込むことでメカニズムは複雑に。その結果として純粋なエンジン車に対して車両価格が高くなるのは否めません(マイルドハイブリッドではそれほど高くならない車種もある)。
だから「ハイブリッドを買ってもエンジン車との車両価格の差は燃費がよくなって浮くガソリン代では取り戻せない」のはおおむね事実です。しかし、今では燃費だけに留まらないハイブリッドの魅力に気が付いている人が多いようですよ。
Profile:自動車ライター 工藤貴宏
新車雑誌の編集部を経てフリーランスの自動車ライターに。軽自動車やミニバンからスポーツカーまでクルマをこよなく愛し、ユーザーとのマッチングを考えながらクルマを紹介する。
こんなに種類があるハイブリッド
ハイブリッドの意味は「雑種」で、ハイブリッドカーは「エンジンとモーターを組み合わせた車両」を意味。とはいえハイブリッドカーの仕組みは多様でいろんな種類がある。
シリーズ方式
シリーズ・パラレル方式
パラレル方式
プリウスは世界初の量産ハイブリッドカー
世界で初めて量産されたハイブリッドカーはプリウス。地球の温暖化を防ぐため、その原因とされる二酸化炭素の排出量を抑える(=燃費をよくする)ことを真剣に考えたトヨタの提案だ。できるだけ小さな車体ながら、キャビンを広く設計している。
プリウス ハイブリッドモデルの燃費の推移
初代 | 28.0km/L |
2代目 | 38.0km/L |
3代目 | 35.5km/L |
4代目 | 40.8km/L |
5代目 | 32.6km/L |
低コストで効果の高いマイルドハイブリッド
国産車だと価格帯の低いクルマを中心に採用されるマイルドハイブリッドは、小型モーターと小型バッテリーを組み合わせる。燃費向上効果は少なめだが、システムが簡素だから価格上昇を抑えられ、費用対効果もしっかりあるのがポイント。システムによるが燃費向上効果は最大で10%程。
外部から充電できるプラグインハイブリッド
バッテリーを大型化し、外部から充電できるようにしているのが通常のハイブリッドとの違い。モーター走行距離が長く、昨今は100kmほどモーターだけで走れる性能を持つ。EVとハイブリッドカーの特性を兼ね備えたタイプ。充電を活用することで効率的にエネルギーを使えるのが特徴。