車のニュース
更新日:2022.12.27 / 掲載日:2022.12.27
12月は交通事故が一番多いって本当!? 自動車運転のプロに、事故らない秘訣を聞いてみた!
事故らない運転てどうするの?自動車運転のプロに突撃!
年の瀬も押し迫り、いよいよ年末ムードといった今日この頃。仕事もプライベートも忙しい時期ですが、そんな時こそ自動車の運転には要注意!
全国的に慌ただしくなる12月は、なんと1年で最も交通事故の多い危険な時期なんだとか。たしかに、交通量の増加、時間に追われる焦り、連休前の浮かれた気分などなど、少しイメージしただけでも事故につながりそうな要因は多々見つかります。
ベテランのドライバーも、帰省のために久方ぶりに車を運転するといういわゆるペーパードライバーの方も、うっかり事故を起こしてしまってはせっかくの連休も台無しですよね。そこで今回は、面倒事を回避し気持ちよく年末年始を迎えるべく、自動車運転のプロを訪ねました!
交通事故はなぜ起きる?
今回訪れたのは、日本全国の指定自動車教習所を束ねる「一般社団法人 全日本指定自動車教習所協会連合会(以下、全指連)」。いわばドライバーの登竜門である自動車教習機関のトップ・オブ・トップともいえるこの全指連において、事務局長を務める羽吉さん、安全教育第一課長の伊佐治さんにインタビューを敢行。交通事故を回避し、快適かつスマートなカーライフを送るヒントを聞きました。
12月は最も事故が多いと聞いたんですが、本当ですか?
羽吉「間違いなく12月は事故が多くなっています。過去5年間の統計を見ても全て12月が多く、他の月と比べて1.2~1.3倍も多くなっています。それも事故発生件数だけでなく、死亡事故についても最多となっています」。

なぜそれだけ事故がたくさん起きてしまうのでしょうか?
羽吉「まず、事故というのは危険を認識しにくくなる夜間帯に多くなります。事故そのものはみなさんが活動する日中の時間帯が多くなっているのですが、死亡事故をとってみれば夜間帯、特に、薄暮(はくぼ)時間帯と呼ばれる日の入り前後の時間帯に非常に多く発生しています」。
羽吉「そして、12月というのは1年で最も夜が長い季節ですから当然事故が多くなると考えられます。あとは、季節的に降雪や路面の凍結、それから12月は師走というように非常に多忙な時期ですので気持ちの焦りが事故を引き起こしている部分もあるといわれています」。

羽吉「また、昔は12月というと飲酒運転による人身事故が多くありました。今は厳罰化されている分かなり減ってはいますが、それでも未だに飲酒による事故は起きていますので、歩行者側も12月は注意が必要です」。
どういう人が事故を起こしてしまいやすいのでしょうか?
羽吉「事故原因として1番多いのが注意散漫となっていますので、やはりそういう性格の方は要注意ですかね。あとは、煽り運転がニュースでも取り上げられるようになりましたが、ああいったカッとなりやすい性格の方も当てはまるかと思います」。
事故を起こさないためにはどうすればいいのでしょうか?コツなどがあれば教えてください!
伊佐治「まずは危険を早く認知できるよう早めにライトをつけることが大事ですね。最近はオートライトの機能を装備している車両もあると思いますが、周りの環境や季節は絶えず変化しているので、その変化をとらえて、例えば冬には16時頃にライトをつけるなど、早めの点灯が大切です」。

伊佐治「あとは、精神的に落ち着いた状態で運転するということも大切です。先ほども話に出ましたが、やはり気持ちが焦っていると注意力も散漫になり危険も多いので、時間に余裕を持ち、体調も万全な状態での運転を心がけてほしいですね」。
万が一、事故を起こしてしまった場合はどうすればいいのでしょう?
羽吉「これは道路交通法72条によって明確に義務付けられていることなんですが、大きくは以下の点を意識していただけると覚えやすいかと思います」。
①緊急措置義務 ー 車を止めて怪我人の救援を最優先
救護措置義務 ー 怪我人の救護
危険防止措置義務 ー 他の交通に二次災害が起きないように対処する
②報告義務 ー 警察に報告する
羽吉「まずは車を止めて怪我人の救護をするのが最優先です。その後に周りの危険を考えて車を寄せるなどして安全を確保したうえで警察へ報告。これが一連の流れです。最近は、警察より先に保険会社に連絡してしまう方もいますが、必ず警察への報告を先に行ってください」。
事故の要因や対策がみえてきましたが、運転そのものに自信がない方はどうすればいいでしょうか?
伊佐治「全国の指定自動車教習所で、ペーパードライバー講習というものを受講することができます。全指連のHPで、教習を受けられる教習所を検索できるのでぜひチェックしてみてください」。
ペーパードライバー講習は、ペーパードライバーしか受けられないんでしょうか?
伊佐治「ペーパードライバーというのはあくまで俗称ですので、どれくらい運転をしていない期間があればペーパードライバーと呼ぶといった決まりはありません。なので、ペーパードライバー講習は免許を持っている方であればどなたでも受講できます。免許は持っているけど運転していない、あるいは運転に自信がない、という方に向けた講習となっていまして、2021年は全国約500箇所の教習所で1万5000人以上の方に受講いただきました」。
ペーパードライバー講習では、どんなことを教えてくれるんですか?
伊佐治「教習所にもよるのですが、例えば、長年運転していないと車のことをすっかり忘れてしまっている方も多いので、ライトの付け方やワイパーの動かし方など運転装置の取扱いから入ります。そして次に運転感覚。車両感覚やアクセル・ブレーキを踏む感覚を取り戻してもらうために、安全な教習所のコースで実車を使って走り、自信がついてきたところで公道を走るといった流れです。その他にも、交通量の多い繁華街を走ったり、車庫入れの対応など要望に応じた講習も行っていたりします」。
他にも“ブラッシュアップ講習”を推奨しているようですが、これはどういうものですか?
羽吉「一般的に20歳前後で免許をとった後、交通事故・違反等が特になければその後3年、5年ごとに更新でき、次に講習が義務付けられているのが70歳以降の高齢者講習となります。ということは、その間の50年はしっかりとした講習を受けずに過ごすわけですから、その間に運転技術が落ちてしまったり、交通ルールの認識があやふやになったり、あるいは道路交通法が変わる可能性だってあります。
そこで、免許取得者に対して実車を用いた講習を行い、運転技術をチェックしてフィードバックを行うことで、実力をブラッシュアップしていただこうという取り組みです」。

具体的にどんなことを行うんですか?
伊佐治「大体2〜3時間くらいの講習になるんですが、実際に車を運転していただいて、自分の運転がどれぐらい安全か、というのを同乗のインストラクターに見せます。その後、どれくらい安全な運転であったか、という機械による判定結果をもとに、コーチングの技術を使ってインストラクターがアドバイス。そしてそれを受けた上でもう一度運転していただき、変化を体感していただくという流れになっています」。
伊佐治「やはり皆さん自分の運転の力量ってご自身の感覚で決めているものなので、人に言われて気付ける弱点というのが結構あるもので、客観的に判定してもらうことが大切なんです」。
伊佐治「みなさんの体の健康が健康診断によって保証されているように、本当は運転技能も定期的にチェックするような制度ができれば交通事故も減っていくと思うんですけどね…」。
最後に、車の運転に自信のない方に向けてアドバイスをいただけますか
伊佐治「車は凶器にもなりえる危険性をもった乗り物ですので、多少の不安や緊張感をもって運転すること自体は悪いことではないと思います。ただし、過度な不安で気持ちに余裕がないとそれはそれで危険なので、計画や体調に余裕をもっていただくことが大切です」。
伊佐治「また、高齢の方によく伝えている言葉として“補償運転”というものがあります。これは、加齢に伴う衰えを、天候や時間、体調面など様々な条件があるなかで、なるべくリスクを避けて運転をして補うことをいいます。これは高齢者に限ったことではなく、皆さんに意識していただけるといいと思います」。
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12月は交通事故が多いというウワサは本当だったどころか、死亡事故が年間最多ということで、ますます油断できない時期であることが分かりました。浮かれ気分でうっかり人を跳ねてしまったとなれば、年末は愚か、最悪の年明けになってしまいます。

何かと多忙な12月ですが、車を運転する際は余裕を持った計画を立て、程よい緊張感をもって行うようにしましょう!運転に自信のない方はペーパードライバー講習、運転機会の多い方もブラッシュアップ講習で自分の技量を確認してみてはいかがでしょう。なかなか講習を受ける時間がないという方でも、全指連のHPには、ほかにも「交通標識クイズ」や「運転免許学科チャレンジ」といったコンテンツもあるので、暇つぶしに覗いてみるときっと何か発見があるはずです!
●全指連HP https://zensiren.com/