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更新日:2023.04.10 / 掲載日:2023.03.10
環境とお財布に優しいクルマ購入のスタンダード エコカーの現在地

中古車市場でも次世代パワーユニット搭載車に対する注目度が高まっている。100年以上続いた内燃機関からの脱却を図るべく各メーカーとも技術開発が一気に加速しているが、ここでは環境性能に優れたエコカーの現状をレポートしながら、次世代車の所有に向けた心構えについて考えてみよう。
(掲載されている内容はグー本誌 2023年3月発売号掲載の内容です)



エコ性能はそのままに新たな価値を身に着けた
エコカーとは、燃料の消費量を抑えながら有害な排出ガスを軽減するための仕組みを搭載した、環境に優しいクルマのことだ。エコカーが広く普及したのは、2009年4月に「環境対応車普及促進税制」と「環境対応車への買い替え・購入に対する補助制度」というエコカー普及政策を開始したことが大きく影響している。一定の排出ガス基準と燃費基準を達成しているクルマは、自動車取得税、自動車重量税および自動車税がそれぞれの基準達成度に応じて減免されるという、ユーザーにとって追い風となる制度は、温室効果ガス削減に対して効果をもたらすとともに、不振に陥っていた自動車の国内消費拡大に大きく貢献した。
まさに〝猫も杓子もエコカー〟とバカ売れしていた時代があったわけだが、あれから10年以上を経てエコカーは取り立ててめずらしい選択ではなくなった。それどころかデザインや機能性、走行性能といった〝エコ〟以外の付加価値を身に付けた。
そして今どきは化石燃料への依存度を減らすべく、電動化が一気に加速している。エコカー普及政策の恩恵を受けてハイブリッドカーはすべてのジャンルにラインアップされ、さらに電気自動車をはじめとした次世代エコカーも選択肢を増やしている。そんなエコカーの現状とこれからを探っていこう。
ハイブリッドカー保有台数 ※出典:自動車検査登録情報協会
10,804,981台
エコカーの代名詞は20年で約145倍増
ハイブリッドカー(乗用車)の保有台数は、初代プリウスが登場した当時こそ3000台弱だったが、2001年になると5万台を突破。低燃費で経済的な恩恵が享受できることが広く認知されたこともあり、その後も増加の一途をたどってきた。特に3代目プリウスが登場した2009年以降は、プリウス以外のハイブリッドカーが市場に導入されたことが大きく影響し、その数は右肩上がりで増え続け、2022年には1080万4981台に至っている。

グーネット登録台数
86,126台 ※2023年2月現在
中古車市場においても電動車が増加傾向
中古車市場でも電動車の流通台数が着実に増えている。グーネットのボディタイプ別検索で「ハイブリッド EV車」に絞り込んでみると、総登録台数55万1793台(2月現在)のうち、電動系車種は選択肢は8万台以上となっている。補助金を受けて取得したクリーンエネルギー自動車は、定められた期間(3年または4年)は保有することが義務付けられているため、高年式の中古車は決して多くないが、予算やニーズに合わせた選択が可能だ。
使用燃料別販売台数比率 ※出典:日本自動車販売協会連合会
52.1%
すでに半数以上がモーター付き車両にシフト
2035年頃までにガソリン車の新車販売を廃止という目標が打ち出されたが、それ以前から自動車メーカーはガソリンに代わるエネルギーを使用した車両の開発に注力してきた。現時点ではエンジンにモーターを組み合わせて燃料消費量を抑制するハイブリッドカーが主流となっているが、電気自動車や燃料電池車といった、化石燃料に依存しないクルマも増えていくだろう。

ガソリン乗用車の燃費平均値
24.1㎞/ℓ ※編集部調べ
燃費のいいクルマを選ぶには具体的な数値を把握すべし
燃費は1ℓの燃料で何㎞走れるかを示す「㎞/ℓ」で表示され、この数値が大きいほど「燃費のいいクルマ」とされる。具体的にどの程度の数値が低燃費車として理想的なのか。国土交通省が公表している「ガソリン乗用車のJC08モード燃費平均値の推移」によると、2020年度に販売された新車の燃費平均値は24.1㎞/ℓ(JC08モード)。これを超えていればお財布にも地球にも優しい選択といえる。

ハイブリッドの“次”に来るのはやっぱりEV

2022年を振り返ってみると国内外の自動車メーカーから新型EVが続々と登場し、クルマの電動化が着実に進んでいることを実感させられた。魅力的なEVの増加や、昨年の10月末で打ち切りが懸念されたCEV補助金も実質延長が発表され、EVの所有を後押しする機運は高まっている。

エコカーの寵児・新型プリウスに見る今どきのハイブリッドカー
牽引する役割は他に譲り独自の魅力を徹底追求
エコカーと聞いてまず思い浮かべるのは、やはりトヨタ・プリウスだろう。1997年に世界初の量産型ハイブリッドカーとして誕生して以来、エコカーの代名詞としてハイブリッドカーを広く知らしめるとともに、多くのユーザーから支持されてきた。既成概念や過去の事例に左右されない、まさに先駆者であるプリウスの成功があったからこそ、現在のような幅広い車種でハイブリッドが選べるようになったといっても過言ではないだろう。
かつてエコカーといえば燃料消費量の低いクルマだったが、現在の新車市場におけるエコカーは、内燃機関への依存度が低い次世代車であり、その筆頭に挙げられるのは電気自動車となる。そうしたなか、トヨタは「いつまでハイブリッドを作り続けるんだ」と揶揄されながらも5代目となる新型を発表した。
新型は第5世代ハイブリッドシステムの搭載をはじめとした技術的な進化を遂げるなど、気合の入った開発が行われているのはいうまでもない。しかし、エコカーを牽引する役目はひとまずここまで、といった印象を受ける。「合理的なベネフィットだけではなく、エモーショナルな体験を選んでほしい」という、開発陣の思いに加え、トヨタが掲げた「新車CO2ゼロチャレンジ」を実現するには、これまで以上にCO2排出量の少ないクルマがリーダーにふさわしいといえるからだ。
それでもスタイルに磨きをかけ、走りにおいてもエコカーの概念を覆す能力を身に付けた新型は、今どきのハイブリッドカーとして、大いに魅力的な存在といえるだろう。

“Hybrid Reborn”をテーマにすべてを刷新
カーボンニュートラルに向けて電動化が加速し、ハイブリッドカー以外の選択肢が注目されているなかで、「Hybrid Reborn」をコンセプトに掲げ、あえてハイブリッドシステムの搭載にこだわりながら進化を遂げた。特に新型は、「ひと目惚れするデザイン」と「虜にさせる走り」を兼ね備えることによって、従来から強みであり、売れ筋になった要因のひとつでもある優れた環境性能以外にも魅力と付加価値を感じさせるクルマに仕上げられた。
既存のエコカーと違う新型プリウスの魅力
人の感性に訴えかけるエモーショナルなスタイル
プリウスの特徴であるモノフォルムシルエットを継承しながら、さらなる低重心化を図りつつ大径タイヤの採用よって、人の感性に響く躍動感と普遍的な美しさを表現している。

既存のエコカーと違う新型プリウスの魅力
エコ性能一辺倒ではない走りの能力に満足できる
改良を施した第2世代TNGAプラットフォームや最新のハイブリッドシステムを採用し、爽快な加速感やドライバーの思い通りに反応する走りを実現。もちろん燃費性能も優秀だ。

初代プリウス

中古車価格帯:80万円〜110万円
1997年10月に世界初の量産ハイブリッドカーとして登場。28.0㎞/ℓ(10・15モード燃費)という驚異的な燃費性能でハイブリッドの優位性を知らしめた。
3代目プリウス

中古車価格帯:9.9万円〜359万円
抑揚を強調したフォルムで独自の個性を表現。エンジンは1.8ℓへと拡大されたが、システムの高効率化によって燃費は38.0㎞/ℓ(10・15モード燃費)を達成。
2代目プリウス

中古車価格帯:9.8万円〜99.9万円
初代同様に中古車市場での流通台数は少ないが、35.5㎞/ℓ(10・15モード燃費)という燃費性能や先進的なデザインは、年式の古さを払拭する要素といえる。
4代目プリウス

中古車価格帯:92.9万円〜420万円
40.8㎞/ℓ(JC08モード燃費)を達成しながら優れた操縦性や乗り心地のよさなど走りにも満足できる。中古車の流通台数が多く、ニーズに合った選択が可能だ。
選ぶべき価値があるから支持されている
ハイブリッドカーのエトセトラ
エンジンとモーター、ふたつの動力を併用して走行するのがハイブリッドシステムの仕組みだ。モーターはエンジンが不得手な領域をカバーしたり、出力が必要な状況ではアシストすることで燃料の消費を抑制できる。今どきは燃費を追求するだけでなく、エンジンとモーターを緻密に制御することで、動力をより効率的に発生させ、気持ちのいい運転感覚の実現にも貢献している。
ズバリ! 支持される理由
排気量が小さいからお得感を実感できる


ズバリ! 支持される理由
今どきはエコ以外のバリューが得られる

ズバリ! 支持される理由
圧倒的な“燃費のよさ”

カギを握るのはパワーユニットの変化エコカーのこれから

次世代車に乗るための意識改革も求められる
クルマ業界は今、大きなターニングポイントに立たされている。特に環境への配慮にどういった技術で応えるか、そしてユーザーは今後どういったクルマを選ぶべきかは、2022年に発売されたクルマを見ればわかるとおり。特に電動化へのシフトは、自動車開発におけるマスト事項となっており、内燃機関を搭載しないクルマが、クルマ購入における選択肢としてかなり現実味を帯びてきている。
電気自動車をはじめとした次世代パワーユニットを搭載したクルマは、新たな時代を切り拓く存在になりえるが、内燃機関との仕組みの違いはユーザーのクルマに対する意識の変化を求めることになるだろう。
これからのエコカーは、さまざまな最新技術が採用され、車両価格はより高額になる可能性があることから、エコ以外の付加価値を見極めることも肝要となる。いずれのユニットも、燃費至上主義だったかつてのエコカーとは異なり、環境性能と運動性能の両立を必須としながらクルマ本来の魅力を磨いている。これからは技術や性能はもちろん、メーカーのねらいやユニットそのものの将来性なども含めてクルマ選びをする必要があるのだ。
内燃機関の行く末[2035年に向けてカウントダウンを開始]
ガソリン車
淘汰される前にエンジン本来の魅力を味わう
政府の取り組みによって電動車への切り替えが奨励されて、さらにガソリン車の所有に規制がかかれば、将来的にガソリン車の台数は減少していくことになる。

クリーンディーゼル
モーターとの組み合わせでさらなる効率化
クリーンディーゼルも世界的な内燃機関車縮小の影響を受けて減少傾向だ。力強いエンジンの特性はそのままにハイブリッド化によって効率化を図っている。

これからのハイブリッドカー[電動車選択のはじめの一歩としてさらなる進化]
PHEV
電気自動車よりも現実的な選択として注目
動力源であり、発電にも使われるエンジンとモーターを搭載したハイブリッドカーに外部充電機能を備えるおかげでハイブリッドカーよりも消費燃料は少なくてすむ。バッテリー容量を超えるロングドライブではエンジンを動力にも発電用にも使えるから電欠の不安もない。電動車にステップアップするには理想的な選択といえる。
三菱 アウトランダーPHEV(先代型)

トヨタ プリウスPHV


“究極のエコカー”EVの将来性を改めて考える[電気自動車の未来]
EV
EV普及拡大のカギを握るハードル
エネルギーの有効活用という観点からすると、電気モーターを主動力とするEVならではの効率のよさは特筆に値する。電気を作っている発電所でのCO2発生量や電気料金の高騰、充電インフラの普及といった要素を加味すると、所有に二の足を踏む人も少なくない。しかし、化石燃料への依存度合いが低く、省資源でCO2の削減にも貢献する存在として注目度は高い。




日本市場における海外勢の躍進がEVを変える
日本自動車輸入組合が発表した2022年1月〜12月のEV新車輸入販売台数は、前年比66.6%増の1万4341台となった。メルセデス・ベンツやVWといった欧州勢は、日本へ新型EVを相次いで投入。また、アメリカのテスラに次いでEVの世界シェア2位の中国メーカー「BYD」が日本での販売を開始したのも話題となった。こうした海外勢による日本市場の活性化は、EVの価格・性能の改善に寄与するのは間違いないだろう。


中古車のEVは3RでSDGsに大きく貢献
市場に流通している中古EVの車種数は新車よりも少ないが、割安で手に入り、SDGsに貢献できるというのは魅力だ。購入時は走行距離や年式のほか、バッテリーの劣化についてリサーチすることが重要となる。中古車販売店によってはバッテリー容量残存率を計測、表記しているケースもあるので参考にするといいだろう。
三菱 i-MiEV

日産 リーフ

※中古車価格帯はグーネット2023年2月調べ。記事中の価格は参考であり、中古車価格を保証するものではありません。