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更新日:2024.08.28 / 掲載日:2024.08.28

新型フリードの四駆は“買い”か?《雪道テストで実力判定》

コンパクトクラスの4WDは、上級モデルよりも簡易的なシステムを搭載していることが多いが、新型フリードの4WDシステム「リアルタイムAWD」は、上級クラスとも互角に戦える本格的なもの。先立って開催された北海道での雪上試乗でその実力を体感。

●文:川島茂夫

新型フリード 最新リアルタイムAWDの実力をチェック!

最新フリードは、雪道性能が劇的にアップ! より安心して走れるミニバンへ

※写真はプロトタイプ。

4WDは明らかにクラス上 上級モデルに匹敵する性能

コンパクトクラスに採用される4WDシステムは、滑りやすい路面での発進補助を目的とする生活四駆が主流を占めているが、新型フリードの4WDはそんな流れとは一線を画したもの。

ホンダの上級モデルは、”リアルタイムAWD”と命名する4WDシステムを採用しているが、モデルごとにシステムの仕組みが異なっており、新型フリードには電子制御された多板クラッチの締結力で後輪へのトルク伝達を制御する電子制御カップリング式が採用されている。この4WDシステムは上級クラスを中心に普及しているもの。それをコンパクトクラスに採用したことで、新型フリードの4WD車の駆動性能は、このクラスの中では飛び抜けている。

雪道テストコースでの試乗の感触になるが、4WD車の走りは電子制御カップリング式の特徴を活かすことで、滑りやすい路面の発進補助だけではなく、操縦安定性の面においても大きな貢献を果たしていることを実感できる。その感触は、雪道での安心感も売りにできる上級モデルの4WD車と同等といっていいレベルだ。

雪路登坂での発進性能も、生活四駆ではカバーしきれない勾配のきつい雪路でも無理なく発進できるほど。その時の加速もしっかりと利いている。厳しい路面状況では前後輪は完全同期(トルク配分50対50)に制御されているようで、トラクションコントロールの作動と合わせることで、多少ラフなアクセルワークでも破綻することはないことも妙味。全輪の限界性能を引き出すような雪路踏破性能を持っている。

雪道でも運転がしやすい操縦安定性の高さに脱帽

ただ、この優れた発進&登坂能力は、新型フリードが手に入れた雪上性能の一端でしかない。むしろ注目すべきは、雪路における操縦安定性の高さだ。

特にコーナリング時の加減速を伴う時のコントロール性が極めて良好。オーバースピードなどで限界を超えなければ、ドライ路面に近い運転特性を示してくれる。

例えば70km/hくらいが限界になる中速コーナーで、限界付近で走らせている時は、ドライ路面よりちょっと深めの舵角を与える程度でラインに乗ってくれる。タイトターンやS字の切り返しを行ったとしても、方向性が乱れたり操舵に無反応になる状況がほとんどない。

タイヤのグリップの限界性能を超えると滑る挙動が出てくるが、そこは4WDカップリングの差動制限制御に加えて、AHA(アジャイルハンドリングアシスト)やVSA(ビークルスタビリティアシスト)とのコンビの効果で、大袈裟な補正操縦を行わずに済んでしまう。

このVSAの介入感も、新型は大幅に減少している。先代は同じようなコースを走っても、VSAの介入頻度が明らかに多く、制動トルクベクタリングの回頭補正も随分と粗い。安定を失ってから修正を加えるような感覚だ。これに対して新型は、先読みしているかのように自然に介入してくれるため、介入の違和感をほとんど感じることがない。

また、4WDカップリングも新型は原則的に完全にフリーにならない。後輪への最大トルク伝達は異なるものの、いつでも4WDで走っていることになる。これもシステム介入による挙動収束や回頭の補正が、素早くスムーズな理由のひとつだ。

雪上走行で限界領域性能は一般的なユーザーにはぴんと来ないかもしれないが、そういったシビアな領域においても、雪道のための特別な運転技術を必要としないことが新型の凄いところ。オーバースピードや無謀なアクセルオンなど非常識な運転をしなければ、多少滑ったところで普段の運転で対応できるコントロール性が確保されている。それは交差点や山岳路などの低速コーナリングでも同様だ。4WDの積極利用は氷雪上走行だけではない。

ミニバンは4WDの性能を低く見積もりがちだが、新型フリードの4WDの完成度は、一般的なファミリーカー4WDのレベルを大きく超えている。コンパクトクラスの中では、最も安心して走ることができるだろう。

AHAやVSAといった最新運転支援技術の恩恵もあって、雪道のコンロトール性にも優れている。雪道でもリラックスして走れることは、多くのユーザーに恩恵がある。
上級4WDシステムを搭載したことで、悪路走破性能は大きく向上。ちょっと無理めに感じてしまうような勾配でも、難なく登ってくれる。このクラスでは明らかに格上だ。

シャシー&メカニズムも最新設計にアップデート

先代に比べると価格は上がってしまったが、e:HEVを採用したメリットは大きい。電動走行の頻度が上がったことで、運転しやすさが大きく向上している。
シャシーは改良型を採用しているが、ボディ剛性バランスの適正化や強度アップが図られている。安全性や快適性に加えて、運動性能向上にも貢献する。
電動パワーステアリングの制御機能も改良することで、操舵に対する反応も向上。サスのダンパーもより応答性に優れるタイプに変更されている。

フリードの魅力をさらに引き出す純正アクセサリー群も充実

純正アクセサリーが充実していることも魅力のひとつ。開発コンセプトを「普段美(ふだんび)」とした エクステリア&インテリアパーツを用意するほか、新型フリードのキャラクターに合わせた2つのコーディネートスタイルを提案している。新型フリードは、カスタム派にとっても魅力あふれる一台になりそうだ。

Superior Style

エアーで提案される「Superior Style(スーペリアスタイル)」は、専用フロントグリルやエアロバンパーなどで上質さをさらに追求。後席の乗員が嬉しいリア席モニターなどユーティリティアイテムも充実している。

Active-Tough Style

クロスター向けの「Active-Tough Style(アクティブタフスタイル)」は、専用外装パーツでよりタフなイメージを強調。オートキャンプなどアウトドアシーンで活躍する機能パーツにより、SUVらしさを高めることができる。
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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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