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更新日:2018.11.04 / 掲載日:2015.07.31
【アウディ】「Audi e-gasプラント」が市場に参入

ユニット・コンパス/Goo-net編集部
7月15日、アウディは、ドイツ東部のザクセン州ヴェルルテにある「Audi e-gasプラント」による電力供給の試験手続きが完了したと発表した。今後、クリーンエネルギーをドイツ国内の電力需給バランス市場に供給できるようになる。
アウディは、最高出力110psのCNG(天然ガス)自動車「A3 スポーツバック g-tron」ドイツ国内で販売しており、2016年には最高出力170psを発生させる「A4 アヴァント g-tron」の発売も予定している。それらモデルのユーザーがCNGスタンドでAudi e-gasカードを使用して支払うと、アウディは同量のe-gasをドイツのニュートラル ガス ネットワークに供給。再生可能エネルギーからつくり出されたAudi e-gasは、燃焼時のCO2排出量と生成時に使用するCO2の値が同等のゼロエミッションエネルギーであり、アウディのCNG車のユーザーはAudi e-gasカードを使用することで環境負荷の低減できる。
アウディは、Audi e-gasプラントで生み出された電力を公共送電網の安定化の貢献にも役立てていく。ドイツの電力エネルギーミックスにおいては、再生可能エネルギーが急速にシェアを拡大し、2015年上半期で電力供給量の33%を占めるまでに成長している。しかし、風力や太陽光による発電は気候などから受ける影響が大きく、発電量が不安定になるのが難点で、最大負荷時に柔軟に対応でき、安定した送電ができる発電所の拡充が急務となっていた。
このたびAudi e-gasプラントは電力網の制御を手がけるTennet TSO社のテストに合格し、電力網の小さな負荷量の変化にも対応できる施設として認定された。テストは、「所定の負荷プロファイルどおりに、5分以内に、6mWの電力を供給する」というもので、試験手続きの完了によってAudi e-gasプラントは電力制御会社が整備している電力需給バランス市場に参入できるようになり、工場の年間稼働時間を増加させて電力網への貢献しながらAudi e-gas製造量を増加させることが可能となった。
なお、アウディはe-gasのほかにもCO2ニュートラルな燃料「Audi e-fuels」の開発を手がけている。2015年の初頭には、ドレスデンにあるプロジェクトパートナーのsunfir GmbHの試験工場で合成ディーゼル燃料「Audi e-diesel」の製造をスタートし、フランスのGlobal Bioenergies社とは、合成ガソリン燃料「Audi e-gasoline」についての共同開発を行っている。また、微生物を使って合成燃料であるAudi e-dieselやAudi e-ethanolを製造する研究は、アメリカを拠点とするJoule Unlimited Technologiesと共同で実施。e-gas分野でも、研究パートナーとともに生物学的プロセスによるメタン製造方法を開発している。
Audi e-gasプラントは2013年に稼働し、電力からガスに転換するpower-to-gasプラントとしては、世界最大規模。
風力発電で得られた電力を水と化学反応させて水素をつくり、水素とCO2の化学反応でAudi e-gas(合成メタン)とする。