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更新日:2020.02.28 / 掲載日:2020.02.28
NISSAN e-POWERシリーズ 売れ続ける理由に迫る!
新型ラッシュが続く中にあって、長期間、堅調なセールスを残し続けている大人気モデル。いずれもそれ相応の魅力があるのは当然だが、ここではそんな強みを徹底的にチェック! まずは未来のクルマの走りを身近にした日産「e-POWER」シリーズを見ていこう。●文 : 川島茂夫 ●写真 : 澤田和久
PART.1電気で走る爽快感は、やっぱり格別!

●価格帯:193万7100~268万9500円
NISSANノートe-POWER主要諸元(ノートe-POWER X ブラックアロー FF車)●全長×全幅×全高(mm): 4100×1695×1520 ●ホイールベース(mm): 2600 ●車両重量(kg): 1220 ●パワーユニット : 1198cc直3DOHC+モーター(エンジン : 79PS/10.5kgf・mモーター : 80kW/254N・m)●JC08モード燃費 : 34.0km/L ●サスペンション : ストラット式(F)/トーションビーム式(R)●ブレーキ : ベンチレーテッドディスク(F)/リーディングトレーリング(R)●タイヤ : 185/65R15 ●車両本体価格 : 215万3800円●e-POWERシリーズの問い合わせ : 日産自動車お客様相談室 TEL : 0120-315232
モーター駆動がもたらす 未来のクルマをいち早く体感
ハイブリッドにはいろいろなタイプがあるが、[e-POWER]が採用するシリーズ方式は、駆動力のすべてを電動モーターで賄う。つまり、EV(電気自動車)との違いは電源だけであり、走りそのものはEVに限りなく近い。そんな近未来のクルマを身近に感じさせてくれるのが、今回紹介するノートe-POWERである。搭載エンジンは1.2Lの直3DOHCユニット。そのパワースペックは79PS/10.5kg・mでしかない。コンパクトクラスとしても平凡ゆえに、数字だけでは非力と感じてしまうかもしれない。だが、e-POWERモデルに搭載されるエンジンは、あくまでも電気を生み出す発電機であり、走行時の駆動力は電動モーターが担当する。そのモーターの最高出力は80kW(109PS)、最大トルクは254N・m(25.9kg・m)。とくに最大トルクはガソリン2.5L級に匹敵するスペックだ。さらに注目したいのはe-POWERならではの巧みな制御だ。通常走行時は駆動用バッテリーからの電力供給の範囲内でモーターを駆動させるが、急坂や追い越し時などモアパワーが求められるシーンでは、エンジン(発電機)からの電力供給も加わり、力強さが高まる。そのためe-POWERは、いざという時の余力を確保するために、エンジンに余裕のある状態では小まめに駆動用バッテリーへの充電を行う。バッテリー内の電力がなくなると、発電機(エンジン)の性能以上の動力性能は引き出せないことになるが、サーキット走行や最高速チェックなど、アクセル全開で走らせるような状況を多用しなければ、そんな事態にはまず陥らない。
NISSAN セレナ e-POWER

●価格帯 : 299万7500 ~ 372万5700円
主要諸元(セレナe-POWERハイウェイスターV)●全長×全幅×全高(mm): 4770×1740×1865 ●車両重量(kg): 1760 ●パワーユニット : 1198cc直3DOHC+モーター(エンジン : 84PS/10.5kgf・m モーター : 100kW/320N・m)●JC08モード燃費 : 26.2km/L ●サスペンション : ストラット式(F)/トーションビーム式(R) ●ブレーキ : ベンチレーテッドディスク(F)/ディスク(R)●タイヤ : 195/65R15 ●車両本体価格 : 349万9100円e-POWERモデルはミニバンのセレナにも設定されている。ノートよりも重い車重などに対応するためにエンジン、モーター共に出力を高められている。
e-POWERには、最新の電動化技術が 注がれている
大出力の駆動モーターや最も効率の良いタイミングで発電を行う制御など、リーフ由来の電動技術が注がれていることもe-POWERの強み。リーズナブルな価格で未来のクルマを実現していることも人気の理由だ。
アクセルのつきが良いことも特徴の一つ。従来型ハイブリッド車や2Lターボ車と比べても、低中速域の加速性能が優れている。加速の振り幅も少なくピッチングも最小限ですむなど、自然な加速感も長所だ。

ちょっと重みを感じさせる乗り味や操縦感覚も、e-POWERのドライブフィールにしっくりとくる。コンパクトクラスなのにプレミアム感漂う走りを持つことも見逃せない。
エンジンは発電専用。通常時は最も発電効率の良い2000回転強で稼働するが、必要に応じて回転域は高まる。そのため、連続高速走行時は燃費がやや落ちこむ傾向があるが、全体的な燃費性能はかなり良い。
走行感覚はまさにEVそのもの。低速域の力強さは特筆モノだ。エンジン稼働の音も巧みに抑えられており、むしろロードノイズの方が気になるレベル。静粛性も優秀だ。
巧みなトルク制御により 力強さと瞬発力を両立する
一般的に電動モーターは、加減速の反応遅れは実質的にゼロに等しく、最大トルクを即時に発生できる長所を持つが、それゆえ停止~低速域では扱いが難しい。じゃじゃ馬的と言ってもいいだろう。それを避けるために他のモーター駆動車は、制御特性反応を穏やかにしているケースも多い。ところがe-POWERモデルは電動のシャープな側面を残したパワーフィールが与えられている。そのため60km/h以下の加速反応は極めて俊敏だ。そんな特性を持ちつつも、扱いにくいラフな制御にならないのは、急激なトルク変化で生じる捩れや細かく前後に揺するようなスナッチング発生を細密なトルク制御によって抑制しているため。つまり、クラストップレベルの力強さと瞬発力を気軽に楽しませてくれることも、e-POWERの大きな特徴である。また、e-POWERはリーフと同様に変速機を持っていない。これは、エンジンに比べてモーターが幅広い回転域を効率よくカバーできるためだが、同時に構造的にもシンプルで軽量というメリットにもつながっている。こういった点も、e-POWERが街乗りやワインディングを楽しく軽快に走れる理由なのだが、もうひとつ重要なポイントがある。それはブレーキシステムだ。形式こそ一般的な油圧式ではあるものの、エコ/スポーツモードではブレーキ回生を強化することで、1ペダルドライブという独自の運転の面白さを生み出している。独特の運転感覚はまさに未来的。ぜひ一度体験してもらいたい。リーフ由来のEV技術がもたらす電動走行は魅力にあふれている。さらに万人が扱いやすさを実感できる走行性能を実現していることもe-POWERの特徴だ。単純に燃費のよさを求めるのではなく、来るべきEV時代の走りを一足早く味わいたいなら、安価な価格設定も含めて、打って付けのモデルといえよう。
NISMOモデルもラインナップ!
※NISMO S
NISMOモデルもラインナップ!
●ノートe-POWER NISMO(車両本体価格:253万4400円)●ノートe-POWER NISMO S(車両本体価格:272万1400円)※共に持込み登録でオーテック扱い。