車の最新技術
更新日:2019.03.18 / 掲載日:2018.12.20
自動運転で駐車を行う「自動バレーパーキング」とは?仕組みと課題を解説!

2018年11月、日本自動車研究所は国内初の「自動バレーパーキング」の実証実験を実施。今後期待される自動運転を活かした自動駐車サービスを紹介します。
自動車メーカーはもちろん、多くのドライバーが注目している「自動運転」という機能。その魅力を最大限に活かした駐車サービス「自動バレーパーキング」が実現されようとしています。実現されれば、利用者は待ち時間の短縮、サービス提供側はデッドスペースの活用などさまざまなメリットがあると言われています。しかし、その一方でセキュリティや技術面での課題も浮き彫りに。それらを合わせて「自動バレーパーキング」を解説します。
自動運転の技術を活用した無人駐車サービス「自動バレーパーキング」とは
ホテルや高級レストランなどの入り口で、スタッフに車を預けて駐車をしてもらうという「バレーパーキング」。このバレーパーキングのサービスに、自動運転の技術を活用し、無人で駐車サービスを行うというのが「自動バレーパーキング」です。ドライバーが降車した後、自動車が駐車場の中を自走、空いたスペースを見つけて自動で駐車する、そんな近未来的なシステムの導入が実現しようとしています。
自動バレーパーキングの利用方法
自動バレーパーキングを利用する際、基本的にドライバーはスマートフォンで全ての指示を行います。
駐車編
自動バレーパーキングで駐車をする際、まずドライバーは指定の乗降エリアに車を停めてから降車します。その後、予めスマートフォンにダウンロードしておいた専用アプリから駐車の依頼をすると、管制センターから車両に走行経路や駐車場所に関するデータが配信され、自動車はそのデータに沿って自走、指定されたスペースに自動で駐車するという仕組みです。
出庫編
出庫の際も同様で、車を降りた場所からスマートフォンで依頼をすると、管制センターが車両に対して出庫の指示を配信します。その指示に従って車両は自走で乗降エリアに戻り、自動で停車します。
自動バレーパーキングのメリット
駐車場内の事故や犯罪が減少
自動バレーパーキングを導入する最大のメリットは、パーキング内で発生しうる事故や犯罪を最小限にまで減らすことができるという点です。システム通りに車両を動かすことで事故がなくなり、また、パーキング内に人が侵入することがないことから、車上荒らしなどの犯罪も同時に防ぐことが可能となります。
十分にスペースが確保された場所で乗降が可能
駐車場では、自動車を駐車した場所で荷物の積み込みや子どもの乗せ降ろしなどをするのが一般的ですが、隣の車との間隔が狭いとドアの開閉すらスムーズにできないことも少なくありません。しかし、乗降エリアと駐車エリアが完全に分けられた自動バレーパーキングでは、そのような心配は皆無。常に広々としたスペースでゆっくりと作業を行うことができます。
駐車場所を探す手間が省ける
ショッピングモールや空港など、多くの人が利用する場所では当然駐車場も広く、その中から駐車スペースを探すのは一苦労です。自動バレーパーキングでは、ドライバー自身が駐車スペースを探し回る必要がないため、手間や時間を省くことができるというのもシステム導入の大きなメリットとなっています。
駐車場所まで歩く必要がない
乗降エリアからスマートフォン一つで指示を出すことができるため、重たい荷物や小さな子どもと一緒に駐車場所まで歩く必要はありません。出庫する自動車が多い場合は多少時間がかかる場合がありますが、自動車が戻るのを待って、あとは広いスペースで荷物を積み込むだけですぐにスタートできます。
まだまだ残る今後の課題
スマートフォンが必要
現時点では、自動バレーパーキングを利用する際必要となるのが、予めアプリをダウンロードしたスマートフォンです。スマートフォンのシェアが著しく伸びているとはいえ、スマートフォンを持たないドライバーは自動バレーパーキングを利用できません。
通信・セキュリティ面の強化
自動バレーパーキングの指示は、全て管制センターから配信されます。管制センターで管理される情報量は莫大なものとなることが予想されるため、管理システムにおけるセキュリティ面は最も整備・対策が必要な部分です。また、何らかの影響で通信状態が干渉されると、自動バレーパーキングシステムに影響が出ることが予想されます。そのようなシステム面の強化が、今後最大の課題となるでしょう。
自動駐車技術の向上
自動車の自動運転技術が向上してきたとはいえ、未だ自動駐車技術は実装レベルに達していないのが現状です。狭いパーキング内で、無駄なく効率的に入出庫できる技術が搭載されなければ、利用する人のニーズを満たすことができません。ドライバーが安心して任せられる自動運転技術を実装するには、さらなる技術や問題点の改善が求められるでしょう。
今後自動運転が可能な車の増加に伴い、ユーザーのニーズも高まると予想される自動バレーパーキング。これまで時間や手間のかかった駐車が一気に手軽なものになる便利なサービスですが、管理システムや自動運転技術など、現状では未だ課題も山積みです。ドライバーはもちろん土地活用にも有効なこのシステム、今後の開発に注目です。