車の最新技術
更新日:2020.08.31 / 掲載日:2020.08.31
トヨタの新「急アクセル時加速抑制システム」を試してみた!
トヨタが加速抑制システムを新開発し、新車向けに「プラスサポート」、既販車向けに「踏み間違い加速抑制システム2」として導入。実際に試す機会を得た。

「技術が人を守る」 非常に有益なシステムだ
昨今アクセルとブレーキの踏み間違いによる事故が多く見られるが、トヨタが新たなデバイスを開発。それが一部改良されたプリウス/プリウスPHVに採用、後付け装置としても発売の「急アクセル時加速抑制機能」だ。
’17年から導入のICS(インテリジェントクリアランスソナー)は障害物がある場合のみ作動していたが、急アクセル時加速抑制機能は障害物がない場合でも「踏み間違い」を判断して急加速を抑制できるのがポイントである。この機能は「繋がるクルマ」の頭脳となるDCM(車載通信機)からアクセル開度/ブレーキ/ウインカー/勾配といった情報をビッグデータ(約200万台分)として蓄積。そこから得た膨大なパターンを検証し、「異常な状態」を判断して急加速を抑制する。
実際に試すと、普通に操作を行なえばクルマは意思通りに加速するが、あえて「変な運転」、異常な状態を再現してみるとアクセルは開かず急加速はせず、そのままアクセルを踏み続けてもクルマはゆっくり進むだけ。速度も30km/h程度までしか上がらないので大事故は防げると思う。
開発者は「不要作動が発生する可能性はゼロではない」と語るが、今回様々なパターンを試した限り、作動タイミングや条件などは普通に運転している人なら作動はしないと思う。仮に頻繁に誤作動が起きる人はドライビングに難あり……とも言ってもいいのかも!?
新車向けのプラスサポートではディーラーOPの金色の「プラスサポート用スマートキー」を持ったドライバーが解錠して乗り込むと、急加速抑制機能が自動的にONとなる。つまり、「私は大丈夫」と過信する高齢ドライバーに機能を気づかせることなく作動を行える。これぞ「技術が人を守る」という事だと痛感する機能だ。これにより悲惨な事故が1件でも減ることを願いたい。


踏み間違い事故での「踏まれ方」の特徴を解析。「異常な運転」だと判断すると、加速を抑制。機能比較図はプラスサポートのもの。障害物がなくても作動する点が、今までのシステムとの大きな違い。
新車向けの専用スマートキー。解錠すると自動でプラスサポートが起動。ディーラーOPで1万3200円から。7月1日発売のプリウス/PHVから対応、順次拡大予定。
こちらは後付け装置の踏み間違い加速抑制システム2。ソナーや表示機が備わる。プリウス(’15年12月-’20年6月生産でインテリジェントクリアランスソナー非装着車)から対応。SAI、クラウン、マークXなどに対応していく予定。3万8500円。
●文:山本シンヤ ●写真:奥隅圭之