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更新日:2021.07.02 / 掲載日:2021.07.02
【2021年版】電気自動車の補助金について教えて!【EVの疑問、解決します】

文●大音安弘 写真●
今、最も注目を集めているクリーンエネルギー車(環境車)といえば、やはり電気自動車(EV)でしょう。ここ1年ほどの間でも、輸入車を中心にEVのラインアップの拡大が図られており、選択肢も増えつつあります。しかし、購入の大きなハードルのひとつとなるのが、その価格。同クラスのエンジン車だけでなく、ハイブリッドカーと比べても価格差が大きいのが現実。そのため、普及を促すべく、国や自治体から補助金が受けられる制度が設けられています。その中でも中心的な制度が国によるCEV(クリーンエネルギー自動車)補助金です。現在は、令和2年度第3次補正CEV補助金と令和3年度CEV補助金の受付が行われています。
【2021年版】電気自動車の補助金について教えて!
答え:令和2年度第3次補正CEV補助金と令和3年度CEV補助金の受付が行われています
現在申請できる補助金の種類と受けられるメリット

テスラ モデル3は、補助金によって車両金額の9%近くが安くなる
令和2年度第3次補正CEV補助金は、電気自動車や燃料電池自動車などの普及拡大に、外部給電器/V2H充放電設備と再エネ100%電力の導入の取り組みを組み合わせたもので、経済産業省事業と環境省事業のふたつが存在します。
経済産業省によるCEV補助金は、令和3年5月31日で申請受付を終了しましたが、申請額が予算額に達していないため、追加申請の受付を開始。締切は、令和3年9月30日(必着)まで延長。同時に、環境省によるCEV補助金の申請も最大令和3年12月28日(必着)までとなりました。いずれも予算不足の恐れが発生した場合は、受付期間を短縮する可能性があります。
補助金制度の内容については、「電気自動車の購入を支援して貰えるって本当!?」の記事を参照ください。これらのふたつの補助金は、条件がマッチすれば、年度毎のCEV補助金よりも増額となりますが、それぞれの狙いに沿った独自の条件を追加しているのも特徴です。そのため、自身が想定するEVの利用環境との不一致やV2H機器の設置などの車両以外の設備負担増など、誰にも利用しやすい制度といえない一面もありました。
一方で、例年同様に実施が決定された令和3年度CEV補助金は、EVやPHV(プラグインハイブリッド)、FCV(燃料電池車)、クリーンディーゼル車などと補助金対象車が多いのも特徴。
EVの場合、補助金額は一充電走行距離に応じて算出され、航続距離が長いものほど補助金額が増えます。但し、その上限は40万円(※外部給電機能付きEVなら42万円)となっています。但し、対象車で補助金を受けるための条件が、定められた期間(4年または3年)の保有義務となるので、クリーンエネルギー車の購入者にとって、利用しやすい制度となっています。
EVのCEV補助金は、航続距離を基準としているので、満額交付でも大きな負担軽減とならないケースもあります。
例えば、1799万円のアウディRS e-tron GTの交付額は、40万円ですが、441.76万円の日産リーフe+の交付額は42万円に。2万円の差は、外部給電機能の有無になります。アウディでは、約2%の負担軽減ですが、リーフなら約9.5%にもなり、実質的に1割の値引きと変わらなくなるので、大きな差となります。
最近、テスラに注目が集まるのも、価格低減だけでなく、各種補助金による負担軽減効果の高さが挙げられます。モデル3のエントリーグレード「スタンダードレンジプラス」の439万円に対して、40万円が負担されます。WEB注文で値引きなしのテスラが、9%も安く手に入れられるとなれば、購入者として嬉しくなるのも当然でしょう。しかも自治体による補助金制度との併用も可能。
例えば、特にEVとPHV普及に意欲的な東京都の場合、自治体として令和3年度は、個人のEV購入に対して45万円を補助しています。つまり、テスラモデル3だと、令和3年度CEV補助金との兼用で85万円も負担軽減できるのです。もちろん、リーフe+ならば、87万円となります。因みに東京都では、再エネ100%電力を利用が条件となる環境省による令和2年度第3次補正CEV補助金との兼用で、都の補助金額を+15万円の60万円(※個人の場合)まで増額してくれます。
令和3年度CEV補助金額の一例(※2021年7月1日調べ)
車種 | 車両本体価格(税込) | 令和3年度CEV補助金額 |
プジョーe-208アリュール | 396.1万円 | 33.6万円 |
テスラモデル3 スタンダードレンジ プラス | 439万円 | 40万円 |
BMW i3 Edition Joy+ | 505万円 | 40万円 |
レクサスUX300e | 580万円 | 42万円 |
日産リーフ S | 332.64万円 | 38.8万円 |
日産リーフe+ X | 441.76万円 | 42万円 |
上記には、車両価格に対して令和3年度CEV補助金額による負担軽減率が高い車種を挙げてみました。
EVの本格普及はこれからですが、各種の補助金制度を上手く活用すれば、EV購入負担をぐっと抑えることも可能となってきました。しかしながら、地域や生活環境による差が生じるのも事実。
もしEVなどのクリーンエネルギー車の購入を検討しているならば、CEV補助金制度だけでなく、地元自治体による補助金制度がないかも調べてみることをお勧めします。もちろん、令和3年度CEV補助金にも予算の上限や締切があることをお忘れなく……。
執筆者プロフィール:大音安弘(おおと やすひろ)

自動車ジャーナリストの大音安弘氏
1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に転身。現在はフリーランスの自動車ライターとして、自動車雑誌やWEBを中心に執筆を行う。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。