車の最新技術
更新日:2021.08.02 / 掲載日:2021.08.02
トヨタ 水素エンジン搭載カローラで「スーパー耐久レース in オートポリス」参戦

水素エンジン車両「富士SUPER TEC 24時間レース」走行の様子
トヨタ自動車は、「水素エンジン」を搭載した開発中の車両を、7月31日から8月1日に行われる「スーパー耐久レース in オートポリス」(5時間レース)にて、「ORC ROOKIE Racing」の参戦車両として投入すると発表。前回に引き続き、トヨタ自動車の豊田章男代表取締役社長がドライバー「モリゾウ」としてレースに参戦する。また、トヨタは今回九州のグリーン水素を水素エンジン車両に活用することで「地産地消」に取り組み、業界を超えて九州での水素の連携を深めたい考えだ。
およそ2ヶ月間でスピーディな課題改善
この水素エンジン車両は、「水素エンジン」の開発スピードを上げることを目的に、5月21日から富士スピードウェイで行われた「富士SUPER TEC 24時間レース」で初めてレースに参戦し、参戦から約2ヶ月間、車両面・インフラ面それぞれの改善を進めてきた。
この2ヶ月間の改善内容は、車両面ではエンジン内での水素の異常燃焼を抑えつつ性能を向上し、約15%のトルクアップに成功。また、水素エンジンのメリットである応答性がさらに向上した。インフラ面では、水素充填時間の短縮を図り、約5分から約3分へと短縮した(およそ40%の向上)。
今回のレース参戦では、引き続き厳しい環境下で課題を洗い出しスピーディな開発を進めることに加え、水素エンジン開発への挑戦に共感を寄せた株式会社大林組とトヨタ自動車九州株式会社から、地産地消のグリーン水素が供給される。これにより水素を「使う」工程に加え、「作る」工程もグリーン水素となり、カーボンニュートラルなエネルギーの選択肢がさらに拡がる。
九州の水素活用で地産地消、地域連携を図る
大林組 地熱発電およびグリーン水素製造実証プラント
トヨタ自動車九州 水素製造装置
九州は、再生エネルギー比率が高く、水素の研究が盛んな地域の一つ。トヨタ自動車九州でも、積極的に水素エネルギーを活用。今回の水素エンジン開発への挑戦を契機に、九州でのカーボンニュートラル、水素社会実現に向け、地域連携を進めたいとしている。
水素エンジンはカーボンニュートラルに向けた新たな選択肢の一つであり、日本が長年培ってきたエンジン技術を活かすことが出来るといわれる。前回の「富士SUPER TEC 24時間レース」参戦、および、今回の「スーパー耐久レース in オートポリス」参戦では、多くの関係会社から協力があった。自動車産業の雇用を守っていくためにも、各パートナーとともに水素エンジン開発への挑戦を続けるという。
大林組・トヨタ自動車九州の取り組み
大林組
大分県の九重町で日本初となる地熱発電電力を活用したグリーン水素を、複数の需要先に供給するまでの一連のプロセスを実証。地熱発電由来のグリーン水素を水素エンジン車両に供給。
実証期間:2020年8月着工~2024年3月を予定
水素供給能力:10Nm3/h
トヨタ自動車九州
太陽光発電により製造した水素を、工場内で使用するフォークリフトや施設の照明等に使用。太陽光発電由来の水素を水素エンジン車両に供給。
水素供給能力:24Nm3/h