新型車比較・ライバル車対決
更新日:2022.12.14 / 掲載日:2022.11.29

CX-60&ハリアー&アウトランダー&NX プレミアムSUV徹底比較

プレミアムSUVのミドル級モデルは、
最新設計のニューモデルが続々と登場したこともあって、
国内はもちろん海外でも大きな注目が集まる旬のカテゴリー。
どのモデルを選んでもハズレはないが、
できればその中でも最良を選びたいのが人情だ。
ここでは4台の有力モデルを紹介したい。

高性能と上質感が楽しめる買い得な1台はこれだ

最旬モデルがズラリ! プレミアムSUV選びベストバイ

プレミアムモデルでも
コスパが問われる時代
ここにきてSUVのニューモデルが続々と投入されているが、特に1ランク上の満足度が得られるプレミアムSUVの動きが活発だ。
 いずれのモデルも存在感が強いフロントマスクや大径タイヤを装着することで、カッコいいスタイリングを実現。それでいてボディの基本スタイルはワゴン仕立てだからキャビンも広く取ることができる。多少価格が高めでも、それに見合う魅力があれば問題なく、スポーティな洗練された雰囲気と普段遣いで便利な実用性を併せ持つことがユーザーから注目を集める理由になっている。
 そんなプレミアムSUVの中でいま注目すべきは、ここでピックアップする4つのモデルだ。
 ボディサイズは全車とも4700㎜前後で、全幅は1800〜1900㎜になる。路地が多い街中で使うには少々大柄だが、このクラスは世界戦略車でもあり、また見た目の押し出し感も重要。サイズをこれ以上小さく設計するのは難しい。
 そこで重要になるのは小回り性能だ。最小回転半径は車種によって異なるが、最も小回りが利くのは、後輪駆動とこれをベースにした4WDを採用するCX-60。全グレードが5.4mに収まる。一つ下のヴェゼルの売れ筋グレードの数値は5.5mだから、ボディサイズの割に運転しやすいといえる。残りの3モデルに関してはアウトランダーは5.5m、ハリアーは5.5〜5.7m、レクサスNXは5.8mと、思いのほか差が出てくる部分といえる。

CX-60の内装レベルは
グレード間の差が大きめ
プレミアムを語る上で重要な訴求点になる内装の質は、いずれのモデルも高水準にまとめているが、その中ではCX-60は少し注意が必要。最上級のプレミアムスポーツやプレミアムモダンは、海外のプレミアムブランドのように上質だが、ベーシックグレードの標準仕様車とSパッケージ車は、インパネが硬質の樹脂になる。見比べるととても同じ車種とは思えない違いがある。その分、価格も大きく異なるのでそれはそれで納得できるのだが、この点は注意が必要だ。ちなみに価格は最も高価なPHEVプレミアムスポーツ/モダンは626万4500円で、一番安い25S・Sパッケージ(FR)は299万2000円だから、2倍以上の開きがある。CX-60のオススメは、マイルドハイブリッドを装着しないディーゼルのXD・Lパッケージで、価格は400万4000円(FR)。このグレードであれば十分な質感がありながらも、かつ割安感も実感することができる。
 CX-60のライバル筆頭に挙げられるハリアーは、直列6気筒エンジンや後輪駆動を採用するCX-60のような特徴はないが、内外装から居住性までバランス良く仕上げられていることが強み。買い得なモデルはハリアーハイブリッドGで価格は411万9000円(FF)になる。同価格帯のCX-60XD・Lパッケージと比べるとインパネ周辺の質感はハリアーが上まわる印象だ。
 アウトランダーはスポーティな印象が強いが、内装はCX-60のエクスクルーシブモードと同等か、それ以上に上質。どのグレードも価格以上の内容を持っており、プレミアム感を満喫できるが、オススメは本革シートを備えた最上級のP。価格は548万5700円だが、20‌kWhのリチウムイオン電池を搭載するプラグインハイブリッドで、4輪をモーターで駆動する本格4WDも備えているから割高ではない。
 価格帯が近いCX-60のPHEVは、エクスクルーシブスポーツ/モダンが584万6500円、ハリアープラグインハイブリッドは620万円だから、実はプラグインハイブリッド同士で比べてみるとアウトランダーはむしろ割安なのだ。
 レクサスNXはメンテナンスプログラムが標準付帯するなど、アフターサービスが充実することもあって価格が高い。2.5ℓエンジンをベースにしたハイブリッドの350hが520万円になる。内装はライバル勢と比べてもかなり上質だが、価格はハリアーハイブリッドGよりも約100万円高い。
 ちなみに居住空間の広さは、各車種とも同程度と考えていい。いずれも身長170cmの大人4名が乗車した時、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ2つ分になる。SUVは床と座面の間隔が十分に確保されるから、足元空間がこの広さでも快適に座れる。乗員快適性に関してはどのモデルも大差なしと考えていい。

走りの味付けにも個性あり
最新技術で質も貪欲に追求
 CX-60は4種類のパワーユニットを揃えるが、登場時期はそれぞれ異なる。販売店では「ディーゼルのマイルドハイブリッドが最も早く、販売店では試乗車も用意した。次はPHEVで、生産開始は12月下旬以降だ。2023年に入るとハイブリッドのないディーゼルが生産を開始して、ガソリンは3月以降になる」という。従って’22年10月時点で試乗できるのはXDハイブリッドだ。
 XDハイブリッドが搭載する3.3ℓ直列6気筒ディーゼルターボは、低回転域から余裕のある駆動力を発生させる。アクセルペダルを踏んだ瞬間、駆動力が一気に立ち上がる独特の唐突感は抑えており、力強くて扱いやすい。街中で多用する1500回転以下では、ディーゼル特有の少し粗いノイズが聞こえる。遮音を入念に行ったことで、ディーゼル特有の音質が逆に目立った面もある。
 CX-60の走行安定性は、後輪駆動を採用することもあって前後輪のバランスが優れており、操舵角に応じて忠実に良く曲がる。走行状態によっては、後輪の接地性が相対的に不足するが、不安は感じない。むしろ注意したいのは、減速時にボディの前側が下がる挙動を抑える制御を採用したことだ。ボディが水平を保ちながら、沈み込む印象になる。前後方向の揺れが抑えられて同乗者は快適だが、ドライバーの感じ方は異なる。ボディの前側が下がりにくいと、カーブの手前で減速しても前輪に荷重が加わらず、旋回軌跡を拡大させるような一種の錯覚が生じてしまう。乗り心地は、時速50㎞以下で街中を走ると、路上の細かなデコボコを伝えやすい。XDハイブリッドは、全グレードが20インチタイヤを装着しており、乗り心地が影響を受けた面もある。
 ハリアーはハイブリッドを取り上げる。動力性能は特に高くないが、パワー不足も感じない。モーターの存在を意識させ、加速は滑らかだ。アクセルペダルを踏み込むとノイズが少し拡大するが、穏やかに走る時は静かで、CX-60のディーゼルとは対称的な印象だ。カーブを曲がる時は、ボディの重さを感じる場面もあるが、走行安定性は良い。乗り心地は、19インチタイヤ装着車は硬めだが18インチは快適だ。
 アウトランダーは、4輪をモーターで駆動する機能をフルに活用。モーターは瞬発力が高いため、加速も力強い。4輪の駆動力制御も積極的に行うため、峠道のカーブでは、車両重量が2トンを軽く超えるSUVとは思えないほど良く曲がる。一般的なSUVならば前輪が外側へ滑り始めて旋回軌跡を拡大させる状況でも、アウトランダーは内側へ回り込む。旋回速度が高まり、この時にアクセルペダルを戻すと後輪の横滑りも発生させるが、挙動の変化が穏やかだから運転しやすい。操る楽しさを追求した稀有な存在といえる。乗り心地は硬めだが、段差を乗り越えた時の突き上げ感が抑えられていることも美点といえる。
 レクサスNXはハイブリッドの350hが売れ筋グレード。ハイブリッドのメカニズムは基本的にハリアーと同様だが、動力性能は異なる。ハリアーはレギュラーガソリンを使うが、NXはプレミアムを用いることもあってモーターの動力性能も高めに設定されている。そのためにエンジンとモーターの動力性能を合計したシステム最高出力は、ハリアーは218PSだが、NX350hは243PSに達する。
 その効果を強く感じるのは実用域だ。巡航中にアクセルペダルを踏み増した時、NX350hは加速の仕方が力強い。ハリアーハイブリッドの加速感は、内燃機エンジンに当てはめると2.7ℓ前後の印象だが、NX350hは3ℓを上まわる印象。小さな舵角から正確に反応する味付けがなされており、峠道でも高重心のSUVながら良く曲がる。このあたりの絶妙な味付けもレクサス車に共通する魅力といえるだろう。ただ乗り心地は売れ筋グレードに採用されているランフラットの20インチタイヤだと少し硬め。もう少し角を丸くして洗練させる余地もありそうな気がするが、スポーティなクルマを好むユーザーならば、これはこれで美点にもなりそうだ。

MAZDA 新型CX-60

価格:299万2000〜626万4500円

■主要諸元(XD Exclusive Mode・4WD)
●全長×全幅×全高(㎜):4740×1890×1685●ホイールベース(㎜):2870●車両重量(㎏):1890●パワーユニット:3283㏄直列6気筒ディーゼルターボ(231PS/51.0㎏・m)●WLTCモード総合燃費:18.3㎞/ℓ●燃料・タンク容量:軽油.58ℓ●最小回転半径:5.4m●タイヤ&ホイール:235/50R20

新開発のFRプラットフォームが採用されていることも強み。前世代のFFプラットフォーム車と比べると、走りの質感は明らかに向上している。
装備関連は最新モデルにふさわしいマツダの最新デバイスが惜しみなく投入される。車載ITのマツダコネクトも12.3インチモニターの上級タイプを選ぶことができる。

TOYOTA ハリアー

価格:312万8000〜620万円

■主要諸元(ハイブリッド Z・2WD)
●全長×全幅×全高(㎜):4740×1855×1660●ホイールベース(㎜):2690●車両重量(㎏):1680●パワーユニット:2487㏄直列4気筒+モーター(178PS/22.5㎏・m【エンジン】+88kW/202Nm【モーター】)●WLTCモード総合燃費:22.3k㎞/ℓ●燃料・タンク容量:レギュラー.55ℓ●最小回転半径:5.7m●タイヤ&ホイール:225/55R19

先日の最新改良時に外部充電機能が追加されたプラグインハイブリッド車も追加。通常のハイブリッド車を上回る動力性能が得られることも魅力だ。
上級グレードのZ系のディスプレイオーディオは、独立ナビ機能を備える12.3インチモニター仕様にアップグレードされる。
ハイブリッド車のパワーユニットは、トヨタの上級モデルに採用が進む2.5ℓハイブリッドを搭載。燃費の良さに加えて、力強い走りにも定評がある万能タイプだ。

MITSUBISHI アウトランダー

価格:462万1100〜548万5700円

■主要諸元(P)
●全長×全幅×全高(㎜):4710×1860×1745●ホイールベース(㎜):2705●車両重量(㎏):2110●パワーユニット:2359㏄直列4気筒+ツインモーター(98kW/195Nm【エンジン】+85kW/255Nm【フロントモーター】100kW/195Nm【リヤモーター】)●ハイブリッド燃料消費率WLTCモード:16.2㎞/ℓ●燃料・タンク容量:レギュラー.56ℓ●最小回転半径:5.5m●タイヤ&ホイール:255/45R20

オフロードのイメージが強いが、S-AWCの巧みな駆動制御はオンロードでも有効。モーター駆動がもたらす力強い走りは、このクラスでもトップを争うレベルだ。
最上級グレードのPのシートには、贅沢なセミアニリンレザーシートが奢られる。装備機能も充実するなど、プレミアムの演出も巧みだ。

LEXUS NX

価格:455万〜738万円

■主要諸元(NX350h F-SPORT 2WD)
●全長×全幅×全高(㎜):4660×1865×1660●ホイールベース(㎜):2690●車両重量(㎏):1750●パワーユニット:2487㏄直列4気筒+モーター(190PS/24.8㎏・m【エンジン】+134kW/270Nm【モーター】)●WLTC総合モード燃費:20.9㎞/ℓ●燃料・タンク容量:プレミアム.55ℓ●最小回転半径:5.8m●タイヤ&ホイール:235/50R20

2.5ℓ直4+モーターというシステム構成は、ハリアーやRAV4、カムリに搭載されるTHSⅡと同構成だが、NX用はモーターやPCUなどを高性能ユニットを採用することで、1ランク上の出力特性を手に入れている。
最新のデザインコンセプト「TazunaConcept」(タヅナコンセプト)で描かれるインパネまわり。走りにこだわるレクサスらしく、基本的には前席優先のレイアウトだ。
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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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