新型車比較・ライバル車対決
更新日:2023.04.27 / 掲載日:2023.03.11
新型プリウスとライバル車を徹底比較!燃費/価格/走行性能の違いは?
モデル選び、一刀両断
新型プリウス VS 7大ライバル車
最新かつ高性能ハイブリッドに進化を遂げた新型プリウス。キャラが万能タイプということもあって、強みが似ているモデルもかなり多い。ここではクルマ選びの時にライバルになりうる有力モデルとの関係を検証してみたい。
●文:川島 茂夫
ズバリ、ベストバイはこれだ!
TOYOTA 新型プリウス
エクステリア
走りを意識させる
ロングノーズパッケージに注目
従来型は空気抵抗の軽減とキャビン実用性のバランスを考慮したデザインを採用していたが、新型はロングノーズパッケージや19インチホイールの採用、クラッディングを配したフェンダーにより「走り」を意識させるデザインが強まった感を受ける。これまでのエコ志向とは別方向の新生プリウスにふさわしいスタイリングだ。
キャビン
未来を先取りした
プリウスらしいデザインは健在
輪外配置メーターや大型センターディスプレイを配したインパネレイアウトは引き続き採用しつつも、圧迫感の排除を狙ったアイランドアーキテクチャーを新たに採用。段差や凹凸の過剰な演出を抑えて、薄型ディスプレイを乗せるという手法は最近のトレンドのひとつであり、時代がプリウスに追い付いてきたとも解釈できる。
シート&荷室
後席を犠牲にしない
見た目以上の広々キャビンを実現
歴代モデルはいずれも後席居住性を考慮した設計が与えられていることが特徴。新型もその美点は踏襲されており、低全高&クーペ風味を感じるスポーティ&スペシャリティなパッケージながらも、造形とシート設計により後席ヘッドルームの余裕も巧みに稼いでいる。荷室を含めたキャビン実用性は従来型と同等レベルといっていいだろう。
装備機能
ドライバーの負担を軽減する
最先端装備も惜しみなく注入
ライン制御型LKAを含むトヨタセーフティセンスを全車に標準装着するほか、緊急時回避操舵支援機能も用意されている。BSMや駐車支援機能は上級グレード中心になるが、現代のクルマに必須の安全運転支援機能はトヨタ車全体でもトップクラスの機能が与えられている。車載ITはグレードによってディスプレイサイズが異なるが最新仕様が用意されている。
注目ライバル【1】TOYOTA アクア
キャビン&動力性能は見劣りするが
燃費優先ならば検討の価値はあり
WLTC総合モードの燃費は車重の軽いヤリスハイブリッドに及ばないが、最上級グレードのZで33.6㎞/ℓを記録。ヤリスのウィークポイントである後席居住性と荷室容量が改善されたことで4名乗車にも対応できるハイブリッドモデルに位置している。
車格感やスペシャリティ感でプリウスを検討しているユーザーにとっては、アクアはどちらも不足に感じてしまうだろうが、キャビン実用性と燃費を基準にしているユーザーならばアクアは十分選択肢に入ってくる。コスパを重視、もしくは市街地用途の頻度と距離が多いユーザーにとっては、むしろアクアの方が優位といってもいいだろう。
注目ライバル【2】NISSAN ノート オーラ
e-POWERがもたらす
力強い走りがアドバンテージ
ノート オーラはノートをベースにe-POWERの出力向上とボディ外板を変更して3ナンバーサイズに仕立て直したモデル。車体骨格やパワートレーン、シャシーの基本ハードウェアはノートと共用しているが、ノート自体が走りの質感に優れていることもあって、コンパクト2BOXクラスの中では、走りの実力はトップレベル。内装質感の出来の良さもあって、プレミアムキャラという面でも高く支持されている。
外観はオーソドックスな2BOXゆえにスポーティ&スペシャリティな印象は薄め。さらに燃費もハイブリッド車としては軽量小型クラスでありながら、WLTC燃費はプリウスの2ℓ車にも及ばない。ただe-POWERの純電動駆動がもたらす力強い加速性能はプリウス以上の力感があり、さらにコスパ面でもプリウスを上回っている。電動走行がもたらす力強い走りとプレミアム感を重視するユーザーにオススメしたいモデルだ。
注目ライバル【3】TOYOTA カローラ
燃費は同等レベル
キャビン実用性でやや優位
搭載しているハイブリッドが一世代古いタイプとなるため、2ℓ車を選べるプリウスの方が動力性能の余力感は勝るが、燃費の良いセダンという面ではかなり近い存在だ。
プリウスとカローラの選び分けのポイントは、外観のイメージとキャビン実用性。派生モデルのワゴン(ツーリング)を持ち出さなくてもカローラが勝っている。
さらにカローラはセダン/上級2BOX/ワゴンというバリエーションを選べることも魅力のひとつ。視点を変えるならば、プリウスはカローラ5ドアクーペとして位置付けられる存在ともいえるだろう。2BOXのスポーツよりもスペシャリティ感とプレミアム感を求めるユーザーにとっても、プリウスは魅力十分の選択になるだろう。
注目ライバル【4】TOYOTA C-HR
スタイルと走りを売りとする
SUVモチーフのスペシャリティカー
レジャー用途への対応力や悪路踏破性などSUVに求められる要素に絞り込むと物足りなさが否めないが、クーペルックなスタイリングや走りの質を突き詰めていくと、今なお魅力十分。このモデルの本質はSUVをモチーフとしたスペシャリティカーとして見るのが正しいだろう。
基本メカニズムはプリウスに近いが、2ℓ車が設定されたことで動力性能はプリウスが優位。サスチューンはC-HRの方が若干も引き締まった印象があるが、トヨタセーフティセンスの機能差もあって、高速適性はプリウスが若干上回る印象だ。ちなみにキャビン実用性はC-HRはSUVを名乗るもののコンパクトモデル相応のため、セダンベースのプリウスが一枚上手だ。
注目ライバル【5】TOYOTA カムリ
車格は1ランク上のハイブリッド車
ゆとりのキャビンと走りに魅力あり
プリウスよりも車体サイズも排気量も1クラス以上上のモデルになるためライバル車には思えないと感じるかもしれないが、プリウス2WDの最上級モデルのZは370万円。カムリのベーシックグレードのXは349万5000円、標準グレードのGは380万4000円と、予算面では意外と被ってくる。
カムリのアドバンテージはクラス上のボデイがもたらす広いキャビンとゆったりした乗り味。一方、プリウスに及ばないのは燃費や走りの良さ、狭い場所での取り回しになる。燃費はプリウス2ℓ車よりも2割ほど落ち込むが、4名乗車での寛いだドライブを重視するユーザーにとってはプリウスよりも適している。スポーティ&スペシャリティな雰囲気よりも上級モデルらしい落ち着いた雰囲気を志向したモデルだ。
注目ライバル【6】TOYOTA クラウン クロスオーバー
プリウスPHEV狙いならば
比較検討する価値はありそう
SUVを名乗るものの、その実態はオーナードライバー向けのトヨタセダン系最上位モデル。車格設定としてはプリウスとは2ランク違うモデルになる。プリウスとは価格のギャップも大きいのだが、2.5ℓハイブリッドを搭載するベーシックグレードのXだと435万円からの設定。この春の登場が予定されるプリウスPHEVとの比較ならば、かなり近い価格帯になりそうだ。
クラウンの2.5ℓハイブリッド車は、プリウスと同じスプリット式を採用することで実用性能と燃費の両立を図ったモデル。ファントゥドライブの視点では少し薄味だが、余力感に富んだ落ち着きのある走りはさすが上級モデルと唸らされるものがある。
一方、プリウスPHEVは大容量バッテリーがもたらすEV走行距離の長さとパワフルな動力性能が武器。燃費の良さとパワフルな走りを重視するユーザーには、プリウスPHEVという選択も十分アリだ。
注目ライバル【7】HONDA シビック e:HEV
動力性能の余力感と素直な操縦感覚
プリウスと互角に戦える実力セダン
ファストバック風の車体デザインなど、最近のセダンのトレンドを抜かりなく注入しているが、クーペルックが強いプリウスと比較するとルーフまわりがセダンらしく纏められている。その分だけ後席の居心地もいいのだが、シビックの魅力はやはり走りだ。
搭載されるe:HEVは、高速巡航時こそエンジン駆動も用いるパラレル式を併用するが、一般走行では純電動駆動ならではのトルクを活かした力感溢れる走りを武器にしている。新型プリウスの2ℓ車は動力性能を向上させているが、それでもシビックには及ばない。
もうひとつの魅力として挙げられるのは素直な操縦性。一般走行での落ち着きも山岳路の扱いやすさも良好で、このクラスの中ではトップクラスといえる。
ファントゥドライブの面でも新型プリウスの好ライバル。どちらをよしとするかはドライバーの好み次第だ。