新型車比較・ライバル車対決
更新日:2024.08.26 / 掲載日:2024.08.22

レクサス・LBX《モリゾーRR vs 標準車》買うならどっち?

標準車(ハイブリッド)との価格差は200万円弱 LBXベストバイといえるのはどっち?

ハイブリッドを搭載している標準車でも価格は460万円からと、コンパクトSUVとしてはかなり高額なLBXだが、モリゾーRRの価格はさらに上の650万円からという設定。高性能ターボ&本格4WDシステムを搭載するモリゾーRRが別格なのは間違いないが、価格面だけでLBXの最上位グレードとして考えていいのだろうか? ここでは標準車とモリゾーRRの立ち位置を整理することで、両モデルの違いを明確にしてみるぞ。

●本文:川島茂夫●写真:奥隅圭之

この記事の目次

モリゾーRR VS 標準車

LBX MORIZO RR価格:650720万円

■主要諸元 (LBX MORIZO RR)

●全長×全幅×全高(㎜): 4190×1840×1535 ●ホイールベース(㎜): 2580 ●車両重量(kg): 1440 ●パワーユニット: 1.6ℓ直3DOHCターボ ●最高出力: 304PS/6500rpm ●最大トルク: 40.8kg・m/3250〜4600rpm ●トランスミッション: 8速AT ●タイヤ: 235/45R19 ●0-100km/h加速: 5.2秒

LBX(標準車) 価格:460576万円

■主要諸元 (“Cool” 2WD)

●全長×全幅×全高(㎜): 4190×1825×1545 ●ホイールベース(㎜): 2580 ●トレッド【前/後】(㎜): 1570/1570 ●最低地上高(㎜):170 車両重量(kg):1310 ●パワーユニット: 1490cc直列4気筒エンジン(91PS/12.2kg・m)+モーター(69kW/185Nm) ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)ディスク(R) ●サスペンション:マクファーソンストラット式(F)トーションビーム式(R) ●タイヤ:225/55R18

標準車とは性能はもちろんキャラも完全に別物

LBXは従来の価値観とは少し違った位置で勝負している、新世代プレミアムモデル。ボディサイズやプラットフォームを基準にすると、トヨタブランドならヤリスクロスに相当するモデルだが、内外装のみならず、車体設計やエンジン本体のチューニングまで独自のエッセンスを織り込むことで、このクラスでは唯一無二のモデルに仕立てられている。”小さな高級車“と呼ぶにふさわしい一台だ。ただ、標準車のパワートレーンは、1・5ℓ3気筒のスプリット式ハイブリッドで、4WDも生活四駆型のE-Fourを採用。動力性能的にはコンパクトSUVの標準レベルと考えていい。

今回、追加導入されるモリゾーRRは、そんなLBXの立ち位置を大きく変えてくる一台。より高性能を求めるユーザー向けのモデルだが、ハードコアなカーマニア限定というほど限界性能至上主義に仕上げておらず、クルマを操る楽しさを実感できるよう上手にチューニングされている。

価格からもスペック面からもLBXの上位設定になるのだが、既存のヒエラルキーとは別枠の価値観を主張するLBXのコンセプトからすると、モリゾーRRは「ランサー」と「ランエボ」が同一車種として扱うには無理があったように、モリゾーRRも通常のLBXとは別のラインの、特別なLBXと考えるほうがいい。

モリゾーRRは、気負いなくクルマを操る楽しさを得られるのがミソ。扱いにくさは微塵もなく、誰でもファントゥドライブを体感できる。アクセルやサスの反応にも対話感があり、”超高性能モデル“との正しい付き合い方をクルマのほうから教えてくれるような特性なので、運転技術を向上させたいというドライバーにとって、良きトレーナーにもなってくれる。

高速走行やロングドライブでの快適性、燃費性能を求めるならば、ハイブリッドを搭載する標準車に及ばないが、この手の高性能モデルとしては乗り味は良質。同乗者から冷ややかな目で見られることもない。さらに外装まわりの加飾も上品で、普段使いとの馴染み感も良好。標準車以上に高くなってしまう価格設定はネックだが、刺さる人にはとことん刺さるクルマであるのは間違いないだろう。

モリゾーRR

高性能ターボ搭載の違いに加えて、ハンドリングやサスの反応も標準車とは異なる。ロングツーリング適性の高さも見逃せない魅力のひとつだ
専用スポーツシートを採用することで、日常域での快適性と身体を支えるサポート力を両立。構成素材もより上質になるなど、内装の雰囲気もモリゾーRRの方が上だ。

標準車

チューニングされたハイブリッドは、特にトルクの立ち上がり感に優れている。狙った速度までの見当も付けやすいなど、乗りやすさでも上級モデルを彷彿させてくれる。
標準車のパワートレーンは、1.5ℓ直3エンジンにモーターを組み合わせるハイブリッド仕様。トヨタ系モデルと比べると、バランスシャフトの追加などで、エンジン振動の低減や出力特性を強化している。
センターディスプレイがコンソール埋め込み型というのがLBXの特徴のひとつ。サイズこそレクサス最小クラスだが、内装質感は贅沢な造り。レクサスにふさわしい品格を持つ。

TOYOTA GRヤリス価格:349533万円

コンマ1秒の速さを極めるならGRヤリスの方が圧倒的に有利

GRヤリスは、モータースポーツ用のベース車両であり、吊るしのままでも競技に参加できるくらいに性能を熟成させたモデル。勝利を目指して誕生した本物の「レーシングマシン」といってもいい。モータースポーツ向けモデルにしては珍しくAT(8速型)を用意するが、それも実戦投入で勝ちを目指して技術開発されたプロのツールのひとつだ。

その走行特性はトラクション重視で、トラクションで押し出すようにコントロールすれば真価を発揮、タイムを削れるようになる。限界走行を試みる時は、ドライバーはトラクションを活かせるようにお膳立てをする必要があり、しかも途中からのアレンジが利きにくいタイプ。限界まで余裕がある状況では何とでもなるが、速さを求めるとクルマがドライバーにも相応の技量を求めてくる。

LBXモリゾーRRの走りは、過渡特性の掴みやすさと、そこを利用した自在なコントロール性に優れていることが特徴。GRヤリスなら進入時の姿勢作りの失敗を補正するのは一苦労だが、モリゾーRRは減速や追舵でロスを最小にし、新たなラインを構築するのも難しくはない。小技にもしっかり応えてくれるのがモリゾーRRであり、速さを求めればGRヤリスには及ばないが、ファントゥドライブの質と範囲が広く、走りのアレンジ能力の高さは上回っているのだ。

FFベースの駆動系ながら後輪の総減速比を前輪より速くすることで前後輪のトルク配分を不等比とした電子制御カップリング式4WDシステムや、304PSの最高出力を誇る1.6ℓ3気筒ターボなど、ハイスペックなアイテムが目白押しだ。
今年春の改良時に、操作パネルやディスプレイをドライバー側へ15度傾けて設置するレイアウト変更を実施。貪欲に速さを求める硬派ぶりも、GRヤリスならではの特徴のひとつ。
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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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