新型車比較・ライバル車対決
更新日:2024.09.27 / 掲載日:2024.09.27
伊仏の人気ワゴンを徹底比較!リフター、ベルランゴ、ドブロ、あなたにぴったりなのはどれ?

日々の通勤や買い物はもちろん、アウトドアなどの趣味にもぴったりなのがコンパクトワゴンだ。しかし、国産の新型車はSUVが主流となっており、荷物をたくさん積んで遊び倒せる手頃なワゴンは意外と少ない。一方、輸入車に目を向ければ魅力的なクルマは多い。そこで今回は、プジョー リフター、シトロエン ベルランゴ、そしてフィアット ドブロというコンパクトワゴンに注目。あまり聞きなれない車名かもしれないが、ヨーロッパではとても身近なモデル。最近は日本でも導入されたことで、ユーザーが増えているのだ。今回は、リフター、ベルランゴ、ドブロ3兄弟を比較しながら紹介しよう。
リフター/ベルランゴ/ドブロってどんなクルマ?
じつは、この3車はステランティスグループが要する3ブランド(プジョー、シトロエン、フィアット)から発売されているコンパクトワゴンで、基本的には同じプラットフォームとメカニズムを持つクルマ。いわゆるバッジエンジニアリングと呼ばれるものだ。ほかにも同グループのオペル コンボ、トヨタ プロエースシティも兄弟車として存在するが、これらは日本に未導入。
いずれもショート(2列シート)とロング(3列シート)が設定されており、前者は全長4405mm、全幅1850mm、全高1825~1855mm、後者は全長4760mm~4770mm、全幅1850mm、全高1845~1875mmというサイズ。ちなみにショートボディはライバルのルノー カングーとほぼ同じくらいといえばわかりやすいだろうか。手頃な大きさのボディとゆとりの荷室(ショートで最大2126L)は、まさに使い方無限大。シートアレンジをすることで、仕事や趣味、そしてビジネスにも使える万能選手といったところだ。
パワートレインも3車共通となっており、1.5L 直4ディーゼルエンジンを搭載し、130馬力と35.6kgmを発揮。トランスミッションは8速ATが組み合わされている。機敏な加速性能を持ちながら、WLTCモードで18.1km/Lという優れた燃費性能を誇っており、実力は十分。基本的なスペックは同じだが、これらは微妙に仕立てが異なっている。それぞれどんな特色があるのか見ていこう。
スポーティでアクティブなスタイルがお好みなら「プジョー リフター」

プジョー リフターのルーツは、1996年に登場したプジョー パートナー。全長およそ4.1mの小さなボディに大きな荷室を設定し、乗用車/商用車の両方が設定された。2008年のフルモデルチェンジを経て、欧州では2018年に現行型パートナーが登場。この際、乗用車は「リフター」、商用車は引き続き「パートナー」として販売され、名称が区別されることになった。

日本に導入されたのは2019年で、スポーティなルックスがひと際目をひく。特にベルランゴやドブロと比べてクロスオーバー風の仕立てとなっており、先日のマイナーチェンジでは3本鉤爪モチーフのデイタイムライトを備えたことで、パーソナルカーとしての性格が強められている。3車とも基本的には共通のインテリアデザインであるものの、リフターは小径ステアリングや専用メーターフードが付くなどオリジナリティが高いのも特徴。シートはブラウンツートーンとなり、スタイリッシュなイメージ。タイヤもベルランゴやドブロよりも大きい17インチサイズが装着される。新車価格は「リフター GT」が448万円、「リフター ロング GT」が468万円となっており、3車のなかで一番高額。見た目にこだわる人におすすめのモデルだ。
ポップでカジュアルな雰囲気が好みなら「シトロエン ベルランゴ」

シトロエン ベルランゴも、プジョー パートナーと同じ歴史を歩んできた兄弟車。初代は1996年に登場し、コンパクトなボディに荷室を備えたフルゴネットとして発売された。2008年にはパートナーとともに2代目が登場したが、初代がわずかに国内導入されたことを除けば、2代目までは正規販売されておらず、日本ではあまり知られていないモデルかもしれない。

そんなベルランゴの新型モデルが、プジョー リフター(パートナーの乗用モデル)とともに国内導入されたのは2019年のこと。どちらも兄弟車でありながら、エクステリアは大きく差別化されている。スポーティ志向の強いリフターに対し、ベルランゴは個性の強いルックス。ダブルシェブロンとヘッドライトを一体化したデザインは愛嬌あるもので、リフターやドブロとは一線を画している。フォグランプベゼルとエアバンプにカラーアクセントが組み合わされるのも見どころで、全体的にポップな印象だ。室内は家具からインスピレーションを得たデザインとなっており、手触りのよい素材で仕立てられる。ほかの2車と比べても明るいイメージ。グレードは上位モデルとして「XTRパック」が設定されるのも特徴。こちらには室内にマットオレンジのアクセントカラーが施されている。シトロエンファンや個性的なスタイルが好みのひとにおすすめ。新車価格はショートボディが413万円~434万9000円、ロングボディが443万3000円~455万4000円。
コストパフォーマンスを重視するなら「フィアット ドブロ」

リフター/パートナーやベルランゴよりもやや遅れてデビューしたのがフィアット ドブロ。初代は2001年に海外市場向けに発売され、2010年には2代目が登場している。いずれも日本に正規輸入されていないモデルだったが、2023年には同じステランティスグループであるリフターやベルランゴの兄弟車として日本でも販売が開始された。

エクステリアは、フィアットブランドらしくベーシックなデザインが特徴的。足もとには16インチアルミホイールが装着されるが、全体的に商用車のような落ち着きのあるルックスとなっており、道具感をアピールしている。ボディカラーはホワイトやグレーなどシンプルな色が中心。インテリアはブラックで統一されており、こちらもベーシックな雰囲気でまとめられている。とはいえ、左右独立調整式エアコン、後席用エアアウトレット、アクティブセーフティブレーキやアダプティブクルーズコントロールなど、装備は充実しているから安心して乗れる。新車価格はショートボディが399万円、ロングボディ(ドブロマキシ)が429万円と、リフターやベルランゴと比べて安いことも魅力。コストパフォーマンス重視ならこちらをチョイスしよう。
メカニズムは同じでもデザインは三者三様、好みで選んでOK!

ステランティスのコンパクトワゴン3兄弟は、基本的にメカニズムが共通。それゆえ、主に内外装のデザインで選ぶことになる。プジョーはもともとスポーツイメージが高いため、リフターもスポーティかつワイルドなデザイン。シトロエンやフィアットもブランドのイメージを踏襲した仕立てとなっている。ただし価格帯が異なり、プジョー リフターが最も高額、フィアット ドブロは399万円と手が届きやすいことにも注目だ。また、いずれもドライビングフィールは異なっているので、購入前に試乗することをおすすめする。