新型車比較・ライバル車対決
更新日:2025.04.12 / 掲載日:2025.04.12
新型クラウン4兄弟魅力くらべ
クロスオーバー/セダン/スポーツ/エステート
シリーズがやっと勢揃い。光る個性がとてもイイ!
●文:川島茂夫/月刊自家用車編集部

TOYOTA クラウンエステート

いずれもプレミアムモデル。キャラの棲み分けは大成功
クラウン4モデルのボディ形式を見比べると、セダン/5ドアHB/ワゴンに分類される。オーソドックスな車種展開だが、注目したいのはおのおののキャラ付けの上手さだ。
クラウンセダンは最もオーソドックスな3BOXボディということもあって、フォーマルなイメージが強め。ファストバック風のフォルムながら、ショーファードリブンにも自然に馴染むフォーマルな佇まいを感じさせてくれる。一方、同じ3BOXボディながら横置レイアウトのプラットフォームから開発されたクラウンクロスオーバーは、4ドアクーペ的なフォルムとSUVのデザイン技法を融合させることで、セダンのイメージを破った強いキャラが与えられている。新生クラウンの幕開けを飾るに十分なインパクトがある。
クラウンスポーツは、ショートホイールベース化と凝縮感のあるスタイルで纏められ、最上級クラスのモデルとしては珍しい、軽やかな躍動感のあるスポーティカジュアルなキャラが印象的だ。
プラットフォームが違うセダンはともかく、同プラットフォームのクロスオーバーとスポーツと比較すると、クラウンエステートの印象は少し大人しくも思える。
一方、走行ハード面においては、FR駆動のセダンは実質的には別モデルと考えるべきだろう。FCEV(燃料電池車)のほかハイブリッドも選べるが、システムは縦置きなので他系統とは別設計で、駆動方式も後輪駆動の2WDのみになる。
横置きプラットフォームを採用する3系統の駆動方式は、後輪用の独立した電動駆動系を備えたE-Fourのみの設定。全車に車速や走行状況に応じて小回り性や操安性等を向上させる電子制御後輪操舵システムを装備。上級グレードには電子制御ダンパーを用いたナビ地図連動のAI・AVSを装備するのも共通している。
パワートレーンはクロスオーバーはHEVのみの設定だが、2・5ℓのスプリット式と高性能志向の2・4ℓターボを核としたパラレル式を設定。スポーツとエステートにターボ車は設定されず、代わってPHEVモデルが用意される。
パワートレーン設定は、4系統のキャラの違いの具体的な例のひとつだ。FCEVはカーボンフリー時代へのいち早い対応、ターボハイブリッドはエコ時代の高性能とファントゥドライブ、PHEVは来るべき電動時代と、いずれのモデルにも普及が進んでいる最新技術が用いられている。
スポーツとエステートのキャラの差は、走行ハード面の違いというよりも、適応用途の違いがメインだ。実際の走りでも、軽やかでスポーティな味わいのスポーツに対して、快適性とストレスフリーを求めるエステートでは大きな差を感じられる。プライベートタイムを軸脚にしたパーソナル用途へ向けたスポーツに対して、ファミリー&レジャー用途を基本に置くのがエステートの立ち位置だ。
TOYOTA クラウンクロスオーバー

シリーズで唯一のターボハイブリッド車を設定
ファストバック風のスタイルで5ドアモデルのようにも見えるが、独立したトランクを備えたセダンボディを採用。横置プラットフォームから開発されたクラウン系では最も高性能志向が強く、最上級仕様にはクラウン系では唯一となるパラレル式ハイブリッドの2.4ℓターボを搭載する。旧来のクラウンの立ち位置からすると、アスリートに相当する存在といっていい。
TOYOTA クラウンスポーツ

個性派揃いの新クラウンの中でもその立ち位置は“唯一無二”
ホイールベースやリヤオーバーハングを短縮することで、スポーティな5ドアハッチバックに仕立てたのが特徴。そこにプレミアムのエッセンスを注ぐことで、他メーカーの頂点クラスにはないカジュアル&スポーティなモデルに仕立てている。シリーズの中ではパーソナル志向が強いが、上級モデルに不可欠な高級感も備わっている。
TOYOTA クラウンセダン

FR駆動を踏襲するショーファーモデル
現行クラウン系では唯一FRプラットフォームを採用する。駆動方式も2WDに限定される。縦置の2.5ℓスプリットハイブリッドを採用するが、注目すべきはFCEVモデルの設定。内容的にはミライの発展モデルとも言える。4系統では最もフォーマル志向が強く、VIPカー用途を意識した設計も見どころのひとつだ。

ライタープロフィール
オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。
オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。