新型車比較・ライバル車対決
更新日:2018.11.29 / 掲載日:2017.11.30

夢の先取り大対決! MAZDA 魁(カイ)コンセプト

 今回の東京モーターショーは、ショーの花形である「コンセプトカー」は少なかったが、そんな中でも光っていたのが、マツダの2台のコンセプトモデルだ。本誌が注目するのはそのうちの1台「魁(カイ)コンセプト」である。
 初代CX-5からスタートした6世代商品から「魂動デザイン」は採用されているが、この魂動デザインは「クルマに命を与えること」がテーマとなっている。この考えを第2フェイズへと進化させたのが「魁コンセプト」である。
 では、何が変わったのか? 従来の魂動デザインは「線」を用いて表現していたが、第2フェイズは「面」で表現している点だ。つまり、光のリフレクションを使うことで、よりシンプルな造形の中で躍動感を表現するという、日本の伝統的なモノ作りをカタチにしている。すでに2代目に進化した現行CX-5はその手法が用いられており、品格や質感が大きくレベルアップした。その表現をクルマのスタンダードである「ハッチバック」で表現したのが魁コンセプトと言うわけだ。
 一般的にハッチバックは合理的で機能的なモデルが多く、プラスαの魅力はスポーティと言うのが定番だが、魁コンセプトは塊感のあるスタイルながらも「小さな高級車」のような色気と品格を備えているのが分かるだろう。
 一方、インテリアはマツダが提唱する「人間中心の思想」をより具体化させた、コクピット感覚を強調したデザインを採用。他の部分をできるだけシンプルにしてコクピットが引き立つようにし、走る喜びを表現しているそうだ。
 このデザインコンセプトが反映された量産車が2019年に登場する予定と言うが、マツダ関係者はお茶を濁すものの、次期アクセラであるのは間違いない。このデザインを量産化させるには、開発/生産チーム共に、非常にハードルが高いと思うが、今のマツダならやってくれるに違いない。

  • スリムなフロントグリルに長くなだらかなラインを描くボンネット。

  • シャープさが際立つフロントマスクは何ともスポーティ。

  • リヤエンドまで伸びやかな造形を楽しませてくれる。

魁 コンセプト開発者インタビュー 「新しい挑戦が注がれた力強い美しさを感じてください」

マツダ デザイン本部 チーフデザイナー 土田康剛氏

 今回ハッチバックを選んだのは我々マツダの“挑戦”でもあります。ハッチバックはグローバルのスタンダードですので、変化球ではなく直球勝負をしてみたかった、と言う想いもありました。ハッチバックと言うと合理性、機能性が重視されがちですが、その中で魂動デザインの「生命観」や「躍動感」を表現し、魅力的なデザインを作れることを証明したかったのです。初代CX-5からスタートした魂動デザインは今後も継承し、次世代に向けて進化をしていきますが、その一つが「引き算の美学」になります。よりシンプルにしながらも美しさを表現することが大事だと考えており、魁コンセプトではハッチバックならではのプロポーションを作るために、力強く凝縮された美しさに加えて、線ではなく面による動きを盛り込み、リフレクション(反射)のコントロールだけで、セクシーさや妖艶さを表現しています。

魁コンセプト(次期アクセラ スタディモデル)×アクセラスポーツ

  • 魁コンセプト(次期アクセラ スタディモデル)

     マツダが考える、理想のハッチバック像を体現する魁コンセプト。商品化までには一工夫が必要だろうが、低めのボンネットや後退したAピラーなどが生み出すスポーティなスタイリングは存在感に溢れる。現行アクセラスポーツと比べてみると、想像以上に差があることが分かる。


  •  アクセラスポーツ

     現行アクセラのスタイリングは、第一世代の魂動デザインから導かれたもの。ライバル勢に比べるとエモーショナルな印象が強い。ユーティリティよりもデザインを優先したハッチバックだ。また走りの質感、秀逸なハンドリングも優秀。走り優先の設計も評価されている。


スカイアクティブXの採用で走りも劇的進化を遂げるだろう

「欧州Cセグメントクラスの実力で、そのメーカーの実力が分かる」とも言われており、どのメーカーもエース級のモデルをラインナップしている。確かに見回してみると、VWゴルフやフォード・フォーカス、メルセデスベンツAクラス、プジョー308と言った強敵ばかりだ。そんな激戦区に投入されているのがアクセラだ。
 かつては日本車の得意ジャンルだったハッチバックだが、ここ最近はラインナップが減っている。しかしアクセラは着実に販売を行なっており、2014年には初代モデルの生産開始から、わずか10年7か月(歴代マツダ車最短記録)で累計生産台数400万台を達成する、マツダのエースである。
 マツダ関係者は「将来の商品計画については……」と口をつぐむが、「魁コンセプト」が次期アクセラを示唆するモデルであるのは周知の事実である。当然、デザインコンセプトなのでこのままの姿で出ることはないが、内外装のイメージが受け継がれるのは間違いないだろう。
 現行アクセラはマツダの新世代商品の中ではスポーティなイメージが強いが、次期モデルはそれを継承しながらも、Cセグメントハッチでは数少ない「小さな高級車」的なポジションも狙ってくることは容易に想像できる。
 メカニズムに関しては、次世代技術の一つである究極の内燃機関と呼ばれる圧縮着火エンジン「スカイアクティブX」を発表している。すでにプロトタイプエンジンを搭載する車両を報道陣に試乗させているが、初期応答性の良さはディーゼル、低中速の自然なトルク感の盛り上がりはライトプレッシャーターボ、そして高回転まで綺麗に吹け上がる伸びの良さは高性能NAと、各パワーユニットのいい所取りの性格だ。
 さらに人間の本来持つ能力を最大限に活かす「究極の人馬一体」を目標に車両全体をコーディネイトした「次世代プラットフォーム」も次期アクセラから採用される。プロトタイプに乗った印象は「ディーゼルモデルの「重さを活かした落ちつきのある乗り味」とガソリン車の「軽快でキビキビした乗り味」の融合と17インチの「しなやかさ」と19インチの「シッカリ感」の融合と、二律背反の性能を両立していることにビックリしたほどだ。
 現行アクセラも決して悪くないが、スカイアクティブX+次世代シャシーの組み合わせと比較すると、申し訳ないが次元が違う。これに第2フェイズの魂動デザインが採用されるのだから、次期アクセラは本気でゴルフ超えを狙っているのかもしれない。

  • 中央に刻まれるキャラクターラインと緩やかなパネルは、光の当て加減で陰影が変わる様々な表情を楽しませてくれる。グラスエリアが狭いデザインは、魂動デザイン採用車の特徴のひとつだ。

  • 1.5Lディーゼルターボ車の走りは軽くアクセルを踏み込む程度でも太いトルク感を体感できる。低い回転数で繋いでいく加速は、1クラス上の力感があり扱いやすい。

  • 東京モーターショーでは見ることができなかったが、インパネまわりのイメージは公開されている。同様に存在感あるデザインだが、商品化の際には大きく手を加えられるだろう。

  • 東京モーターショーでは見ることができなかったが、インパネまわりのイメージは公開されている。同様に存在感あるデザインだが、商品化の際には大きく手を加えられるだろう。

  • 年次改良で一部意匠は変更されたが、ドライバー優先の設計は変わらない。質感の良さも際立っている。マツダコネクトは賛否両論があるが、安全装備の充実ぶりは高い評価を得ている。

  • アクセラスポーツには1.5Lガソリンと1.5L&2.2Lディーゼルターボの3つが用意される。主力は1.5Lディーゼルターボで105PS/27.5kg・m を発揮。分厚いトルクが特徴だ。

次期アクセラの登場でハッチバックの勢力図はどう変わる?

 正直言うと、「最近のマツダはちょっと調子に乗っている」と感じる部分もあったが、各々の領域で理想に向けて愚直に目指している姿勢を見ているうちに、「やるなら徹底的にやって欲しい」と思うようになった。マツダは過去に大ヒットモデルを世に送り出しているが、それらの多くは一代限り、というケースが多い。しかし、今はスカイアクティブ技術と魂動デザインと言うブレない軸がある。魁コンセプトを見ると、次期アクセラはキープコンセプトに見えるかもしれないが、その本質は「大改革」になるのは容易に想像ができる。


提供元:月刊自家用車




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