新型車比較・ライバル車対決
更新日:2018.11.08 / 掲載日:2017.11.30

夢の先取り大対決! MITSUBISHI エクリプスクロス

 スポーツクーペとして人気を人気を博したエクリプスの名を引き継いだクロスオーバーとなればかなりスペシャリティに偏ったSUVを想像してしまう。だが、目の当たりにすると意外なほど実用性を配慮した設計である。実用志向とも言い難いが、後席の乗降時の頭抜けを考慮したドア開口形状やウインドウグラフィックは、後席の使い勝手や居心地への気配りが感じられる。
 全長は4.4m、全幅は1.8m。C-HRよりわずかに大きいが、SUVとしてはかなりコンパクト。込み入った都市部での取り回しにも面倒のないサイズである。
 それゆえキャビンスペースが気になるが、実質的な前身モデルと目されるRVRとホイールベースは共通であり、スペックからしても男性の4名乗車にも耐えうる、十分なスペースを持つ。また後席にはスライド機能も備わるなど、限られた空間を効率良く使える設計だ。デザイン的にはスペシャリティ志向が強いが、ファミリー&レジャー用途にも十分に対応できる適性を感じることができる。
 パワートレーンは1.5Lのダウンサイジング直噴ターボとCVTの組み合わせ。メーカーが言うには低中回転域トルクでは2.4LのNAエンジンに匹敵する性能を持つとされる。一般的な2LNAクラスとの比較では、動力性能も燃費も1ランク以上の向上が期待できる。強力なライバルが揃うこのジャンルにおいても、見劣りすることはなさそうだ。
 最新モデルに必須の安全&運転支援装備も、三菱が持つ最新仕様が提供されるだろう。高速長距離にも強いダウンサイジングターボに、日常用途に手頃なボディサイズ。さらに先進装備の数々。その特徴を並べれば、汎用性の高さが際立つ。コンパクトSUVには強敵が揃うが、タウン&ツーリング性能を重視するユーザーを中心に人気を集めそうだ。

■主要諸元 (※欧州仕様車の数値)全長×全幅×全高(mm):4405×1805×1685、ホイールベース(mm):2670、トレッド 前/後(mm):1545/1545、パワートレーン:1.5L直4直噴ターボエンジン(163hp/25.5kg・m)、トランスミッション:CVT、駆動方式:電子制御4WD

  • ブラック&グレーのコンビシートは、適度なサイドサポートを備える、最近のスポーティSUVに多く見られるデザイン形状。座面高も低めで収まりの良さが際立つ。

  • ミッションは8速スポーツモード機構を備えるCVTを搭載。シフトレバーの横にはメニュー画面を操作できるタッチパネルインターフェイスが配置されている。

  • 欧州仕様車にはカラーHUDも装備されている。日本仕様車も同様の装備が備わるのは確実。より多くの情報を直感的に把握することができるはずだ。

日本仕様に搭載されるのは、1.5Lの直4直噴ターボになるようだ。その詳細なスペックは公開されていないが、先に出荷が始まった欧州仕様車は163hp/25.5kg・mとされる。

MITSUBISHI エクリプスクロス×TOYOTA C-HR×SUBARU スバルXV徹底比較その1エクステリア&パッケージング

  • MITSUBISHI エクリプスクロス

     彫りの深いデザインは旧来の三菱車のイメージとは明らかに異なる。日本仕様にも本格的な4WD機構と四輪制御技術が組み合わされるようだが、搭載されるエンジンはトルク感に富むディーゼルターボではなく、1.5Lガソリンの直噴ターボ。やはり主戦場はオンロードだろう。

  • TOYOTA C-HR

     2017年上半期の主役は、間違いなくこのモデル。スタイリッシュなデザインに目を惹かれるが、ニュルブルクリンクで鍛えられた足回りが与えられるなど、オンロードの性能はクラストップレベル。キャラ的にはSUVよりもスペシャリティクーペに近いとの声も。

  • SUBARU スバルXV

     もともとスバルXVは、インプレッサスポーツの派生モデルとして誕生したSUV。その流れもあって基本骨格やエクステリア&インテリアイメージ、装備類は共通の仕様は多い。そのためかスペシャリティを売りとするSUVとしては、やや地味目に映る部分も多い。

見た目のサイズ感は同じだが キャラの違いはかなり大きい

 3車のホイールベースを比較すると、エクリプスクロスはXVと同じで、C-HRは30mmほど短い。ホイールベースはキャビンスペースを図る目安のひとつであるので、、見た目のサイズ感と同様に、基本的なキャビンスペースに大きな違いはないと考えていいだろう。
 3車比較で最も違いを感じるのは、キャビン後半の造形である。最もオーソドックスな印象を与えるXVは後席ドアの開口部が大きく、リヤピラーにも小窓を配した6ライトウインドウの採用など、開放感や見晴らしも含めて、後席の居心地に気を使っている。 そういった気配りに欠けるのがC-HRだ。リヤドアの開口もウインドウも小さく、レッグスペースなどの寸法面の不足はないが、視角的な閉鎖感が強く、乗降にも気を使う。スペシャリティに特化させたキャラからすれば意外と使えるとも言えるが、3車では最も前席優先のパッケージングとスタイルである。
 エクリプスクロスはこの中間の設計だ。クーペ的なフォルムを実現するために、後席まわりを潰さずにリヤウインドウをプリウスのような二段構成としたハイデッキデザインにして、ファストバック感を演出している。C-HRと比較すると、クーペ感覚の演出が少々中途半端な印象もあるが、後発モデルとしては無難なデザインだ。
 改めて見比べると、スペシャリティ感とSUVらしさ、キャビンユーティリティの3点を過不足なく備えているのはエクリプスクロスである。XVは一般用途における汎用性は優れるが、SUVらしさは希薄だ。C-HRはスペシャリティ感はトップクラスだが、多様な使い方を求めると、後席や荷室まわりが厳しい。C-HRやXVが特化した部分に着目すればエクリプスクロスは中途半端だが、多彩な楽しみを求めるには最適であろう。

MITSUBISHI エクリプスクロス×TOYOTA C-HR×SUBARU スバルXV徹底比較その2キャビン&ラゲッジ

MITSUBISHI エクリプスクロス

  • 前席も後席も頭上空間にさほどの余裕はないが、後席はスライド機構を備えるなど、相応の居住性能を持つ。

  • リヤウインドウは強い傾斜があるなど、ラゲッジには高さはないが、それでもクラス平均以上の容量は確保。後席のシートバックも格納が可能だ。

  • コンソール上部にモニターを配置。欧州仕様車ではスマホと接続も可能とされているので、日本仕様車にも同様の機能を備えるのは確実だ。

TOYOTA C-HR

  • インパネまわりは未来的な雰囲気。よく手が触れる部分にパネルやソフトパッドを配することで、上手に上質感を演出している。

  • ラゲッジは広めの2BOX車レベルで奥行きもそれなり。大きな荷物は厳しいが、デザイン優先のボディ形状からすれば、健闘しているとも。

  • シートにはサイドサポートが配される。前席はクラス相応の広さを持つが、後席は頭上クリアランスに余裕がなく、圧迫感を感じてしまう。

SUBARU スバルXV

  • インパネ加飾パネルはダークシルバー金属調を採用。ソフトパッド(オレンジステッチ)の採用など上級感を意識した造りだ。

  • 通常時のラゲッジはハッチバックレベル。普段使いに不満はないものの、間口の狭さや奥行きなどは物足りない。キャビン&ラゲッジの寸法はインプレッサスポーツと同じ。奥行きをしっかりと確保されているので、現行型と同様に普段使いで便利に使えるだろう。

  • フロント&リヤシートはインプレッサと共通の形状。シートトリムはメーカーOPのブラックレザーを含め4タイプ用意される。オレンジステッチはXV専用だ。

エクリプスクロスの 走りはどうなる?

日本仕様向けには1.5L直噴ターボが搭載されるが、欧州仕様のエンジンスペックから想像するに、全域でリニアな加速が楽しめるユニットになるはずだ。今回比べた2モデルに負けない性能を発揮するだろう。

 C-HRは4WD車にダウンサイジングターボを採用するが、エクリプスクロスとは排気量が異なる。C-HRのターボ車の動力性能は1ランク下と考えるのが妥当だろう。XVは2タイプのエンジンが設定されるが、上級のNA2Lが実質的な標準設定だ。正式デビュー前ということもあり、あくまでもスペックによる比較になるが、動力性能で最もゆとりがあるのはエクリプスクロスだろう。 C-HRのハイブリッド車は軽負荷域の反応や加速感で余力を感じさせるが、高負荷域ではガソリンの2L級レベル。高速走行での加減速でエンジン回転数変化が大きめなのは気になる。XVは素直なトルク特性でコントロールもしやすいが、巡航ギヤの維持能力はターボに一歩劣る。巧みな変速制御で低中速域では目立たないが、高速加速や登坂ではダウンシフトが頻繁になってしまう。 公表されている資料によると、エクリプスクロスの最大トルクは2.4L級。他のダウンサイジングターボ車の特性からしても力感あるパワーフィールと推測でき、高速域での巡航ギヤの維持能力も高いだろう。ライバル車の1クラス上の性能が期待できる。 高速長距離の運転疲労軽減に大きく影響する、運転支援系も気になる部分だ。C-HRはACCが全車速型、LKAは逸脱警報と修正操舵を備える。XVは全車速型ACCで、LKAは操舵支援機能を備えている。エクリプスクロスは未発表だが、アウトランダーでは全車速型ACCを採用するものの、車線維持支援は逸脱警報のみである。ただし、ショーで公開されたプロトタイプには予防安全装備の作動状況も表示するカラーHUDも装備され、運転支援機能全般が拡充していると予想できる。そうなれば運転支援機能も同等以上。操舵支援を備えるLKAを採用している可能性も高い。

  • C-HR
    外観から期待するとおり引き締まったフットワークが程よくスポーティ。細かな振動の遮断など乗り心地の質感も良好。ツーリング&スポーティ車としては動力性能で余力や切れ味に欠くが、省燃費性能は群を抜いている。

  • スバルXV
    2L車は高バランス型。低速から高速まで、癖のない操縦性や安心感の高い乗り心地など、一般的なドライバーにも馴染みやすい走りを披露する。余力感ではターボに及ばないが、高回転まで心地よく使える素直なパワーフィールも見所のひとつ。

最速予測 エクリプスクロスの登場で コンパクトSUVの勢力図は どう変わる?

 SUVの捉え方が評価のポイントである。例えばスペシャリティを求めた場合は、C-HRは旧来のSUV感が希薄。だがエクリプスクロスは往年の三菱4WDを彷彿させる薫りが濃厚である。その傾向はデザイン面だけでなく、ユーティリティや使い勝手でも同様だ。
 一方、XVに対しては方向性は似ているが、スペシャリティ感の濃度が微妙に異なる。XVの方が明らかに薄味だ。
 SUVを求めるユーザーには、アウトドア志向が重要だ。だがその一方で、スペシャリティ感を重視するSUVも市場に根付き始めている。このふたつの軸の交差点に位置するのがエクリプスクロスである。たまにレジャーでも使いたいけど、あまりハードなSUVは好ましくない。そんな贅沢な願いを持つユーザーに、エクリプスクロスは高い確率でマッチするだろう。

提供元:月刊自家用車

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グーネットマガジン編集部

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