新型車比較・ライバル車対決
更新日:2019.05.10 / 掲載日:2019.05.10

MITSUBISHI新型eKクロス/NISSAN新型eKワゴン&デイズ徹底レポート

いまや軽自動車はファーストカーとしても選ばれる時代。登録車顔負けの設計や装備&機能が注がれたモデルは、多少“高く”とも絶大な人気を集めている。今回デビューする新型eKクロス/ワゴンとデイズは、そこを狙って投入される新世代の軽自動車なのだ。
●文:川島茂夫 ●写真:澤田和久、佐藤正巳

icon MITSUBISHI eKクロス/eKワゴン

  • ●新型eKクロス/eKワゴン バリエーション&価格

    ●発売日:2019年3月28日
    ●価格帯:129万6000~176万5800円
    ●問い合わせ先:0120-324-860

icon NISSAN デイズ

  • ●新型デイズ バリエーション&価格

    ●発売日:2019年3月28日
    ●価格帯:127万3320~177万8760円
    ●問い合わせ先:0120-315-232

軽離れした装備と機能 ライバルはズバリ登録車だ

現在の軽自動車市場はワゴンRやムーヴを始祖としたハイト系が標準的選択と考えてもいいだろう。そこを狙って誕生したのがeKワゴンであり、今回の新型車で4代目となる。先代から日産との共同開発モデルとなり、三菱主導で企画開発されていたが、新型車では基本設計を日産が担当している。

日産の開発ということで最も注目されるのは、同社の有力なセールスポイントとなっているプロパイロットだ。ACCやLKAは先にN-BOXで採用されているが、全車速型ACCと走行軌跡制御型LKAという先進的運転支援機能の軽自動車への展開は、このクラスの安全&運転支援機能に対する考え方を、一気に変える可能性を秘める。

もちろん、タウンユースに限定すれば高度なACCやLKAも無用の長物だが、両システムがもたらす高速長距離適性の向上は、汎用的性能を求めるユーザーのダウンサイジング志向を強化するのは間違いない。シャシーやパワートレーンを一新したのも、タウンカー需要も視野に入れた潜在的なニーズの獲得を狙ってきたものと考えられる。

走行性能面においても、高速走行適性の向上に余念がない。新開発のパワートレーンは、カタログ燃費の数値に拘泥せずに、ドライバーが心地よく運転できる特性に重きを置いて開発されている。

もう一つの視点は、内外装の質感やユーティリティの充実ぶりだ。まず、eKシリーズとデイズの個性の確立がある。両車とも自社が展開するイメージに沿った外観を採用。例えばeKクロスは先に登場しているデリカD:5、デイズはセレナと類似性の高いフロントマスクを採用している。eKシリーズが2系統、デイズは特装仕様のボレロを加えて3系統あり、5タイプのデザインから気に入ったモデルを選べるわけだ。

内装はユーティリティ設計と相性のいいカジュアル感覚を基本に落ち着いた雰囲気でまとめられる。凝った造形やトリムを採用しているが、これ見よがしの高級感を求めないところが、かえって良質な印象を強めていた。

従来の軽自動車路線は標準車、もしくはデイズのボレロのような「カワイイ」モデルがしっかりと取り込み、ダウンサイジングユーザーに向けてはeKクロスやデイズハイウェイスターがそれをカバーする。満を持して登場した新型eK&デイズは、これまで軽自動車を考慮してこなかったユーザーが本気で軽自動車を検討する、きっかけになれそうな存在だ。

試乗インプレッション ターボ+ハイブリッドモデル

  • MITSUBISHI eKクロス
    ●主要諸元(eKクロス T 2WD)


    ●全長×全幅×全高(mm):3395×1475×1640 ●ホイールベース(mm):2495 ●車両重量(kg):860 ●パワーユニット:ガソリン/659cc直3DOHCターボ(64PS/10.2kg・m)+モーター(2kW/40Nm) ●トランスミッション:CVT ●WLTCモード総合燃費:19.2km/L ●ブレーキ:ディスク(F)/リーディングトレーリングドラム(R) ●タイヤ:165/55R15 ●価格:163万6200円

  • NISSAN デイズ ハイウェイスターG ターボ
    プロパイロットエディション


    ●主要諸元(ハイウェイスターG ターボ プロパイロットエディション 2WD)●全長×全幅×全高(mm):3395×1475×1640 ●ホイールベース(mm):2495 ●車両重量(kg):860 ●パワーユニット:ガaソリン/659cc直3DOHCターボ(64PS/10.2kg・m)+モーター(2kW/40Nm) ●トランスミッション:CVT ●WLTCモード総合燃費:19.2km/L ●ブレーキ:ディスク(F)/リーディングトレーリングドラム(R) ●タイヤ:165/55R15 ●価格:164万7000円

  • 乗り心地はやや硬めの印象もあるが、コーナーなどで荷重がかかる際でもしっかりとした接地感を感じることができる。古い軽自動車のイメージから完全に脱却している。

  • 高速クルージングでの余力感の薄さは先代の泣き所だったが、新型のターボ+ハイブリッド車は巧みなCVT制御により克服。タウンカーからの乗り換え需要にも応えられる実力を手に入れた。

  • 専用開発された直3ターボにモーターを組み合わせるS-HYBRIDを搭載。CVTもステップ変速機構を備える新設計ユニット。相当力を入れて開発されたパワートレーンが採用されている。

控えめアクセルでも俊敏 軽とは思えぬ軽快な走り

最高出力は64PS、ミッションはCVT、マイルドハイブリッドはベルト駆動型ISGと12Vリチウムバッテリーパック。スペックを見れば最近の軽ターボ車では標準的な内容である。しかし、使い方が他モデルとは少し違っていた。

ドライブフィールはかなり加速側に振った特性。巡航からの増し踏みでは先ずダウンシフトし、2000回転以上から回転上昇させる。アクセルを緩めなければ加速体勢を維持するような制御だ。ターボ過給ラグの解消が狙いかもしれないが、加速ギヤを維持しエンジン出力を直接コントロールして、加速制御する感覚が強い。

スロットル大開きでも、エンジン回転数を抑え巡航ギヤを維持したほうが燃費や余力感は有利なのだが、このクルマはアクセルを踏み込んだ際の加速性能を優先。実際に中庸域での加速は良好であり、アクセル操作に対して小気味よい加減速反応を示す。ドライブフィールがややせわしなくなるのが難点だが、軽自動車の動力性能に不安を感じているユーザーには、この活発な加速感は説得力がある。

フットワークも高速操安を重視した特性。ゆらりとしたロールの入り方をするが、すぐにストロークを抑え始める。多少乱暴な切り返しをしても揺れ返しは少ない。少々前輪周りの挙動の落ち着きは欠くが、高速コーナリングでの方向安定性や接地感も良好である。

乗り心地はしっかりとした接地感の裏返しでもあり、中高速域で段差などを乗り越えると少々神経質な動きをみせるが、荒々しいという程の硬さはない。ダウンサイザーには、ふんわりとした乗り心地よりも好感が持てるだろう。

アクセル全開にすることもなく流れの変化の激しい都市高速をこなし、高速巡航にも対応できる。そしてプロパイロット(マイパイロット)に任せて走らせるのも快適と、ちょっとした遠出を苦にしない、確かな実力ぶりを実感できる。

試乗インプレッション NAモデル

MITSUBISHI eKワゴンG
●主要諸元(eKワゴン G 2WD)

●全長×全幅×全高(mm):3395×1475×1640 ●ホイールベース(mm):2495 ●車両重量(kg):830 ●パワーユニット:ガソリン/659cc直3DOHC(52PS/6.1kg・m) ●トランスミッション:CVT ●WLTCモード総合燃費:21.2km/L ●ブレーキ:ディスク(F)/リーディングトレーリングドラム(R) ●タイヤ:155/65R14 ●価格:137万7000円

  • NA車のエンジンも52PS/6.1kg・mとハイブリッド付きと同様のスペックを発揮。CVTの制御傾向が変わらないこともあり、街乗り中心という使い方なら、NA車で十分だ。

  • 安定重視のセッティングは、上位パワートレーン車と同様。立ち上がりの良さもあって非力感を感じにくい。コーナーでもどっしりとした接地感があり、運転感覚にも優れている。

走行特性は3タイプとも加速を重視した設定

パワートレーンは3つ用意されるが、アクセル踏み込みと変速制御の特性に大きな差がないこともあり、いずれもドライブフィールに大きな違いはない。NA車も踏み増しと同時にダウンシフトを行い回転を上昇させるが、非力ゆえにアクセル踏み込み量が大きくなるNA車が最も回転上昇が大きく、加速中の使用回転域も高くなる。当然、高速域での非力感も高まるが、他メーカーの軽自動車と比べて非力というわけではない。

低中速域はなかなか活発。ハイブリッド車と比べると初期加速は劣るが、踏み込んだ際のトルク感に目立った違いはない。巡航ギヤ維持能力よりも加速力を優先した制御の結果だろう。燃費もWLTC燃費の市街地モードではハイブリッド車に勝っている。

フットワークに目立った違いもなく、eKワゴンならばマイパイロットも選択できる。動力性能もターボ車に比べると非力だが、NA車同士ならあまり差は感じられない。ハイテクな印象はないが、コスパはかなりの優等生である。タウンユース主体にたまにちょっと遠出をするくらいならば十分な走行性能を持っており、ベーシックグレードと侮れない、バランスの良さを持っているのだ。

試乗インプレッション NA+ハイブリッドモデル

  • NISSAN デイズ ハイウェイスター X
    ●主要諸元(ハイウェイスター X プロパイロットエディション 2WD)


    ●全長×全幅×全高(mm):3395×1475×1640 ●ホイールベース(mm):2495 ●車両重量(kg):830 ●パワーユニット:ガソリン/659cc直3DOHC(52PS/6.1kg・m)+モーター(2kW/40Nm)●トランスミッション:CVT ●WLTCモード総合燃費:21.2km/L ●ブレーキ:ディスク(F)/リーディングトレーリングドラム(R) ●タイヤ:155/65R14 ●価格:156万7080円

  • MITSUBISHI eKクロス G
    ●主要諸元(eKクロス G 2WD)


    ●全長×全幅×全高(mm):3395×1475×1640 ●ホイールベース(mm):2495 ●車両重量(kg):830 ●パワーユニット:ガソリン/659cc直3DOHC(52PS/6.1kg・m)+モーター(2kW/40Nm)●トランスミッション:CVT ●WLTCモード総合燃費:21.2km/L ●ブレーキ:ディスク(F)/リーディングトレーリングドラム(R) ●タイヤ:165/55R15 ●価格:155万5200円

  • 両モデルを試乗した印象は、基本性能も乗り味もほぼ同じ印象。

  • シャシー性能に限っていえばNA車とターボ車の違いも感じない。こと走りに関しては、大きな差はないと言っていいだろう。

加速重視のセッティングで非力さを巧みにカバー

マイルドハイブリッドはスズキが採用しているシステムと同様のハードウェア構成だが、走らせた印象はけっこう異なる。ターボ車も同様だが、NA+ハイブリッド車はさらに加速重視の制御が施され、電動パワーアシストは巡航ギヤ維持にあまり使われない。加速はダウンシフトで稼ぐといった制御だ。

トルクに余裕のないNAエンジンゆえに、踏み込み量も回転上昇も大きくなる。ただし、アクセルを全開近く踏んでも高回転に貼りつかず、ステップ変速的を行いエンジン回転と加速感の一致を図っている。CVTを嫌がるドライバーのための配慮だが、ターボ車よりも深い踏み込みを使うため、恩恵はNA車のほうが大きい。100km/h巡航回転数はターボ車よりもおよそ1000回転高くなるが、これはアクセルの踏み込み量の違いになっている。

高速走行時はプロパイロット(マイパイロット)の制御の巧みさが印象的だった。同システムの最新仕様らしく、加減速制御も車線維持操舵支援もこれまでの採用車の中で最も滑らかな動きである。余力感に溢れるターボ車の方が高速適正は高いが、NA+ハイブリッド車もプロパイロットを活用すれば、さほど苦にはしない。

エクステリア&インテリア

icon eKクロス

  • デリカD:5の流れを汲んだ最新のダイナミックシールドの考え方が注がれたスタイリング。

  • OPでルーフレールが選べるなど、SUVティストを巧みに取り入れることで際立った個性を獲得している。

  • カジュアルな雰囲気に包まれるキャビン。

  • 広くグラスエリアが取られるなど視認性も良好。

  • シフト&スイッチの配置も大きく見直され、操作感も高まっている。

  • ダッシュボード中央にナビモニターは設置されるが、選べるナビ仕様は両モデルごとに異なる。eKシリーズには専用設計の9インチメモリーナビが用意されている。

  • 後方カメラの映像を写すデジタルルームミラーは、荒天時や夜間時に重宝する上級装備。上位グレードにOP設定される。デイズには設定されていない、eK独自装備の一つだ。

  • ラゲッジの奥行きはスライド機構により調整可能。

  • 開口部地上高は655mmと低く取られており、荷物の積載も便利。ユーティリティ面も考慮した設計が注がれる。

icon eKワゴン

  • 大きな違いはフロントマスク。個性豊かなeKクロスに対して、eKワゴンはライト&グリルこそしっかりとワイド感を強調するが大人しめのデザイン。

  • リヤビューはほぼ共通のデザインになる。

  • ベージュのモノトーンで仕立てられたキャビン空間。

  • 前後シートの足元も広々。

  • リヤシートには一体型スライド機構も備えられるなど、快適性にも工夫が見られる。

機能性も、実用性も十分 見た目優先と思うなかれ

eKクロスのフロントマスクが派手すぎるためか、eKワゴンが最も地味な印象を受ける。ならばeKクロスが相当手を入れているのかと思えば、ボンネットのプレス外板は共通で、ランプやグリル、バンパー周りのみが異なるだけだ。LEDを用いた3段式ヘッドランプと「X」を象ったグリルデザインの印象は、最近のミツビシ車らしい造形で、OPのルーフレールを装備すればSUV的になるが、最低地上高はeKワゴンと同じだ。

インパネデザインはアッパー部に微妙な曲面を与えると共に、重ねたような造形で立体感を演出。スペース効率優先で平板になりがちな軽自動車のイメージとは決別している。シート地やドアトリムもカジュアルな仕立てであり、スモール2BOXカーよりも寛げる。

リヤシートも寛ぎ設計が見所だ。ポイントのひとつはスペース。大柄な男性でも頭上空間や膝周りは余裕十分。最前位置にスライドをセットしてもゆったりとした着座姿勢を採れる。ちなみにスライド機構はバックレスト上部のレバーでラゲッジ側からも簡単に操作が可能。格納機構は単純なバックレスト前倒式だが、スライドを利用すれば4名乗車時でも余裕のあるラゲッジ容量が確保できる。

icon デイズハイウェイスター

  • 躍動感をテーマに描かれたエクステリア。

  • Vモーショングリルはデイズ/デイズハイウェイスター共通のアイコン。

  • こちらは大型タイプでより存在感あるフェイスに仕上げられている。

  • センターコンソール中央に配されるシフトレバーの横には、表示ディスプレイと静電タッチパネルが一体化したエアコンスイッチを配置。直感的な操作が可能になっている。

  • 基本意匠はデイズ/ekシリーズ共通。

  • 違いが出るのはカラーコーディネート。

  • ハイウェイスターは精悍なエボニー内装&トリコット地シートで、男性ユーザー獲得も狙っている。

icon デイズ

  • シャープなブレスラインを多用するなど、基本意匠はハイウェイスターと共通点も多い。

  • 大きな違いは前後バンパーとVモーショングリルのデザイン違い程度だ。

  • 複数の内装仕立てが選べることも特徴の一つ。

  • 右側はデイズ系で選べる特装車「ボレロ」、左側はハイウェイスターでOPで選べるプレミアムコンビネーションインテリア仕様。

  • デイズは女性ユーザーの獲得を意識して内装カラーはベージュ系が基本。

  • 先代で不評だった収納も多彩な機能が各所に配置され使い勝手は大幅に向上している。

抑揚を効かせたグラフィック デイズも十分個性的だ

デイズの外観はランプグラフィックもバンパー/エアダム周りもeKワゴンと変わらず、違いはグリルデザイン程度といっていい。ハイウェイスターは深く下方まで伸びたウイングシェイプをアクセントとしたフロントマスク。スポーティとプレミアム側にシフトさせたエアロパーツにより、際どさを抑えた程よい個性が演出されている。

カジュアル感覚の内装の基本デザインは、eKシリーズと共通だが、ハイウェイスターのシート地を目立たぬように「HWS」を織り込んだモノグラムとするなど、一工夫加えて小粋さを演出する。

広いリヤシートやインパネ周りの収納性など、居住性やユーティリティにeKシリーズとの差はない。先代で酷評された少ない収納は完全に克服されており、むしろ売りの一つといっても良いほど。引き出し型のトレイのような、使わない時は目立たせない設計により、プレミアム感と利便性を上手に両立している。

特装車として用意されるカワイイ系のボレロや、OP設定で選べる豪華仕様のプレミアムコンビネーションパッケージなど、個性や豪華さを求めるユーザーにも対応していることは、ニッサンらしいこだわりである。

注目メカニズム&装備

  • スイッチを押すだけで専任オペレーターに連絡することができるSOSコール(ヘルプネット)をOP設定。未来のマスト装備を先取りした格好だ。

  • 衝突時に横方向からもエアバッグが展開するサイド・カーテンエアバッグを全グレードに標準設定。軽自動車クラスとしてはトップレベルの衝突安全性能も確保する。

新プラットフォーム

  • 新型の登場に合わせて日産主導でプラットフォームも新開発。先代に比べ、エンジンスペースを縮小し、ホイールベースを65mmほど拡大。キャビンの広さを狙った設計が光る。

  • 高強度材を用いたフレーム構造を採用することで、軽量化を達成しながらも高い剛性も確保。ボンネットまわりは衝撃緩和性も考慮し、歩行者傷害軽減も配慮されている。

新型エンジン&CVT

  • エンジン&CVTも一新。エンジンは先代に比べて全域でトルク特性を15%ほど向上。CVTもステップ変速機構を備える最新型となった。燃費よりも加速感を重視した設計が見所だ。

  • セレナなどにも搭載されているS-HYBRIDの最新仕様を搭載。駆動バッテリーを鉛電池からリチウムイオン電池に変更したことで回生量が向上。アイドリングストップやアシスト時間が大幅に拡大している。

プロパイロット

  • 高速道路などの同一車線走行時にアクセル/ステアリング操作を支援するプロパイロット(マイパイロット)。渋滞などにまで対応する高機能型が用意される。

  • 車線逸脱を検知した際に、表示とブザーによる警報に加えて、ステアリング制御まで行う上級機能は全グレードに標準装備。先代に比べて安全性も大きく高まった。

●新型eKワゴン&eKクロス 主要諸元&装備

緑:標準仕様|黄色:メーカーオプション|青:ディーラーオプション

運転支援とハイブリッドはいずれも改良された最新仕様

装備面のハイライトになるのは、安全&運転支援機能だ。歩行者対応型AEBSや誤発進抑制、車線逸脱警報を全グレードに標準装着するだけでなく、登録車でも一般化していない渋滞追従機能付全車速型ACCと走行軌跡制御型LKAまで採用している。このACCとLKAを組み合わせた機能が、耳にする機会も多いプロパイロット(マイパイロット)である。グレードによって標準装着、OP設定、設定なしと分かれているが、OP価格は約7万円とかなり安価な設定。購入時はぜひとも装着した機能だ。

走行メカニズム系は一新されたパワートレーンに注目が集まる。新設計のエンジン&CVTも気になるが、やはり最大の見所はeKクロスとデイズ・ハイウェイスターの全車に採用されているマイルドハイブリッドだ。

エンジン始動と発電機能を備えたISGにより回生と発進や加速時の駆動補助を行う簡易型のハイブリッドで、ハイブリッド用電池には12Vのリチウムイオンバッテリーパックを用いる。そのため変圧器を用いずにアクセサリーバッテリーに電力供給も可能。ローコストで燃費と動力性能を向上できることが特徴だ。

【最終結論】最新型にアップデートしたeKシリーズ&デイズの実力は?

  • T【eKクロス】

    シリーズの最高価格車であり、軽自動車の主力価格帯を大きく上回るが、ダウンサイザーが長距離用途まで考えて選ぶなら、ターボとマイパイロットは必須だろう。また、内外装の造りを考えれば納得できる価格でもある。

  • ハイウェイスターG ターボプロパイロットエディション【デイズ】

    標準系とハイウェイスターとの価格差やNA仕様とターボの価格差、プロパイロットのOP価格を総合的に判断すると、結果的にシリーズ最上級グレードが、走りの適応用途の幅広さや利便性のコスパに優れている。

個性際立つ内外装や丁寧な造りはダウンサイザーも満足できる出来栄え

 両モデルを試乗して感じた印象は、既存のハイト系モデルとは目指す方向が異なるように思えた。軽自動車本来のニーズよりも、その上の登録車からのダウンサイザーを狙った設計を随所に感じることができるのだ。上級感覚を織り込んでいけば上手くいくというものではないが、入念な造り込みと工夫のおかげで、eKシリーズとデイズは、既存モデルとは違った個性を生み出している。

 特にプロパイロットの導入は、ダウンサイザーには大きな魅力だろう。それを武器として展開するならeKクロスやハイウェイスターのキャラにはとてもマッチしている。加速性能にこだわりすぎた変速設定などは少々気になるが、“最新”に値する多くの武器を持っていることは間違いない。

新型eKシリーズ&デイズの登場で軽自動車市場はどうなる?

【注目ポイントその1】直接ライバルとして迎え撃つワゴンR&ムーヴはどうなる?

  • 【SUZUKI ワゴンR】

    eK&デイズが挑むハイト系にはワゴンRやムーヴが待ち構えているが、リピートユーザーも多いため高付加価値路線にシフトするわけにはいかないだろう。

  • 【DAIHATSU ムーヴ】

    またプロパイロットに相当する先進の運転支援機能も持っていない。これからは苦戦する可能性大だ。

N-BOXは他に先駆けてホンダセンシングを軽自動車に持ち込んだ運転支援機能普及のパイオニア。これ目当てで選ぶユーザーも多かった。eKスペース&デイズルークスが新型になってからが本番だろうが、ほぼ同機能を備えるeK&デイズが投入されたことで、流れが変わる可能性も。

軽自動車は安いだけではダメ これからは良質さと安心も求められる

最低価格車はeKワゴンが約130万円、デイズが約127万円である。ベーシックグレードはマイルドハイブリッドも採用されなければ、プロパイロットの選択もできない。同等の装備やパワートレーンを採用したライバル勢と比較すると、若干、割高な価格設定だ。凝った小物収納や内装の仕立ての良さを見れば、その価格差は納得できないわけではないが、経済車でもある軽自動車の需要はあまり考えていないような気もする。

だが、この先は上級モデルから軽自動車に乗り換えるダウンサイザーが増えることは間違いなく、eKシリーズ/デイズが狙うプレミアム軽という市場は拡大していくのは間違いない。多少価格が高いとしても、内容が良いものを購入するという流れを狙う戦略は決して間違っていないだろう。

そこで重要なのが安心感だ。最も小さな乗用車である軽自動車でも極めて重要。セールスの大きな武器になる。ここでもeKシリーズ&デイズは、先ゆく存在だ。

●新型デイズ 主要諸元&装備

緑:標準仕様|黄色:メーカーオプション|青:ディーラーオプション

提供元:月刊自家用車

この記事はいかがでしたか?

気に入らない気に入った

グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

グーネットマガジン編集部

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

この人の記事を読む

img_backTop ページトップに戻る

ȥURL򥳥ԡޤ