新型車比較・ライバル車対決
更新日:2021.03.24 / 掲載日:2021.03.24
NISSAN 新型ノート参戦! コンパクトカー ベストバイ
新型ノートの登場で大激戦必至!注目5大コンパクト、ベストバイはこれだ!
NISSAN 新型ノート
価格帯:202万9500~276万3200円
発売1か月の初期受注で2万台超えを達成するなど好調なスタートを決めた新型ノート。国産コンパクト勢の中では後発モデルのため、基本設計が“最新”ということもアピールポイントだ。
価格帯:202万9500~276万3200円
HONDA フィット
価格帯:155万7600~ 253万6600円
現行型はちょうど1年前の2020年2月にデビュー。先代のスペシャリティ路線からファミリー路線にイメージチェンジしたほかハイブリッド車も2モーター式の“e:HEV”に強化されている。
価格帯:155万7600~ 253万6600円
TOYOTAヤリス
価格帯:139万5000~ 249万3000円
リヤを絞り込んだスタイリングもあって後席はかなり手狭。積載性も割り切った前席優先のパッケージングが特徴だ。最新パワーユニット&シャシーがもたらす良質な走りも見所。
価格帯:139万5000~ 249万3000円
MAZDA マツダ2
価格帯:145万9150~ 266万7500円
走り自慢のコンパクトとして2014年9月にデビュー。比較5モデルの中では最も古いモデルだが、出来のよいシャシーのおかげで走り&動力性能はいまだにトップクラスの実力を持つ。
価格帯:145万9150~ 266万7500円
SUZUKI スイフト/ スイフトスポーツ
価格帯:153万5600~208万7800円(スイフト) 201万7400~208万8900円(スイフトスポーツ)
2020年夏の改良で安全&運転支援機能を強化。ライバル勢と互角以上に戦えるモデルに進化を遂げた。効率的な2BOXパッケージがもたらす使い勝手の良さにも定評がある。
価格帯:153万5600~208万7800円(スイフト) 201万7400~208万8900円(スイフトスポーツ)
【チェックポイント1】“パッケージ&使い勝手”重視なら
フィット&ノートの2強がリードするが、サイズ最小のスイフトも大健闘
全長/ホイールベースはスイフトが一回りコンパクトだが、他4モデルは近しい数値で纏まっている。さほど差がないように思ってしまうが、実際は視界や頭上&足元空間のゆとりが異なっている。例えば、マツダ2の全長は比較5車では最大だが、後席は頭上も足元も狭く、視覚的な圧迫感も強い。ヤリスもこのタイプに近い。逆に外観寸法は最小となるスイフトは、膝周りや頭上の余裕も確保され、見晴らしも水準以上。バランスよくデザインされているため、見た目の印象以上に広く感じられる。
居住性でこのクラスをリードするのは、ノートとフィット。とくにフィットは前後席共に開放感と見晴らしのよさが際立ち、寸法面の余裕と相まって居心地の良いキャビン空間を実現している。ノートは着座姿勢の高さを活かした寛げるキャビン設計を持つ。フィットに比べると平凡な印象も受けるが、セダン的な居心地の良さが、このクラス随一のプレミアム感を高めている。
このモデルが1番手!【フィット】
ライバルを圧倒する実用性能が光る
“遊べる&使える”というユーザーニーズを追求した、クラス随一のパッケージングとユーティリティは、コンパクトクラスで求められるニーズを追求した結果の一つ。豪華さの演出は控えめだが、それを高レベルでまとめたフィットは、実用車としても極めて優秀だ。
ホンダ独自のセンタータンクレイアウトがもたらす低床構造のおかげもあって室内の高さにも余裕がある。後席の余裕も際立つ、ゆとりのキャビン空間はフィットの大きなアドバンテージだ。
後席は6:4の分割可倒式を採用。防汚床面などは採用されないが、余裕十分の左右幅に加えて、天井までの高さも余裕十分だ。実用的な荷室スペースが確保されている。
このモデルが2番手!【ノート】
広々キャビンに上級志向をプラス
コンパクトクラスとしては広いキャビン容量を持つが、その余裕を実用性に集中させずに寛ぎの演出に向けている。室内意匠や素材の使い方も巧みなど、上級セダンからのダウンサイザーにとって、最も違和感少なく乗り換えられるモデルだろう。

後席の余裕はフィットには及ばないが、平均以上のキャビンスペースが確保される。本革シートはセットOPのため少し高価だが、素材感や仕立ては申し分ない。
後席格納は6:4分割可倒式。Xなら後席リクライニング機構もつく。多段ボードを活用することでフラットな床面を実現。普段使いには十分な広さの荷室が確保されている。
このモデルが3番手!【スイフト/ スイフトスポーツ】
巧みなキャビン設計でサイズ以上の開放感
キャビンスペースに余裕はないが、キャビン後半の絞り込みを抑えた開放的なスタイリングや広いウインドウで圧迫感を低減している。2BOX車のセオリーに忠実な設計思想を採用したことで、車体サイズ以上の汎用性を獲得している。

スイフトスポーツはシートや内装意匠が異なるが、基本レイアウトはスイフトと共通。ボディサイズの印象よりもキャビン空間には余裕を感じる。
後席格納は分割可倒式だが、やや段差が目立つ。ボディサイズを考慮すれば荷室スペースも十分な容量が確保されている。
このモデルが4番手!【ヤリス】
多少の工夫はあるがキャビンは手狭
キャビンの後ろを絞った割り切ったスタイルから分かるように前席優先のパッケージ。後席や荷室のアレンジは一定レベルの工夫は施されているが、スペース的な余裕は明らかに少ない。実用性に関しては、割り切って考える必要があるだろう。

前席は大人2名が普通に寛げるスペースが確保されるが、後席は頭上空間はともかく、膝まわりは少々手狭な印象が否めない。
このモデルが5番手!【マツダ2】
スタイル優先で上質感はあるが…
キャビンの意匠や質感は良いのだが、リヤスタイルをコンパクトに見せるスタイルの影響で、後席は視角的圧迫感が強く、着座姿勢もちょっと窮屈。緊急用とまでは言わないが、後席も使いたいニーズに関しては少々不向きだ。

キャビンは前席優先のレイアウト。プレミアム志向もあって、パネルやトリムなどの質感や仕立てにこだわっていることが特徴だ。
【チェックポイント2】“走り”重視なら
いずれも走り自慢の一面を持つが、ヤリスとノートは総合力に優れる
車体サイズや車両感覚の掴みやすさのおかげでスイフトは最も取り回し性に優れるが、このクラスのモデルはいずれもタウンユースでの使い勝手は良好。多少の違いはあっても、必要以上に気にすることはないだろう。
走りの比較で重視したいのは高速長距離性能と走りの質感だ。プラットフォームの開発年次や先進的なエコパワートレーンを搭載したモデルにアドバンテージがあり、運転支援機能は充実しているものの相対的にはスイフトはクラス相応レベルに留まる。
車格を超えた走りが楽しめるモデルとして筆頭に挙がるのはノート。パワートレーン/シャシー/運転支援のいずれもトップクラス。ただし、プロパイロットが最上級グレードにしか設定されないのは難点だ。走りの質感や余力感でノートより多少レベルダウンした感もあるが、フィットもバランスが取れている。ヤリスとマツダ2はツーリング&スポーティな味わいが見所。特に高速長距離性能は1つ上のクラスのモデルとも互角以上に戦えるほどだ。ちなみにヤリスは、ガソリン車もハイブリッド車も最高水準の実用燃費を持つ。エコプレミアムの優等生であることも見逃せない強みといえるだろう。
このモデルが1番手!【ヤリス】
走りの質感に加えて燃費も優等生

スタイルの印象どおりにカジュアル&スポーティな走りを示すが、締まりのある質感を持つことも見逃せない。また、ハイブリッド車だけでなく、ガソリン車も燃費やドライバビリティに優れていることも強み。ガソリン車狙いならば有力な選択肢になるだろう。
熱効率に優れる1.5L直3「ダイナミックフォース」エンジンの採用は、ヤリス最大のトピック。高出力と省燃費を高い次元で両立している。
このモデルが2番手!【ノート】
1クラス上を体感できる、良質な走り

静粛性や質感豊かな走りを優先するならば、間違いなく筆頭に躍り出る。ただし、e-POWER車しか設定がなく、さらに目玉のプロパイロットが最上級グレード限定のOPのため、コンパクトクラスの売りであるコスパの面が今ひとつであることが残念。
このモデルが3番手!【フィット】
ストレスフリーな穏やかな走り味が魅力

ガソリン車の力感や速度コントロール性に古臭い印象を受けるが、凝ったシステムを搭載したハイブリッド車の走りは高いレベルでバランス良く纏まっている。操る醍醐味よりも、穏やかでストレスの少ないドライブを求めるユーザーには最善の1台になるだろう。
このモデルが4番手!【マツダ2】
ディーゼルターボ車は選ぶ価値あり

ファントゥドライブと高速ツーリング性能を重視するなら大いに魅力的なモデル。特に高速域の余力に優れたディーゼルならターボ車の存在も見逃せない。スポーティな味わいを求めるユーザーには、ほど良く締まった乗り味は心地よく感じるはずだ。
このモデルが5番手!【スイフト/スイフトスポーツ】
軽快な走りは楽しいが、物足りない部分も……

スイフトもスイフトスポーツも、良く言えばパワーフィールもフットワークも軽量小型車らしい軽快感で纏まっており、操る楽しみが味わえるモデルと言える。しかし、乗り心地や高速走行時の安定感は、ライバルモデルに比べると物足りなく感じてしまう。
【チェックポイント3】“コスパ”重視なら
ヤリスとフィットが一歩リード
先進安全&運転支援装備は、このクラスでも必須になりつつある。そこでACCとLKAを含む装着設定で比較5モデルの価格を確認してみると、ノート以外の4モデルは200万円切る予算でもいろいろ選べるのに対して、ノートは最も安い組み合わせでも250万円の大台を超えてしまう。ノートが圧倒的に高価なのは、プロパイロットが最上級グレード限定のパッケージOPという理由があるのだが、そのことを踏まえても割高感は否めない。
価格と性能のバランスの良さならスイフトが優等生だが、安全&運転支援を除いたその他の機能装備は車格相応レベルで少々物足りない部分も……。そこで車載ITまで範囲を広げていくと、通信連携機能を備える最新システムが比較的安価な費用でOP設定されるフィットとヤリスの存在も見逃せなくなってくる。特にヤリスのガソリン車は性能と価格のバランスも秀出ているため、このクラスの入門車としても注目すべき存在だろう。
このモデルが1番手!【ヤリス】
安価な装備設定も人気を集める理由
低速域で解除されてしまうACCは玉に瑕だが、トヨタセーフティセンスの性能はトップレベル。また、ディスプレイオーディオとDCMを全車に標準装備することで、車載ITやナビへの展開が安価に済むことも長所。ガソリン車はもちろん、ハイブリッド車もコスパは優秀。
このモデルが2番手!【フィット】
ホンダセンシングを筆頭に次世代装備も充実
内装意匠はグレード別の設定になるが、次世代規格の装備は積極的に展開される。特にホンダセンシングを全車に標準にしていることは大きなアドバンテージだ。車載ITのナビは、機能別に複数の機種がディーラーOPで用意されている。
このモデルが3番手!【スイフト/ スイフトスポーツ】
バランスの良さはクラストップレベル
昨年のマイナーチェンジで安全&運転支援機能をバージョンアップ。しかも全車に標準装着された。パワートレーンも頻繁な改良のおかげで実力は十分。車格感は薄めだが、価格と性能のバランス、コスパの高さはトップレベルだ。
このモデルが4番手!【マツダ2】
マツダ車らしさを手頃に楽しめる1台
クルージング&トラフィック・サポートなどの操舵支援機能が採用されず、ACCは全車速型ながら停車保持ができないなど、機能面は見劣りする部分はあるが、マツダ車特有のプレミアム&スポーティを手頃に楽しめる価格設定は魅力十分。
このモデルが5番手!【ノート】
最新機能ゆえにコスパは今ひとつ
装備設定でも運転支援でもクラス最上位にあるのは間違いないが、価格も相応に高いためコスパ評価は今ひとつになってしまう。また、プロパイロットや車載ITなど、先進装備の核が最上級グレード限定のOPと言うのも泣き所だ。
5大注目コンパクト選び【最終結論】
5モデルごとに強烈な個性が宿る。いずれも選ぶ価値は十分にあり
コンパクトクラスの最新トレンドに忠実なのはヤリスとマツダ2。実はファミリー&レジャー向けへの対応に関しては、コンパクトSUVや上級2BOXに任せるのが最近のトレンドで、世界的にもコンパクトクラスは前席の二人を快適に運ぶという部分が重視されている。そんな流れの中でも、あえて実用性や使い勝手に関してもこだわり続けているのが、フィットとスイフトだ。
フィットは実用志向のキャビン設計&アレンジ性と見晴らし抜群のウインドウエリアで、他車にはないドライブの楽しみを実現。さらにe:HEVの導入による性能向上により快適性も高めている。スイフトもフィットほど明確ではないが、走りの楽しみや一定以上のキャビンユーティリティの工夫が盛り込まれている。グローバル市場とは違った価値観で勝負できるモデルなのである。
この冬の目玉モデルであるノートは、実用性と走りの楽しさに加えて、上級クラスから乗り替えてもグレードダウン感のないプレミアムも追求。キャビン空間はもちろん、走りも先代に比べると洗練さが増しており、守備範囲が大きく広がった印象が強い。価格の高さはネックだが、1ランク上のプレミアムコンパクトに近づいたキャラを考えれば、納得できる人も多いだろう。
今回比較した5モデルは、それぞれが大きなアドバンテージを持つ部分があるので、ハズレが無いことも特徴。選び手側は強みの部分を的確に理解して選択をすれば、モデル選びで失敗することはないだろう。
NISSAN ノート
パッケージングからパワートレーン、安全&運転支援機能にいたるまで、幅広い分野に最新設計が注がれることは大きな強み。1クラス上のモデルとも十分戦える実力を持つが、装備を充実させればさせるほど高価になる価格設定が残念。
TOYOTA ヤリス
燃費を含めた経済性は国産車全体でもトップレベル。特にガソリン車はWLTC総合モード燃費でも20km/Lを超えるなど、屈指の燃費優等生である。後席&荷室はクラス平均より手狭だが、そこが割り切れるならば最有力候補だ。
HONDA フィット
広々としたキャビン空間に充実の装備機能、さらに必要十分な走行性能も併せ持つなど、現代のコンパクトモデルに求められる要素を高いレベル満たす1台。実用性優先ならば間違いなく最有力候補だろう。
SUZUKI スイフト/スイフトスポーツ
実用コンパクトのスイフトとスポーツハッチのスイフトスポーツでキャラは明確に差別化されているが、キャビン設計を含めた実用性はほぼ同等。比較5モデルの中ではダークホース的モデルだが、抑えられた価格設定もあって侮れない。
MAZDA マツダ2
走りを売りにしていることはヤリスと同じだが、マツダ2は内装の質感や仕立ての良さも強くアピール。プレミアムコンパクトとしても勝負できる1台だ。またこのクラス唯一となるディーゼルターボ車が選べることも見逃せない。
●文:川島 茂夫 ●写真:奥隅 圭之