新型車比較・ライバル車対決
更新日:2021.06.18 / 掲載日:2021.06.04

キックス&ノート&セレナ/日産「e-POWER」という選択

「今の日産といえば?」と聞かれて、「EV」「プロパイロット」と同じく挙がるのが、e-POWERだろう。そんな代名詞とも言える主力パワーユニットを、新型ノートのほか、キックス、セレナを含めて、実力・魅力を徹底解説する。

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純電動技術を駆使して乗員全員が快適に過ごせる走りを実現

 セレナにe‐POWERが搭載された時、スペックを見てちょっと驚かされた。クルマの中でも車重の重い1BOX型ミニバンなのに、搭載エンジンの排気量はたった1.2L。しかも自然吸気だ。一般的な乗用車の車重と排気量の関係では成立しない。エンジンパワーを主として電動パワーアシストを加えたパラレル式ハイブリッドでも無理がある。それを可能にしたのが、e‐POWER。

  e‐POWERの駆動力はすべてモーター(電動機)によって賄われる。セレナに使われるモーターの最大トルクは320N・m。これはガソリン3.5L級に匹敵する。ならば1BOX型ミニバンでも余裕なのも当然だ。モーターを駆動する電力は主にエンジンによってもたらされる。もし、エンジンで発電した電力を直接供給するなら、モーターの駆動力はエンジンの出力次第。せっかくの電動パワーも、発電するエンジンの排気量次第となってしまう。しかし、e‐POWERは違う。

エンジンで発電された電力は駆動回生用のリチウムイオンバッテリーにも蓄えられる。さらにe‐POWERはノーマルモード以外では強化されたエンブレ回生により、減速時に効率的な充電を行う。回生充電は加減速が頻繁な状況での燃費改善とペダル踏み替え頻度減少が主目的だが、エンジン発電が減り負荷も下げられる。

これらの制御により、バッテリーに蓄えられた電力で搭載エンジンを大きく上回るパワーがモーターから生み出せるのだ。この制御こそe‐POWERの核心技術のひとつであり、ノート、キックス、セレナというカテゴリーの異なる車種に、それぞれの適応用途に最適化した性能をもたらしている。

e‐POWERにはもうひとつ見逃せない特徴がある。それは走行性能に関わるのでドライバーには魅力の主体だが、前述のとおり駆動力は100%モーター。モーターが発生するトルクはタイムラグゼロで正確に制御できる。アクセル踏み込みの速さや量、車速等々に応じて如何様な特性にもできるのだ。動力伝達系の捻れやバックラッシュを検出して、トルク変動を打ち消す制御まで行う。如何に手練れのドライバーでも、そんなアクセルコントロールは不可能だ。

 開発陣のセンスによる部分も大きいのだが、これにより実現した心地よく上質な動力性能はe‐POWERの大きな魅力。そして進化の軸のひとつにもなっている。ドライバーや同乗者に寄り添うようなゆとりと快適性は、純電動技術を駆使するe‐POWERの真骨頂なのである。

乗ればわかる、ノートの楽しさ【コンパクト×e-POWERの気持ち良さ】

日産 ノートX
●車両本体価格:218万6800円
●ボディカラー:ビビットブルー/スーパーブラック 2トーン

フルモデルチェンジした新型コンパクト。搭載ユニットはe-POWERのみ。試乗車はXだがSという選択もおすすめ。プロパイロットは未設定だが安全機能はXと同等。202万9500円~とコスパも十分。

ノートは最新仕様のe‐POWERを搭載している

走行性能の根幹となるモーターやPCUの高出力化と小型軽量化など、システム全般を改良した最新仕様のe‐POWERを搭載。進化要点は動力性能面では高速性能の向上が挙げられるが、力強さと滑らかさをさらに高レベルで融合させた加速制御やエンジン本体から車体まで含めた静音設計による静粛性などの走りの質感の向上が大きなアドバンテージである。

車格を超えた性能追求を開発コンセプトのひとつとするノートだが、新e‐POWERの導入に加えてプラットフォームも一新。プレミアム&コンフォートとツーリング&スポーティでは上級クラスと比較しても遜色なく、質向上のダウンサイジングは環境負荷軽減の視点からも高く評価できる。

先進かつ使い勝手も◎

エクステリアも先進感のあるデザイン。見た目だけでなく、ナビリンク機能付きのプロパイロットが選べて装備も先進。360°セーフティは全車に標準装備としている。

ライバル比でも、元々定評のある室内の広さだが、もちろん新型も広々。後席にも余裕があり、Xはリクライニング機構付き。

室内の質感と使い勝手を両立させた新型ノート。小回り性能もよく、運転が苦手な人でも、街乗りから高速まで安心して運転できるはず。走りも1クラス上のレベル。

キックス【SUV×e-POWERの頼もしさ】できないことなんてない、行けないところなんてない。さぁ一気に行こうか

“遊べる&使える”というユーザーニーズを追求した、クラス随一のパッケージングとユーティリティは、コンパクトクラスで求められるニーズを追求した結果の一つ。豪華さの演出は控えめだが、それを高レベルでまとめたフィットは、実用車としても極めて優秀だ。

キックスでは軽快感と大人のゆとりを感じられる

日産 キックス X ツートーンインテリアエディション
●車両本体価格:286万9900円
●ボディカラー:プレミアムホライズンオレンジ/ピュアブラック 2トーン

アクティブな週末の相棒としても活躍してくれる、SUVのキックス。こちらも搭載するのはe-POWER。余裕の走りと静粛性で、遠出も楽しくなるはず。

キックスでは軽快感と大人のゆとりを感じられる

日産のコンパクトSUVであるキックスも、パワーユニットにはe‐POWERを搭載。登場以降、開発で得たノウハウや市場で得た知見をもとに進化を続けるe‐POWER車。そのコンセプトは一環しており、このキックスについても、高い動力性能と走りの質感、余力感を味わえる。

コンパクトSUVのひとつの側面となるキャビンユーティリティの高さも特徴。全高を活かした合理的なパッケージングが開放感溢れる居住性や広い荷室容量を実現。このキャビンを活かし、長駆レジャーを前提としたSUV用途ではe‐POWERの力強く落ち着きのある加速性能が活きる。コンパクトSUVらしい軽やかさとゆとりを無理なく両立しているのはe‐POWERならではである。

ダブルで受賞

デザイン性&質感もバッチリ

スペシャリティ感漂うエクステリア。インテリアも上質感のあるもので、アウトドアだけでなく街中でも映える都市型SUVだ。

SUVだから、アイポイントが高めで見晴らしが良い。小回りも効くサイズなので、どんな人にも勧められる1台に仕上がっている。

コンパクトボディながら、十分なラゲッジスペースを用意している。週末などのレジャーの相棒にもぴったりなモデルだ。

セレナ【ミニバン×e-POWERの力強さ】電気の力で走りがパワフル、なのに静か

日産 セレナ e-POWER ハイウェイスターV
●車両本体価格:358万2700円
●ボディカラー:ブリリアントホワイトパール/ダイヤモンドブラック 2トーン

1BOX型ミニバンでも、e-POWERなら余裕の走りを味わえて長距離ドライブも楽々。また、静粛性も高いので、ファミリーのドライブにも適しているモデルなのだ。

セレナでも、純内燃機車では得られない力強さが◎

ここで取り上げたe‐POWER車では最初に出たモデルになるのだが、古臭さは皆無。先代ノート用e‐POWERをベースにしたとはいえ、PCU等を変更しモーターもパワーアップしたセミオーダーメイドとも称せるもの。e‐POWERの用途や車種への適応ポテンシャルの高さを活かし、セレナのキャラクターや開発コンセプトに最適化した特性は先進性を失っていない。

内燃機車では得られない力強い加速性能を示しながら、加速度の変化に連続性を持たせているので穏やかさも内燃機車以上。セレナの魅力は家族や友人と過ごす和みと寛ぎの移動空間。街中でも高速道や山岳路でもドライバーや同乗者に不快な刺激を与えないように振る舞うe‐POWERがセレナの心地よさを一層高めてくれる。

広いだけじゃなく便利!

荷物や傘、子どもの抱っこなどで手がふさがっている時に便利なハンズフリーオートスライドドアなど、実際の日常用途に嬉しい機能がもりだくさん。

1BOX型ミニバンなので、2~3列目まで圧倒的な広さを享受できる。360°セーフティは全車標準で、プロパイロットももちろん選べる。

●文:川島茂夫 ●写真:澤田和久

提供元:月刊自家用車

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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

内外出版/月刊自家用車

オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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