新型車比較・ライバル車対決
更新日:2021.06.11 / 掲載日:2021.06.10
新型ヴェゼル・価格帯別ガチンコ比較【3】予算300万~350万円クラス
最新技術を惜しみなく注入したことで、大きな進化を遂げた新型ヴェゼル。もはやライバルはコンパクトSUVのみならず、ミドルSUVも視野に入るほどだ。ここでは価格帯別にヴェゼルのライバルモデルをチェックしてみたい。
走行メカニズムや実用性はライバル勢が一歩リード
300万円超のヴェゼルと言ってもZの4WD車とPLaYの2モデルのみ。Zに関してはFF車を基準にしているので、ここはPLaYのみで評価している。 このグレードはヴェゼルの最上級仕様なのだが、コンセプトどおりのモデルとも言い難い。搭載パワートレーンはe:HEV。PLaYのみが採用する装備としてパノラマルーフなどの専用内外装や後退出庫サポートを採用する。プレミアム感を高めているのはいいのだが、駆動方式がFFに限定される。最上級グレードで装備が充実したワゴンとして使うにはいいが、SUVとしては……。 同価格帯のライバル車はいずれもアウトドアレジャー用途のスペシャリストとも言えるミドルSUV。上級パワートレーンと4WDを組み合わせると予算的に厳しくなるが、いずれもオン&ラフロード性能を高水準で両立し、キャビンも荷室も格上らしい完成度を持つ。燃費と市街地用途での取り回しの良さはヴェゼルが勝っているが、SUVとしての基本性能を見比べると少し分が悪い。既存SUVと違ったワクワク感を持つPLaYの魅力をどうみるか? ここが選び分けの大きなポイントになってくるだろう。
HONDA ヴェゼル(PLaY)
●車両本体価格e:HEV PLaY 329万8900円
利便機能はかなりの充実ぶり。FF車のみの設定が泣き所
様々な装備のグレードアップが図られているが、前席頭上と後席上に大きく開口したパノラマルーフが最大の見所。後席の開放感は格別だ。また、コンパクトサイズながら後席格納時の積載性にも優れている。FFのみの設定がウイークポイントだが、オンロード主体の用途では使い勝手のいいモデルだ。
2トーンカラーや洗練された内装意匠など、他グレードとは異なる趣が追加されたPLaY。人気集中ゆえに最も納期が遅れる可能性が高い。
TOYOTA RAV4
●車両本体価格274万3000~353万9000円
悪路走行もこなせる本格4WDモデルも選べる
上位2グレードには悪路踏破性をさらに向上した新型4WDシステムを採用。専用外装を採用するアドベンチャーは見た目にも悪路向けSUVらしい。2LNAながらスペック以上のパワー感があり、ドライバビリティや実用燃費にも優れたパワートレーンも高評価。アウトドア趣味を楽しむためのSUVとして高水準でバランスが取れたモデルだ。
お手頃感のあるFF車を選ぶのも悪くないが、本格4WD車がリーズナブルに狙えることを考えればオススメは4WD車だ。
姉妹車関係にあるハリアーと比べると、プレミアム感はないが、内装の仕立てや質感は上級車相応。ここでもお得感を体感できる。
MAZDA CX-5
●車両本体価格267万8500~402万6000円(ガソリン車)299万7500~403万1500円(ディーゼルターボ車)
高速ツーリング性能に秀でたプレミアム感溢れるSUV
アウトドアレジャー用途で不足する部分はないが、アドバンテージもない。内外装や高速ツーリング向けの走りがもたらすプレミアム感が一番のセールスポイントであり、SUV感はそれほど求めないが行動半径は拡げたいというユーザーに適している。コスパを優先するなら特別仕様のスマートエディションが狙い目だ。
頻繁な改良を加えることで性能向上が図られていることも特徴。走行関連のアップデートも意欲的に行われている。
ミドルSUVとしてはリヤシートに手狭感を感じるが、質感を感じる丁寧な造りはCX-5の大きな魅力になっている。
SUBARU フォレスター
●車両本体価格291万5000~328万9000円
性能と価格のバランスに優れる。オススメは上級設定のターボ
安全装備が充実した4WD車が300万円以下から選べるなどコスパの良さも見所の一つ。キャビンの使い勝手や悪路踏破性も良好だ。ただしe-BOXERは燃費の上乗せが少ない。性能面での余裕を求めるなら、ターボを搭載するスポーツが狙い。オンロード向けのイメージだが、悪路踏破性は他グレードと同じレベルだ。
スバルのベストセラーらしく全方位に優れるフォレスター。走りと実用性はスバル車の中ではトップクラスの実力を持つ。
●文:川島茂夫/月刊自家用車編集部