新車値引き情報
更新日:2024.08.26 / 掲載日:2024.08.26

X氏の値引き大作戦 フリードから13.2万円引き!

新型フリードが鉄壁の防御 若葉マークのX氏が大苦戦 土壇場で起死回生の大反撃

【プロローグ】 どこへ行くにもクルマが必須の陸の孤島に住む私たちにとって、一人一台はアタリマエ。わが家もN-BOXとスペーシアの2台を所有していますが、今回は8年乗ったN-BOXを買い替えることになりました。
 狙いは取り回しのいいコンパクトカー。選考の絶対条件はスライドドア! 幼い頃、旅行先でドアパンしたことを母親からいまだに「あのとき、この子が……」といわれるため、後席ヒンジドア車には強い抵抗があります。そう、これがトラウマってやつです(笑)。
 第一候補はフリード。昨年からフルモデルチェンジを今か今かと待ち続けていたところ、今年に入ってようやく「夏にフルチェン」との情報が入ってきました。30歳にして、いよいよ新車の購入にチャレンジです。
 そんな折、子どもの絵本を借りに図書館に行った際、クルマ関係の書籍を物色していたら『月刊自家用車』という“ど”ストレートなタイトルの雑誌を発見。早速、開いたところ黄色いページに釘付け! とくに「X氏の値引き大作戦」には「こんな買い方ができるのか!」と目から鱗! 初心者にとって、これほど参考となる企画はありません。バックナンバーを探し出し、時間の許す限り、読み漁ったのでした(笑)。

 今年初頭から事前にホンダの販売店をまわって情報収集したところ「新型フリードの発売は6月頃」とのこと。その際、セールスさんの一人から耳寄りな話を聞きました。
「発売前の先行販売で購入を決めると有利ですよ。正式発売までは試乗ができないので、せめて値引きを奮発しようってことになります。それに先行予約をすれば、それだけ納期が早くなります。正式発売後の契約となると納車は年末になってしまうかもしれません」
 「値引き面で有利」と「納期が早い」っていうのは大きな魅力です。勉強になりました。
 ともあれ、最寄りのホンダをまわって「先行販売の実施が決まったら、すぐに知らせてください」と申し込んでおきました。
 対抗のシエンタも「5月の連休明けに一部改良して新型になる」そうです。

【4月中旬】 松本さんと作戦会議を実施しました。
「新型フリードの先行販売がスタートしたら、すぐに商談を開始しようと思っています」
松本「ホンダのセールスマンから契約を急かされてもあわてないようにしましょう。対抗のシエンタをぶつけて揺さぶりをかけると効果的です」

【4月下旬~5月上旬】 トヨタ2店と商談して一部改良後の新型シエンタを対象に商談しましたが、値引きは5万円と渋い。さらに、驚いたのが下取り査定額……なんと予想を遥かに下回る10万円でした。
 一方、スズキのソリオは値引きこそ10万円でしたが、下取り額は一発回答で50万円。
 作戦会議の際、松本さんから「トヨタは軽自動車に高値を付けられないので買い取り専門店に売却したほうがいいかもしれません」とのアドバイスをもらっていましたが、それにしても10万円って……低すぎます。
 ホンダ各店から「新型フリードの先行展示会&先行販売」の知らせが入ってきました。

【5月10日(金)】 ホンダA店から「先行予約すれば付属品クーポン5万円をプレゼント」との案内がありました。
 早速、松本さんに電話して「これをどう利用すればいいのか?」と訊ねてみました。
松本「5万円のクーポンだけで、『値引きはなし』なんてこともあるので気をつけてください。しっかり車両本体からの値引きも迫りましょう」
 なるほど、飛びつくほどではないようです。
 仕事終わりにホンダB店へ。早速、新型フリードのパンフをチェックさせてもらいました。
「新型なのでお値引きは5万円しかできませんが、あとは下取りで頑張ります!」
 下取り車のN-BOXは妻が使っていたので、査定は後日となりました。ちょうどそのとき、妻から写真が送られてきました。見ればN-BOXの黒いボディに無惨な傷が!
「ごめん、こすった……」
 ガーン……なぜこのタイミングなのか……。
 帰宅後、必死にコンパウンドでボディを磨く。何とか白い傷跡は消えたけれど……。
 この事件(?)を機に私がひそかに抱いていた“ステップワゴンの夢”は潰えました。サイズの大きなステップワゴンを買って傷だらけになってしまっては、私の心が持ちません……。


クーポン攻勢に惑わされるな! 強烈な引き留めに「助けて!」

【11日(土)】 家族揃って、近くのショッピングモールで開催している「新型フリードの先行展示会」に出向きました。
 運転席に座るために長蛇の列ができています。
 新型の人気、おそるべし!
 会場でたまたま小耳に挟みましたが「値引きは5万円が限度」とのことです。
 新型の強気、おそるべし!
 その足でホンダA店へ。
「5万円のクーポンの案内、届きましたよ。それ以外にどのくらい引けそうですか?」
「車両本体からは5万円です。これ以上となると店長に相談しないといけません。決めていただけるなら頑張ります」
 下取り額は約36万円でした。

【12日(日)】 ホンダC店へ。
セ「いまなら付属品10万円のクーポンが付きます。発売直後にここまでやるのは近年例がないですよ。正直、値引きしなくても売れるクルマなのでやりすぎだと思っているくらいです」
「納期はいつ頃になりますか?」
「いまからだと納車は秋口になる可能性があります」
 下取り額は20万円……一番しょっぱい数字です(笑)。
 こんどはトヨタA店へ。ホンダとの競合を伝えると、下取り額約27万円を提示。他のトヨタが提示してきた10万円より高いが、納得のいく数字ではありません。シエンタの値引きは5万円。この時点でトヨタの脱落が決定しました。
 本日の最後はホンダD店。
新型フリードの値引き条件は4万円。値引き額は他店より低いけれど下取り額は、
「まともに査定すると約30万円ですが、中古車部に掛け合った結果、11万円アップの41万円にします」。
「下取り車は買い取り専門店のほうが高かったら、下取りなしにしてもいいですか?」
「はい、問題ありません」
「値引きはこれだけ?」
「これ以上出したら上司に怒られちゃいます。相談してみますが、値引きの上乗せはできてもあと少しです」
 う~ん…ガードが堅い……ただし、セールスさんの印象はいままでで一番良かった。

【16日(木)】 妻と一緒にホンダB店へ。N-BOXの下取り額は30万円、フリードの値引きは5万円、パッとしません。
 そこで、他のホンダとの競合を伝えると、
「契約前提で、少し上乗せができるかどうかです」
「少しってどのくらい?」
「5万円は無理です」
「2~3万円ってところ?」
「本社に相談してみないと、わからないんです……」
 やはりここも厳しい。
 ホンダA店にはオンラインを通じて“同士討ち”を明らかにしてみました。すると、ここでも「契約前提でないと店長に話をもっていけません」。
 切り札である“ホンダ同士の競合”を出したのですが、交渉がうまく進みません。

【17日(金)】 午前中ホンダC店へ。「付属品10万円のクーポン」を配布している店です。
「新型フリードで、10万円のクーポンは破格ですよ。これ以上の値引きはできません」
「正直、今日決めるつもりです。あとはどこのホンダで買うか? だけなんです。上乗せはできませんか?」
「下取り額の上乗せなら、なんとかできます」
 しかし、下取り額は5万円アップの25万円でストップ。
「他店ではもっと高値を付けています。40万円くらいは出してくれないと……」
「わかりました。その金額で中古車部に相談してみます。ただし、Xさん、この場で決めてください!」
「……うーん……ちょっと待ってくれますか?」
 いったん中座して松本さんに電話を入れました。
「強力な引き留めにあってこまっています。この店ではなく、セールスさんの印象がいいホンダD店に勝負をかけてみたいと思っているんですが……」
松本「では、この場からホンダD店に電話を入れてみましょう。現在の状況をはっきりと伝えて『このままだと、そちらにいけなくなってしまう』みたいなプレッシャーをかけて、商談の約束を取り付けるんです」
「なるほど……でも、この場をうまく逃げ切れるかどうか、ちょっと心配です」
松本「大丈夫。Xさんならうまくかわせますよ。セールスマンには『今日中に決めるつもりだが、他のホンダの下取り額を聞いてみたい。とにかく大きな買い物なので冷静に検討させてもらいたい。夕方までに連絡する』などと丁寧に説明すればいいでしょう」
「わかりました」
 早速、ホンダD店に電話を入れて、このあとで商談する約束をしました。こちらの決意と熱意が伝わったようです。


奥様のひと言で脱出に成功! 獲ったぞ、13万円+高取り

 再び席に戻ってホンダC店のセールスさんに、
「実は別のホンダが高取りしてくれるようだし、値引きもさらに頑張ってくれそうなんです。それに下取り車は買い取り専門店にも査定させて、しっかり損得勘定をしたいと思っているんです。でも、下取り車の名義が私の父になっていて、父は買い取り専門店に売ることに抵抗があるようなんです。このあたりをちゃんと説明して納得してもらわないと買い替えがスムーズにいかなくなるかもしれません。だから、もう少し検討させてください」
「契約前提で話をもっていかないと下取り額の上乗せは難しいんです。実は、私は他の営業マンを指導する立場でもあるので、正直、付属品10万円のクーポンで抑えてこれ以上の値引きは出したくないんです。新型フリードは好調な売れ行きをみせているので、会社も許可してくれそうにありません」
「う~ん……すみません、大きな買い物なので、かんたんには決められません」
「こちらが最終条件を提示して他店がそれ以上の数字を出してくるとこちらは降りるしかなくなってしまいます。それにホンダ同士の競合は他店にも迷惑をかけてしまいます」
 こんな調子で話は平行線をたどっていたのですが、なんと、妻の「おなか、すいた!」のひと言で終了しました(笑)。
 セールスさんは妻の機嫌を損ねるようなことはしたくなかったようです。私は激しいバトルでもうヘトヘト(苦笑)。
 ホンダD店に向かう途中、わが家の近所の牛丼屋の前で妻を降ろしました。私は約束の時間が迫っていたため昼食抜きでホンダD店へ向かいます。
 交渉のへたっぴさを考慮しても「競合を明かして一気に攻める」というのがこんなに難しいとは思ってもみなかった……。
 自信を喪失したまま入店。
 まずは受付の女性に「飲み物はどうされます?」と聞かれました。なぜだか、味のついたものを飲みたくなかったのでまさかの水をオーダー。受付さん、「えっ?」って感じで面食らっていましたね(笑)。気持ちが沈んでいるときは甘いドリンクを飲みたくなりそうなものですが、私の場合“冷たい水”が欲しくなる体質のようです。
 交渉は気持ちを落ち着けるために、あたりさわりのない納期の話から始めました。
「展示会のあと、かなりのオーダーをいただきました。新型フリードは週ごとに注文をまとめるのですがオーダーがたっぷり溜まっているため、本日の契約だと最短の注文日は7月4日になってしまいます。注文を入れて初めてはっきりした納期がわかるので、すみません、正確な納車時期は申し上げられません。おそらく秋以降になると思いますが、当販売店の割り当て枠を増やしてもらっているので、今後、増産があれば少し早くなります」
 ここで本題に入ります。この店の前回の条件は値引き4万円、下取り額約41万円でした。
「前回の条件に上乗せはできないでしょうか? 例えば、ドアバイザー(3万2670円)の無料サービスとか……」
「可能かもしれません。少々お待ちください」
 しばらくして、
「バイザーの件、大丈夫です」
 えええ! こんなあっさりOKが出るとは思っていませんでした。予想外の展開に、次の一手が出てきません。いったん中座して駐車場へ。松本さんに電話を入れました。
松本「相手も勝負に出てきています。この店で決まりですね」
「……ですよね。で、ここからどうしましょう?」
松本「最終局面になったので、わかりやすいやり方でやるのがコツです。まずは現金値引きの上乗せもしくは下取り額のアップを迫りましょう。それがうまくいけばいいのですが、難色を示してきたら付属品の無料サービスを迫りましょう」
「わかりました。」
 N-BOXの車内は暑い! 汗びっしょりなってしまいました。商談の席に戻ると、セールスさんがにっこり笑って、
「Xさん、いま中古車部と下取り価格の交渉をしました。5万4000円プラスして46万4000円にできました」
 いきなり先制パンチを食らってしまう。正直、考えていたプランがぜんぶ吹っ飛んでしまいましたが、ここはともかく冷静になろう。希望の付属品を追加して、ズバリと最終条件をお願いすることにしました。
「決めるかどうかの正念場にきたようです。『もうこれ以上は絶対できない』って数字をお願いします。納得がいけば、この場で契約して、ほかのホンダとはもういっさい商談しません」
「わかりました!」
 奥にいったん引っ込んで、しばらくして戻ってきました。
 提示してきた条件は車両本体値引き8万2465円、付属品(53万7075円)から5万円引き(ドアバイザーの無料サービス分を含む)。これで値引きの合計は13万2465円! 下取り額は47万3790円(リサイクル預託金9790円を含む)となっていて、支払い総額は340万円ジャストです。
 やった! ありがとうございます! 注文書をチェックすると……あれ? 下取り査定料が空欄になっています。
「下取り査定料が計上されていないんですが、下取りを引渡すときに支払うんですか?」
「当店は査定料をいただいておりません」
 おおっ、そうなんですね!
「ところで納車のときにガソリン満タンっていうのはどうでしょうか?」
「わかりました、どうにかなると思います」
 これで晴れて契約。初めて注文書にサインします。勇んでボールペンを出したら……書面ではなく、今どきは電子契約でした……何だか味気ない(笑)。
 なお、タイミングよく、増産枠が取れたため、納車は8月下旬とのこと。増産がなかったら年内ギリギリだったそうです。

購入データ
HONDA フリード
e:HEVエアーEX(6人)
From 埼玉県
トータル値引き 13.2万円
値引き採点 5
車両本体値引きは8万2465円、これに付属品(53万7075円)からの値引き5万円を加えると合計13万2465円引き。下取り額の47万3790円は3~4か月後の引き渡し時まで維持できる。


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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

内外出版/月刊自家用車

オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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