輸入車
更新日:2022.08.30 / 掲載日:2022.08.30

【試乗レポート シトロエン C4】快適な移動にこだわった新世代シトロエン

文●岡本幸一郎 写真●澤田和久、内藤敬仁

 しばらく空白となっていたシトロエンのCセグメントのハッチバックが復活し、2022年1月に日本に導入された。「C4」という車名となって3世代目となるニューモデルは、シトロエンのDNAを受け継ぎつつ、全面的に新しい世代のデザインコードとパフォーマンスをまとう。

SUVの力強さと個性を融合

シトロエン C4

 最低地上高を190mmとしてボディを高く持ち上げて大径タイヤを履き、SUVのような力強さと個性を融合したシルエットが特徴的な外観は、シトロエンらしい独創性をヒシヒシと感じさせる。ボディサイズは4375mm×1800mm×1530mmと、Cセグメントとしてはやや大きめで、ホイールベースも2670mmと長め。どこから見ても印象的で、遠目にも存在感がある。

 ユニークなのはインテリアも同様だ。シンプルなインパネの眼前に小型カラー液晶メーターに必要最小限の情報を表示しつつ、ヘッドアップディスプレイに主要な情報を表示することで、意識しなくても視線が遠くになるようにしていることがうかがえる。10インチタッチスクリーンや、助手席ダッシュボードのタブレットスタンドなど新しいインフォテイメントも備わる。

 パッケージングもSUV的で、高めのヒップポイントにより乗り降りしやすく、ドアがサイドシルを覆うようにされているので乗降時に衣服を汚さずにすむ。後席のニースペースはクラス最大級を誇るほど広く、ファミリーカーとしても十分に使える居住性が確保されている。

 通常時で380リットル、最大で1250リットルの容量を確保したラゲッジは開口部が広く、フロアもフラットな部分が広いおかげで荷物の積み降ろしがしやすい。高さを選べるフロアボードと6:4分割可倒式のリアシートによりアレンジの自由度も高い。

3つのパワートレインをお好みで

シトロエン C4

 プラットフォームは最新世代の「CMP」となり、パワートレインはガソリンとディーゼルに加えて、日本向けのシトロエン車として初となる純BEVの3種類が用意される。好みで選べるようにデザインや装備が差別化されていないのも特徴だ。

 PureTech 1.2リッター直3ガソリンターボが最高出力130psで最大トルク230Nm、BlueHDi 1.5リッター直4ディーゼルが同一の130psと70Nm増の300Nmを発揮し、いずれも8速ATが組み合わされる。WLTCモード燃費はそれぞれ17.7km/Lと22.6km/Lだ。一方、BEVのE-C4は同136ps、260Nmのモーターに50kWのリチウムイオンバッテリーが組み合わされ、WLTCモード航続距離は405kmを実現している。

 すでに発売時から値上げされているが、2022年8月末時点での価格は、ガソリンのみ選べるベーシックな「FEEL」グレードが312万9000円で、全パワートレインに設定のある上級仕様の「SHINE」グレードのガソリンが350万7000円、ディーゼルが372万3000円、E-C4が515万円となっている。なお、8月末時点ではガソリン車は受注生産となっている。

 ディーゼルはいかにもディーゼルらしい力強さと、ディーゼルらしからぬ静粛性を持ち合わせていて、このクラスでは類を見ない8速のトルコンATも効いて非常に乗りやすい。パドルシフトやスポーツモードなど走りへの期待にも応えている点もポイント高い。

往年の味わいを見事に再現

シトロエン C4

 シトロエンといえばもちろん、乗り心地にも期待せずにいられないところだが、新しい独自の「プログレッシブ・ハイドローリック・クッション(PHC)」による路面をなめるかのような走りは、本当に「魔法の絨毯」のようだ。ストローク感タップリの足まわりにより、コーナリング時には内輪側をやや伸ばしながら4つのタイヤが常にしなやかに路面を捉えている感覚があるのもシロトエンらしい。

 そんな往年のハイドロニューマチックの味わいを見事なまでに再現しながらも、不要な動きを抑えた挙動を乱しにくい現代的な感覚も兼ね備えたあたりのチューニングの巧みさにも感心する。ハンドリングはおだやかでどこにも尖ったところがなく、市街地から高速道路までどこでもリラックスして乗れる。

 さらに、ラウンジのソファのようにふかふかとした独自のアドバンストコンフォートシートが、快適な乗り心地をよりいっそう引き立てている。このクラスでこの着座感を味わえるクルマというのは、他に心当たりがない。長時間のドライブでも疲れ知らず。これにレーンポジショニングアシスト機能まで備えた最新の先進運転支援装備が、長旅の強い味方になってくれる。

 2019年に創業100周年を迎えたシトロエンは、誰よりも独創的であることと、人々の移動の自由とその移動をより快適することを追求しつづけてきた。そんなシトロエンの世界観を色濃く体現した新しいC4は、このところ日本での販売が好調で右肩上がりを続けるシトロエンのさらなる躍進を感じさせる1台である。

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岡本幸一郎(おかもと こういちろう)

ライタープロフィール

岡本幸一郎(おかもと こういちろう)

1968年、富山県生まれ。幼少期に早くもクルマに目覚め、学習院大学卒業後、自動車情報ビデオマガジンの企画制作や自動車専門誌の編集に携わったのち1998年にフリーランスへ。軽自動車から高級輸入車まで幅広くニューモデルの情報を網羅し、近年はWEBメディアを中心に寄稿。ドライビングスクール等のインストラクターも務める。日本自動車ジャーナリスト協会会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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1968年、富山県生まれ。幼少期に早くもクルマに目覚め、学習院大学卒業後、自動車情報ビデオマガジンの企画制作や自動車専門誌の編集に携わったのち1998年にフリーランスへ。軽自動車から高級輸入車まで幅広くニューモデルの情報を網羅し、近年はWEBメディアを中心に寄稿。ドライビングスクール等のインストラクターも務める。日本自動車ジャーナリスト協会会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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