輸入車
更新日:2022.12.17 / 掲載日:2022.12.16

【マセラティ グレカーレ】期待の新型SUVをファーストインプレッション【九島辰也】

文●九島辰也 写真●マセラティ

 マセラティから第二弾となるSUVがリリースされました。グレカーレです。スペルは“Grecale”。すでに彼らにはレヴァンテというヒットしたSUVモデルがありますが、それとは別のニーズに応えることになります。興味の的はそのサイズ。レヴァンテよりも小さなサイズにマーケットは反応しています。

 2022年そうしたプロジェクトを実現できたのはマセラティの好調な販売実績が関係します。昨年は前年比41%増となる2万5000台近くの台数を世界販売しました。販売の中心はレヴァンテです。その意味からもSUVラインナップの拡充が求められているのは間違いないでしょう。これで販売にさらなる加速がつくというものです。

マセラティ グランツーリスモ フォルゴーレ

 そんなマセラティは2030年までにラインナップすべてを完全電動化すると明言しています。ボルボやベントレーがそういった宣言をしていますが、もしかしたらイタリアのハイブランドでは一番乗りになるかもしれません。EV化はラグジュアリーカーマーケットにも確実に広がっています。2023年には100%電気自動車のグランツーリズモ フォルゴーレが登場すると聞きました。トリプルモーターで、最高出力1200ps以上というから興味津々。一気にハイブランドEVの中心に躍り出るかもしれません。

マセラティ グレカーレ GT

 グレカーレに話を移しましょう。このクルマは同じグループのプラットフォームを共有します。アルファロメオのジュリアやステルヴィオが採用している“ジョルジオ”と呼ばれるプラットフォームです。構造的にかなりフレキシブルで、ボディを長くしたり、背を高くしたり、はたまた床下にバッテリーを積むことを可能にします。マセラティが所属するステランティスグループは巨大ですから、グループ内の技術はいろいろ使い回しできそうです。

 グレカーレのポジションは冒頭で記したようにレヴァンテの弟分となります。ですが、よくよく見るとボディサイズは決して小さくなく、全長は4846mm、全幅は1948mmあります。レヴァンテが5mを超えているとはいえ、コンパクトSUVとは言えないですね。

 パワーソースは3つのグレードのうち2つが2リッター直4ターボ付きガソリンエンジン+モーターのマイルドハイブリッドで、トップグレードにV6ターボが積まれます。グレード名は、下から“G T”、“モデナ”、“トロフィオ”という順番。レヴァンテのトロフィオはV8だからそこで違いを出しています。とはいえ、このV6は530馬力だから驚かされます。レースで培ってきたマセラティスピリットは変わりません。

 グレカーレで目を引くのはやはりデザインです。マセラティが誇るスーパースポーツカーのMC20をモチーフにしたフロントマスクはかなり洗練されています。シンプルながら迫力があってレーシーな臨場感を見事に表現しました。流れるようなルーフラインもさすが。オーセンティックでありながらデザインクオリティの高さを感じます。

マセラティ グレカーレ GT

 インテリアではダッシュボードセンターの2つの大画面スクリーンが目をひきます。メータークラスターと合わせてデジタル化は進みました。驚いたのは象徴的なアナログ時計。それがアナログ表示をデジタルでつくっています。これはまだ他のメーカーはやっていないかも。なんか流行りそうな気がします。

シートも当然最高品質のレザーと手縫いのステッチが施されます。リアシートのヘッドレストにまでロゴがエンボス加工される手の込み様。しかもキャビンは広くロングホイールベースのためリアシートに座っても足元が広く感じます。前の人の体格にもよりますがね。こればっかりは。

 では実際に走らせた印象ですが、試乗車はエントリーモデルのGTでした。最高出力は300ps、最大トルクは450Nmとなります。走り出してすぐに感じるのは軽快さ。レヴァンテのような高性能マシンというより、運動神経の良いスポーツカーといった感じです。ステアリングはクイックで、それに対しボディがクイっと追従します。フィーリング的にはアルファロメオの走りに似ています。軽快なスポーツカー的味付けです。プラットフォームの共有とは関係なく、きっとそういうセッティングが施されたのでしょう。いってしまえば、イタリア人が好きそうな走りです。

 ただ今回は都内と首都高速しか走らせませんでした。なので、本格的なワインディングへ持ち込むとまた異なる顔を見せるかもしれません。それは次回の楽しみにしましょう。いずれにせよ、ちょっと楽しみなクルマが上陸したのは確かです。ガソリンエンジン+マイルドハイブリッドは昭和世代には楽しめそうな気配がします。

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九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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