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更新日:2024.06.04 / 掲載日:2024.06.04

メルセデス・ベンツらしさが凝縮した「新型Eクラス」の新たな魅力/セダン&ワゴン

visual model : MERCEDES-BENZ E 350 e Sports Edition Star

Eクラス特集/メルセデスらしさが凝縮した主力モデル[選ばれ続ける E-Class]

写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2024年7月号「Eクラス特集/メルセデスらしさが凝縮した主力モデル[選ばれ続ける E-Class]」記事の内容です)

自動車には、ジャンル別に「世界的ベンチマーク」と呼ばれるモデルが存在する。それは、誰もが疑わぬ高い完成度を実現したモデル。ラグジュアリーセダンでいえば、それはEクラスにほかならない。新型モデルは、その歴史を見事に更新したといえる。

[Eクラス セダン]ラグジュアリーセダンかくあるべし 期待を裏切らない高い質感と走りのよさ

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。

見た目からして高品質な雰囲気にあふれた新型Eクラス。走らせると、初期モデルとは思えないほどのまとまりではないか!まさに、メルセデス・ベンツの底力を感じさせる1台だ。

期待を裏切らない高い質感と走りのよさ

 今年1月に発表、2月に発売を開始した新型Eクラスに乗った。W212型オーナーとしては気になるところである。これまで数台Eクラスを乗り継いできたが、高級車のベンチマークはこのクルマだと今も思っている。身体に染み込むようなハンドリングや乗り心地、操作系のフィーリングは独特だ。その意味からも、期待値の高い試乗となった。

 パワーソースは3つ。ガソリンエンジンとディーゼルエンジン、それとプラグインハイブリッドだ。グレード名で言うと、E 200が2L直4ガソリンターボ、E 220 dが2L直4ディーゼルターボ、E 350 eが2L直4ターボのガソリンエンジンとモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドとなる。が、こちらはセダンのみの設定だ。ちなみに、内燃機関ユニットでもエンジンとトランスミッションの間に電気モーター(ISG)が配置されるマイルドハイブリッドを採用する。なので、Eクラスのすべてが電動化されたこととなる。

 デザインはオーセンティックな仕上がりで、従来型の流れをくむ。W213が好評だった表れだ。とはいえ、グリルとヘッドライトをつなぐ黒い縁取りは新しく、EQシリーズにつながる。個性的なのはリアコンビネーションライトの光り方で、スターデザインに輝く。これは今後各モデルに広く浸透する意匠だろう。

 インテリアはBEVのEQE風にまとめられる。ダッシュボード全面を覆うMBUXスーパースクリーンがそれだ。助手席側はオプションだが、あれば喜ばれるのは確か。アプリをダウンロードすれば好きなことができる。

 では走りだが、ガソリンエンジンのE 200 アバンギャルドとプラグインハイブリッドのE 350 e スポーツ エディションスターのステアリングを握ったところ、どちらも高級感を増していた。操作系に対する反応は、正確ながらマイルド。ソリッドなところはない。NVH対策も高い次元で施されていてキャビンは常時静かだった。

 乗り心地はE 350 eにオプションのエアサスが装着されていたためかなりいい。路面からの入力にあたりは柔らかく、バタつくところはない。細かなピッチングをしっかり抑え、高級感を出している。それでいてモーターを大胆に使うプラグインハイブリッドの加速は過激で、スポーティな走りを体感させてくれる。なるほど、見た目以上にスポーツセダンな新型Eクラスであった。

Profile:自動車ジャーナリスト 九島辰也
ファッションや旅にも造詣が深い自動車ジャーナリスト。プライベートでは、アメリカ、ドイツ、イギリスと各国のクルマを乗り継いでいる。最近のお気に入りはW212!

定番グリルに思わせながらの新機能搭載

 キープコンセプトながらフロントグリル中央のスリーポインテッドスターをグリルに一体化させたり、シングルルーバーやクロームの縁取りなどをリデザインした。白く光るE 350 eにオプション設定されるイルミネーテッドラジエーターグリルもまた新しい。

夜になると個性を発揮するLEDライトの光

 フロントヘッドライトの形状はW212後期から始まりW213へと受け継がれた流れをくむ。が、光り方は独特でLEDを複雑に操る。個性的なのはヘッドライト下部の曲線だろう。ヘッドライトとグリルをつなぐブラックパネルはEQシリーズを意識している。

デザイン性と安全性を兼ね備えたドアハンドル

 ドアハンドルはメルセデスの高級車シリーズに採用される格納式。キーを持った人が近づけば自動でせり出すが、走行時はボディに内蔵される仕組み。もちろん万が一の事故時には自動でせり出すので、外から他人が開けることも可能。デザインと安全性を両立する。

新たなアイデンティティになるかもしれないワザ

 ツーピース型リアコンビネーションランプもまた新しさを強調する一つ。デイライトもナイトライトもスリーポインテッドスターをモチーフにした光り方をする。遠くからでも一目でメルセデスであることを認知させるこれは、今後他のモデルに展開されるだろう。

トランクスルー機構が付き、開口部が広い使いやすいトランクだが、ハイブリッドモデルは電池を積むためフロア下が使えない。そこを鑑みれば内燃機関を選ぶのもいい選択だ。
プラグインハイブリッドの充電は、急速充電と普通充電の両方が可能。EVモードでの航続距離は112kmだからかなり実用性は高いと言っていいだろう。

[Eクラス ステーションワゴン]世界をリードしてきたステーションワゴンの逸品

visual model : MERCEDES-BENZ E 200 Stationwagon AVANTGARDE(ISG)

ステーションワゴンの王様として、長きにわたりそのポジションをキープし続けるEクラス。高く評価され続けるのは、妥協を許さない作り込みのよさにある。ぜひ一度ステアリングを握ってみてほしい。

セダンと同じ全長で運動性能もバッチリ

 にわかに起こりつつあるセダンブーム同様、ステーションワゴンにも脚光が当たりつつある。SUV人気も根強いのは周知の事実だが、トレンドセッターたちは次のステージに進んでいる。そんな観点で見まわすと、強いのはやはりEクラスステーションワゴン。ベンチマークとしての実績は十分すぎるくらいある。

 ではその詳細だが、新型のグレードは2つで、E 200 ステーションワゴン アバンギャルドとE 220 d ステーションワゴン アバンギャルドとなる。セダン同様、前者が2L直4ターボのガソリン、後者が2L直4ターボのディーゼルとなる。そして共にISGを搭載する。

 プラグインハイブリッドがない理由はわからないが、この2つのパワーソースのマッチングはいいと思う。特にディーゼルエンジンとステーションワゴンの親和性は高いだろう。走行距離の長さと燃費の関係や、高速移動での運転の楽さは格別だ。長く乗れば乗るほど手放せなくなる。

 スリーサイズは全長4960×全幅1880×全高1470mm。これはセダンとまったく同じ数値なのを認識しよう。ステーションワゴンだからリアのオーバーハングが極端に伸びるのではなく、Eクラスというサイズの範疇で設計されている。

 付け加えると、これは運動性能にも直結する。リアに荷室があってもセダンに近い運動性能を提供してくれるのだ。ちなみに、荷室容量は615Lから最大1830Lを許容する。セダンが540Lなのでその違いは大きい。

 サイズでいえば、走り出すとクルマの大きさをまったく感じさせない。そもそもステアリングの切り角が大きく、最小回転半径が小さいのが歴代Eクラスだが、セダンの一部グレードはリアアクスルステアリングが装着でき、さらに小まわりが利く。リアタイヤが駐車場ではフロントと逆位相で最大4.5度曲がり、高速走行時では同位相に最大2.5度動くこのシステムは、1度傾くだけでその違いは大きかった。今回もその威力はとてもわかりやすいはずだ。EQE SUVのときに感じられたあの感動がこのクルマでも得られるのである。とにかく取りまわしが楽なのがユーザーにとって大きなメリットになるであろう。現状はセダンのみの一部オプションだが、相当スポーティに走ることもできる。

 といった装備を含めこの辺のユーザーフレンドリーなところが「さすがメルセデス!」。新型Eクラスはそれが集約された1台である。

ぱっと見だけではわからない芸が満載

 すべてのモデルにはオプションでMBUXスーパースクリーンが用意される。助手席一体型ディスプレイはセンターから助手席の目の前まで広がるので圧巻だ。エアアウトレットの細長いノズルがその輪郭に隠れるように設置されている。芸の細かさはさすがである。

インテリアは標準設定のレザーARTICO仕様のほか、ナッパレザーを採用したダイヤモンドステッチのレザーエクスクルーシブパッケージがある。

スポーティさを表現したボディサイドのデザイン

 近年メルセデスが掲げるデザインの基本思想「Sensual Purity(官能的純粋)」を今回も表現したデザイン。サイドボディに走る2本のキャラクターラインもまたそのひとつでスポーティ性を表現している。クロームトリムを控えめにしているのも特徴だそうだ。

ボディの装飾は“アバンギャルドライン”、“エクスクルーシブライン”、“AMGライン”で、それぞれグリル、バンパー、ホイールデザインなどが異なる。
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九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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