輸入車
更新日:2024.10.06 / 掲載日:2024.10.05
MINIから目が離せない!【九島辰也】
文●九島辰也 写真●MINI
MINIファンです。ずいぶん昔から。クラシックMINIでは公道ラリーに出場したこともありますし、生まれ変わったニューMINIではクラブマンやクロスオーバーに乗っていたことがあります。もちろん取材もたくさん。MINIの海外試乗会はほぼ常連。開発者やデザイナーなど、これまで何人もインタビューしてきました。メディアもファッション誌からニューミニスタイルマガジンのようなマニアックな専門誌まで幅広く付き合っております。
そんなMINIファンにとって2024年は特別な年となりました。なんたって、これほど多くのモデルが出揃ったことはありません。カントリーマンのBEV、新型3ドアハッチバックのMINIクーパー、クロスオーバーのBEV専用車両エースマン、それと3ドアハッチバックをストレッチした5ドアハッチバック、と主要モデルが顔を並べたんです。ちなみに、BEVではないカントリーマンの発表は昨年11月でした。いずれにせよ、今年にかなり集中したことがわかります。
実際にそのステアリングを握ったのは、主に海外でした。2月にポルトガルでカントリーマンのBEVとJCWを、5月にスペインで3ドアハッチバックのBEVを、9月にエースマンをデンマークでテストドライブしました。前2モデルのロードインプレッションはグーネット内で以前書いていますので気になる方はチェックしてみてください。エースマンについてはまた追々。
そんなMINIイヤーを振り返って感じるのは、デザイナーを含めた開発陣の情熱と苦労。MINIという名のビッグネームに携えるのだからエキサイティングな仕事でしょうが、それだけに大変だと思います。「MINIだからできること、MINIだからできないこと」がたくさんあるからです。簡単に言えば、エクステリアデザインがそうです。誰がどこから見てもMINIであることをわからなければなりません。ヘッドライトとグリル、ピラーの角度やルーフの形状はアイコンとなります。つまり、従来型に手を加えすぎてはダメだし、どこも変わっていなければマーケットが新型車と気づいてくれません。それだと買い換えを含め、販売は鈍るでしょう。
でも、MINIだから大胆に変更できるところもあります。新型3ドアハッチバックをご覧いただければわかりますが、インターフェイスがそうです。センターにある大きな丸型メーターをフルデジタル化し、そこに大胆なビジュアルを取り入れました。ひと言で表現するなら、「遊び心いっぱいの演出」。もはやそこはクルマのインターフェイスというよりもガジェットとしての機能と魅力が詰め込まれています。
ここはまさにMINIだから許される領域のような気がします。ダッシュボードにある“エクスペリエンス”の選択によってはビジュアルや音楽とも連動しますし、さらには走行モードとも関わります。その点では通常のガジェットを超越しているのは明らかですね。
そしてドライビングフィールもそう。“ゴーカートフィーリング”はMINIの専売特許であり譲れない部分ですから、どのモデルにも注入されます。比較的小径なステアリングを右へ左に切ったとき、目の前のボンネットがスッと向きを変える様がいい感じ。自分がこのクルマを操っている感がものすごく強く手のひらに伝わります。
変えるのがMINIらしい部分は他にもあります。それは環境問題への取り組み。具体的には、インテリアの素材からリアルレザーを取り除いたり、再生素材を積極的に採用したりすることです。常に新しさを求め、そこにインテリジェンスを感じさせるのがMINIですから、そんなことができちゃいます。こんなところからもクラシックMINIの時代からこのクルマが時代のトレンドを作ってきたのがわかります。ポールスミスをはじめいくつものファッションブランドとコラボしてきたのは、その証かもしれません。
なんて感じで、MINIは深掘りすると楽しいブランドでありモデルです。こんなクルマ他にはあまり多くありません。ポルシェ911やコルベット、メルセデス・ベンツGクラスやディフェンダーくらいですかね。国産だとランクルあたり。でも一番身近なのはやっぱMINIかな。今後も目が離せないクルマであることは間違いありませんね。