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更新日:2024.12.14 / 掲載日:2024.12.14

テメラリオから始まるランボルギーニの変化と進化【九島辰也】

文⚫︎九島辰也 写真⚫︎ランボルギーニ

 先日、東京の国立競技場で行われた「ランボルギーニ・デイ・ジャパン 2024」で新しいモデルがアンベールされました。この夏モントレー・モーターウィークで話題となったテメラリオ(Temerario)のジャパンプレミアです。すでに数多くの自動車専門メディアがこのニュースを取り上げているので目にした方は多いと思います。当日、その場にいてこのショーを目前にしましたが、実車は写真よりもかなりかっこいい。ランボルギーニファンならずとも目が釘付けになる一台です。

ランボルギーニ・デイ・ジャパン 2024

 話題はいろいろありますが、やはりパワーソースの話を最初にするのが礼儀だと思います。なんたってランボルギーニはここに積まれる4リッターV8エンジンを彼らのお膝元、サンタアガサ・ボロネーゼでゼロから設計・開発したことを強調しています。つまり、自社開発。グループ内の技術をふんだんに取り入れていたこれまでとは異なる新時代の幕開けを意味します。

 もちろん、そこには理由があります。このクルマは先にリリースされたV12エンジン搭載のハイブリッド車レヴエルトに続く仕様だからです。言うなればHPEV(ハイパーEV)の第二弾。パイパワーのガソリンエンジンとモーターを組み合わせたパワーソースを持ちます。何が言いたいかというと、モーターとの相性まで考えられて設計・開発されました。V8エンジンとトランスミッションの間に電気モーターを置くのですが、そこで両者が効率的な働きをするようセッティングされます。

 具体的にはモーターをブースト機能として活用します。このV8エンジンはツインターボですが、タービンが動き出す前の低速域はモーターがその役割を果たすという意味です。ツインターボと言っても小型タービンと大型タービンでそれぞれの回転域を受け持つのではなく、2基の大型タービンがこのエンジンを過給して爆発的なパワーを発揮するのです。ちなみに、エンジン単体の最高出力は800cvで、最大トルクは730Nmとなります。モーターを合わせたシステム最高出力は920cv。これを9000回転以上で発生させ、かつ10000回転までリニアに回します。もはやレーシングバイクのような回転域ですね。四輪車が10000回転とは驚きです。最高速度は343km/h、0-100km/h加速は2.7秒というデータ。気のせいか、最近2秒台のクルマが増えてきているような……。

ランボルギーニ テメラリオ

 デザインはランボルギーニのデザインスタジオ、チェントロスティーレが手がけました。ブランドのDNAに則ったフォルムとディテールが描かれます。ヘキサゴン(六角形)をモチーフにしたデザインアイコンは各部に用いられ、このクルマがランボルギーニであることを主張します。シグネチャーライトも当然そうなります。

 インテリアもまた彼らのDNAを満載します。合言葉は「Feel like a pilot」。コックピットに座ればパイロットになった気分にさせてくれます。この場合のパイロットは“戦闘機乗り”に違いありません。なんたってランボルギーニのスタータースイッチがすべてを物語ります。赤いカバーを親指の爪で跳ね上げ指の腹でボタンを押すという、まるで小型ミサイルでも発射させるような仕草をすれば、レーシングカーのようなけたたましいエンジン音が鳴り響きます。ある意味、この動作だけでランボルギーニを買う価値はあるかも。

 「こうしたドキドキワクワクがランボルギーニなんです」と、デザイナー部門のトップにいるミッティア・ボルケルト氏は言っていました。今回アンベール前にインタビューした時のことです。彼自身ランボルギーニの大ファンなので、このクルマの話をするのはとても楽しそうでした。相当なカーガイです。

 彼の話の中で興味深かったのは、ランボルギーニはライフスタイルブランドへと進化するというところです。すでに時計やバイク、ボートなどとコラボレーションを進めていますが、今後さらにさまざまな分野と行なっていくそうです。きっとアパレルとかも入るでしょう。このブランドのタッチポイントが増えていくのが想像できます。

ランボルギーニ デザインディレクター ミッティア・ボルケルト氏

 それにしてもランボルギーニらしい派手なイベントでした。ステファン・ヴィンケルマン氏を筆頭としたブランドのメンバーが国立競技場に顔を並べます。相変わらずかっこいいステファン。この日もタイトなダブルスーツがよく似合っていました。

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九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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