輸入車
更新日:2025.02.05 / 掲載日:2025.02.05

BEVの注目はコンパクト系!買いやすくて乗りやすい、最新輸入車4選

[BEVの注目モデル]コンパクトモデルも充実し買いやすくなってきたBEV

文●石井昌道 写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグーワールド本誌2025年3号「[ライフスタイルに合った1台を選ぶ]電動化最前線2025」記事の内容です)

電気自動車(BEV)とコンパクトカーとの相性はかなりいい。騒音や振動から解放されることで快適性が大幅にアップするからだ。ここでは、注目のコンパクトBEVを紹介していく。

価格内容ともに充実のコンパクト系BEV

 全体論ではBEVシフトは踊り場を迎えている段階だが、現在でも比較的に買いやすいモデルはある。ここではコンパクトカーで思わず欲しくなるモデルに注目したい。
 日本上陸を果たしたばかりのフィアット600eは愛らしいスタイリングが魅力だ。1950年代の初代600や2代目500などをモチーフにした丸みのあるフォルムが特徴的。Bセグメントでコンパクトではあるものの全長4200×全幅1780×全高1595mmで、500eに比べるとそれぞれ570×95×65mm大きい。後席スペースに余裕があるほどではないものの、ファミリーカーとしてもギリギリ使える範囲。可愛いから欲しいけれど2ドアは手が出ないという人には気になるモデルだろう。
 BEVとしての性能も向上していて一充電走行距離は500eの335kmに対して493km。バッテリーが大きくなってはいるが、ボディが大きくパワーも上がっているのに電費がよくなっているのだから立派な進化だといえるだろう。
 ボルボEX30は電動化へ突き進む強い意志を示すかのような未来的なスタイリングやインテリアが特徴。グリルレスのフロントマスクはBEVであることの象徴だ。それ以上に驚くのがミニマリズムを徹底したインテリア。物理的スイッチは極力排除されていてセンターの縦長ディスプレイやステアリング上のスイッチでほとんどをコントロールする。パワーウインドウスイッチは中央へ、スピーカーはダッシュボード上へ配されていて、ドア内側がスッキリとしているだけではなく、配線がなくなってコストや材料の削減にもつながっている。
 モダンな雰囲気だけでも欲しくなるEX30だが、走らせると意外なほど元気でスポーティなのも魅力的だ。
 2022年に日本上陸したメルセデス・ベンツEQBは、エンジン車のGLBをベースとしたBEV。近年のメルセデスデザインは流麗なスタイルが多かったが、それとは異なるテイストのボクシーなGLBは意外なほど人気者となった。コンパクトなのに3列シートを実現しているのも特徴だ。EQBとなってバッテリーを大量に搭載してもシート配列にかわりがないのも美点だろう。
 EQBはエンジン車から乗り換えても違和感がないのが最大の特徴といえるだろう。EX30のような未来感とは逆の志向だが、それだけ安心感があるのだ。モーターのトルク特性も、いたずらに力強さを演出しておらず、あえてエンジン車に似た雰囲気。それでいて回生ブレーキはパドルによって強さを瞬時に変更できるうえに、強力にしてもスムーズで不快感がない。さすがはメルセデスでコンパクトBEVでも乗員に優しく、上質なフィーリングを実現している。
 2024年にはマイナーチェンジを受けていてFWDの250+はバッテリー容量が拡大されて一充電走行距離が従来の520kmから557kmに伸長した。
 ここで紹介した3台はコンパクトながら500km前後の一充電走行距離を実現しているとあって実用性も高い部類。車両価格も抑えられているほうなので手を出しやすいといって差し支えないだろう。

[フィアット 600e]利便性高い小型SUV HEVやPHEVも予定

 フィアット500eと兄弟のようなルックスだが、プラットフォームを含めてまったくの別モノ。500eほど丸みのあるフォルムではなく室内空間確保にも配慮していることがうかがえる。MHEVやHEVもあり、日本導入される見込み。BEV所有は無理という人は待つ価値があるはずだ。

すっきりとしたインテリアが新鮮な印象。シートなどの質感も高く、電気自動車ならではの静粛性のよさも相まって、上質なコンパクトカーに仕上がっている。

フィアット 600e ラ プリマ ●全長×全幅×全高:4200×1780×1595mm ●ホイールベース:2560mm ●車両重量:1580kg ●総電力量:54.06kWh ●一充電走行距離(WLTC):493km ●モーター最高出力:115kW/4070-7500rpm ●モーター最大トルク:27.5kgm/500-4060rpm ●新車価格:585万円(600e ラ プリマのみ)

[ジープ アベンジャー]ジープらしさを上手に演出したデザイン

 フィアット600eとハードウエアの多くを共有するが趣がまったく違う。輸入SUVとしては異例にコンパクトながら比較的に全幅が広く、ジープ特有のデザインで存在感は高い。後席スペースもまずまず確保されているのもうれしいところだ。

[ボルボ EX30]EV専用車ならではのバッテリー容量の大きさ

 欧州では複数のモデルが用意されているが今のところ日本仕様はRWDのシングルモーターのみ。それでもパフォーマンスは十分以上でアクセルを踏み込めばかなり速い。コンパクトなわりにはバッテリー容量が大きいのは専用プラットフォームの恩恵といえるだろう。

ボルボ EX30 Ultra Single Motor Extended Range ●全長×全幅×全高:4235×1835×1550mm ●ホイールベース:2650mm ●車両重量:1790kg ●総電力量:69kWh ●一充電走行距離(WLTC):560km ●モーター最高出力:200kW/6500-8000rpm ●モーター最大トルク:35.0kgm/5345rpm ●新車価格:559万円(EX30 Ultra Single Motor Extended Rangeのみ)

[メルセデス・ベンツ EQB]EVで3列シートのSUVが欲しいならコレ

 メルセデスのなかではコンパクトなSUVだが立派な体躯で存在感は高い。マイナーチェンジによってスターパターンのフロントグリルやインテリアトリムが採用されたのが目新しい。意外と需要がある3列シートSUVを求めている人にとって有望な選択肢となる。

新型ステアリングとなり、多くの操作をハンドルから手を離すことなく扱えるように進化。バッテリーも改良された。

メルセデス・ベンツ EQB 350 4マチック ●全長×全幅×全高:4685×1835×1705mm ●ホイールベース:2830mm ●車両重量:2190kg ●一充電走行距離(WLTC):490km ●フロントモーター最高出力:143kW/3800-4700rpm ●フロントモーター最大トルク:37.7kgm/0-3600rpm ●リアモーター最高出力:72kW/4575-10500rpm ●リアモーター最大トルク:15.3kgm/0-4500rpm ●新車価格:815万円〜899万円(EQB 全グレード ※MP202502)

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石井昌道(いしい まさみち)

ライタープロフィール

石井昌道(いしい まさみち)

自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

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自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

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